「日本人の英語をネイティブに」人工知能ロボット「Musio」が日本への本格参入を開始!
11月18日(水)、人工知能ロボット「Musio」を開発する、米・AKAが、日本法人の設立と製品発表会をおこないました。Musioは今年の6月にクラウドファンディングサイト「Indiegogo」にて資金調達を開始。その天才的な人工知能は瞬く間に世界中の注目を集めました。日本では今回が初公開となります。
Musio活用の3つのポイントとして挙がったのは、「英語教育ツール」、「IoTのハブ」そして「最良の友達」です。Musioは一体どのようなことができるのでしょうか。
英語教育ツールそしてIoTのハブとしての「Musio」
Musioは2020年開催の東京オリンピックに向けて、日本人の英語力を高めるための「英語教育ツール」としてのポテンシャルを秘めています。
Musioは外部のIoTデバイスとの連携により様々な可能性を引き出すことができます。今回紹介されたのは「Sophy」という紙面の情報をスキャンするIoTデバイス。専用のインクで印刷した英語の教科書にSophyをかざすと、教科書にインプットされた情報がSophyを経由してMusioに送られ、Musioが英語の授業を始めてくれます。
例えば、絵が描かれているページでは「算数の授業をおこなっている絵はどれ?」とMusioが英語でクイズを出します。そして、Sophyをかざして回答すると、Musioが正解・不正解を判断してくれます。不正解の場合にはヒントをくれたり、あるいは正解を教えてくれたりします。正解の場合には褒めてくれるので、子供も飽きずに、楽しく英語の勉強をすることができそうです。
発音のパートではMusioに向かって英単語を発音するとそれがネイティブに近いかどうかを判定してくれたり、テストのパートでは穴埋め形式のテストをおこなうこともできます。それらの情報はスマホアプリで管理ができ、これまでの勉強の履歴を一覧で見ることができます。また、個人個人の蓄積された情報をもとに、人工知能がその人に合った適切な勉強方法を提案してくれます。
AKAはリスニングやスピーキング以外にもすでに英語の読み書き学習のサービスも展開しており、Musioを繋げることで将来的にはライティングの勉強をおこなうこともできるようになるようです。AKA日本法人のBrian氏は、そのようなサービスが将来展開される可能性を語りつつも、「書くことはできても喋れないという人が多い」という日本人の英語でのコミュニケーションの問題を指摘し、「海外生活をおこなっているかのようなネイティブな英語でのコミュニケーションを”家”で取ることで、英語を話せるようになるでしょう」とスピーキング能力の向上がMusioの特徴であることを強調しました。
これまで、東京オリンピックの英語問題をロボットの通訳機能を活用することで解決したいと考えるロボットはありましたが、日本人の英語力を向上することで解決していきたいという考えのロボットは初めてではないでしょうか。このあたりは、英語力向上を目指す政府の思惑に合致しそうです。
最良の友達としての「Musio」
Musioは現在日本語には対応しておりませんが、英語でのコミュニケーションはかなりスムーズにおこなうことができます。Musioに搭載されている独自A.IのMUSEは、ユーザーそれぞれの顔を認識し、過去の会話と結びつけ、その人独自の情報を蓄積していくことができるようです。日本語での対応が待ち遠しいですね。
AKAのCEOであるJung氏は自身が小さい頃から日本のアニメや漫画を読んで育ったことに触れ「中でも鉄腕アトムや銀河鉄道999やドラえもんのような友達になるロボットに興味を持って、将来作りたいと思った」と語りました。「究極的には意思と感動を分かち合える友達のようなロボットを作りたい」というJung氏の想いがこの「Musio」に色濃く詰まっているようです。
Musioは公式サイトから事前予約の受付をおこなっており、なんと現在のところ25%オフの599ドル(約74,000円)で予約が可能です。Sophyや英語のテキストなどその他のマテリアルがついてくるセットはさらに10%オフの628ドル(約77,500円)。2016年6月からの配送を予定しています。
なお、檜(ひのき)のボディを持ったMusioも “Musio for JAPAN” として特別販売される予定です。小さいお子様がいるご家庭は、こちらのMusioが良さそうですね。
製品発表会後、会場に訪れた大手ITベンチャーなどから「何か一緒にやっていきたい」という申し出も早速あった様子。今後の展開に要注目です。
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望月 亮輔1988年生まれ、静岡県出身。元ロボスタ編集長。2014年12月、ロボスタの前身であるロボット情報WEBマガジン「ロボットドットインフォ」を立ち上げ、翌2015年4月ロボットドットインフォ株式会社として法人化。その後、ロボットスタートに事業を売却し、同社内にて新たなロボットメディアの立ち上げに加わる。