【ロボットライブラリ】ロボットアプリのライブラリが販売可能に
ロボットビジネスを専門に行うロボットスタート株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:中橋 義博)が、Webとの連携をベースとしたロボットアプリケーションの開発を行うOYOYOPROJECTと共同し、ロボットアプリケーションのライブラリを共有するプラットフォーム「ロボットライブラリ」(robot library : robolib)を開発中であることを発表しました。
このプラットフォームは将来、ロボットアプリの開発を大きく助ける存在になる予感がするのですが、Pepperアプリにこれまで関わってこなかった方にはまず「ロボットアプリケーションのライブラリの共有」という点がイメージしにくいと思いますので、アプリの開発方法から順番に説明していきます。
ロボットアプリの開発方法
ソフトバンクから現在開発者向けに販売中の世界初の感情認識ロボット「Pepper」には「Choregraphe(コレグラフ)」と呼ばれるSDK(ソフトウェア開発キット)が提供されており、この開発キットがPepperがエンジニアを多く惹きつける要因の一つになっています。「Choregraphe」があることでモーションを簡単に作ることができ、初めて触る方であっても30分も触ってみればPepperに簡単な動きをさせることができます。用意されているライブラリ・ボックスと呼ばれるモーションのテンプレートをつなげていくだけで、Pepperを動かすことができるのです。
しかし高度なエンジニアリングとなるとスキルが必要ですし、ただ動かすだけではPepperは人を惹きつける存在にはなりません。そこには声色の調整や話す速度の調節、イントネーションの調節、手を上げる角度、モーションの間(ま)などの技術だけではないあらゆる「ノウハウ」が必要になってくるのです。この技術だけではないという点がロボットアプリを作る上での特徴と言えるでしょう。
ロボットアプリ開発のノウハウ
そして「ノウハウ」が、早期にPepperアプリ開発に参入しているエンジニアの一つのアドバンテージであることは間違いありません。一つのアプリを開発するにも、ノウハウがあるとないとではスピードも違いますし、それはそのまま納期と費用に直結してきます。成果物にもはっきりとした違いが出てくるはずです。
これらのノウハウは先行開発者にとってのメリットであると同時に後発の企業にとっては参入障壁となりかねません。ロボット業界の成長性の高さがたびたび比較されるWEB業界の発展の一因に「WEB制作のためのスキルが広まったこと」が挙げられるように、ノウハウの共有というのはロボット業界を拡張していくための重要なファクターになってくるはずです。
ではこのノウハウをどのようにおこなっていくのか? そこに注目して生まれたのが、この「ロボットライブラリ」というサービスです。
ロボットアプリ開発のための「GitHub」
開発中のイメージ
「ロボットライブラリ」は、家庭用・店舗用・オフィス用ロボット向けのアプリケーションおよびそのライブラリ・ボックスなどのパーツを公開・共有・販売することができるプラットフォームです。Gitとソーシャルネットワークの技術を組み合わせたWebサービスとして提供されます。ロボット業界に特化した「GitHub」のような存在と言えるかもしれません。
ロボットアプリ開発者は、アプリケーション単位またはライブラリ・ボックス単位で「ロボットライブラリ」にアップロードし、共有することが可能です。閲覧者はアップロードされたものを無償ダウンロード、ロボット開発者が設定した金額での有償でのダウンロード、または開発者に問い合わせを行うことができるようになります。ライブラリ・ボックスの販売は、早期参入企業にとっては利益を得ることができるマーケットプレイスになり、後発企業にとってはノウハウを瞬時に入手できる場にもなるはずです。
そして各エンジニアが作ったアプリ開発の知見を積み重ねていくことが、将来のキラーロボットアプリケーションの誕生にもつながるのではないでしょうか。
ロボットスタートとOYOYO PROJECTは「ロボットライブラリ」のベータ版を2015年7月1日に、正式版を2015年9月1日にリリース予定であることを発表しています。こういった存在はロボット業界の発展に一役買っていくことでしょう。
現在ロボットアプリを開発している方だけでなく、今後参入予定の企業も是非チェックしてみてください!
ABOUT THE AUTHOR /
望月 亮輔1988年生まれ、静岡県出身。元ロボスタ編集長。2014年12月、ロボスタの前身であるロボット情報WEBマガジン「ロボットドットインフォ」を立ち上げ、翌2015年4月ロボットドットインフォ株式会社として法人化。その後、ロボットスタートに事業を売却し、同社内にて新たなロボットメディアの立ち上げに加わる。