【将棋×コンピュータ×ロボット】進化したロボットアーム「電王手さん」
成駒の動作が可能に
これまでにも数々の名勝負を繰り広げてきたコンピュータ対人間の将棋棋戦「将棋電王戦」。そのFINALが3月14日〜開催されます。
株式会社ドワンゴ、公益社団法人日本将棋連盟によって主催されるコンピュータvs人間の将棋棋戦。2013年の第二回大会からは5つのソフトウェアと5名の将棋プロ棋士が対戦する団体戦形式を採用している。2012年に初開催された「第一回電王戦」では、故・米長永世棋聖とボンクラーズという名のコンピュータの対戦がおこなわれ、ボンクラーズが勝利。第二回大会では、5対5の団体戦をおこない、人間側が1勝3敗1分けと負け越し、第三回大会では1勝4敗と更にコンピュータ側に負け越している。通算成績は、プロ棋士側の3勝8敗1分。
電王戦の勝敗ももちろん気になりますが、個人的には、昨年の電王戦から導入されているロボットアームの進化にも注目しています。
第二回大会まではコンピュータが指し示した手を、人間が代打ちするという形で将棋が進められていました。しかし、第三回で初めて、コンピュータが考えた手をロボットアームで打つという形に進化したのです。
その昨年のロボットアーム「電王手くん」を開発したのは、デンソーの子会社である株式会社デンソーウェーブ。吸着式のロボットアームで、駒をくっつけて将棋を指していく精度の高いロボットアームでした。コンピュータが考え、ロボットアームが指す。一切人間を介さない形での電王戦は人間対コンピュータの構図をより一層際立たせ、迫力のある電王戦になりました。
そして、今年の電王戦FINALには同じくデンソーウェーブ開発の、進化したロボットアーム「電王手さん」が採用されたことが本日3月5日発表されました。
【ニコニコ動画】進化した「電王手さん」将棋電王戦FINALに参戦
今回提供される「電王手さん」は、2014年度のグッドデザイン大賞を受賞した医薬・医療用ロボット「VS-050S2」をベースに、さらなる高性能と機能美を追求し、将棋対局専用に設計、開発されたロボットアームです。
昨年使用されたロボットアームでは、成駒時の駒を裏返す動作の際、いったん駒を吸い上げて成駒専用の台に移動させ、反対面から吸着し直してから盤上に置き戻すというイレギュラーな対応が必要でしたが、今回の「電王手さん」はアーム先端のグリッパーで駒を挟んでつかみ、隣の駒に触れることなく”成り”を実現することに成功しています。
日本のプロ棋士の前に立ちはだかるのは、優秀な頭脳を積んだコンピュータと、このシルバーのフォルムをまとった近未来的で高精細なロボットアーム。二条城や五稜郭などの史跡でおこなわれる歴史的な最終戦で、人間側は有終の美を飾ることができるのでしょうか?
第一戦目は3月14日(土)9時半〜ニコニコ生放送で放映されます。最高峰の人間とコンピュータの熱い将棋にご注目ください。
▽ 将棋電王戦FINAL特設ページ
http://ex.nicovideo.jp/denou/
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望月 亮輔1988年生まれ、静岡県出身。元ロボスタ編集長。2014年12月、ロボスタの前身であるロボット情報WEBマガジン「ロボットドットインフォ」を立ち上げ、翌2015年4月ロボットドットインフォ株式会社として法人化。その後、ロボットスタートに事業を売却し、同社内にて新たなロボットメディアの立ち上げに加わる。