MicrosoftとSBRが協業を発表! PepperとAzure連携で小売店に「未来の商品棚」を
3月8日(火)、中央区・マンダリンオリエンタル東京にて、ソフトバンクロボティクスとMicrosoftによる記者会見が行われました。
登壇者はソフトバンクロボティクス代表取締役社長の冨澤文秀氏。日本マイクロソフト代表執行役社長 平野拓也氏。そしてPepperです。
冒頭では、小売業に関してはいくつか大きな課題があることを指摘。一つ目は労働人口減少による人材の確保、二つ目はインバウンドの増加によるグローバル化対応、そして三つ目にEコマースの台頭です。
今回の発表では、それらを解決するために両社による「未来の商品棚」を提案。「未来の商品棚」とは、店舗をネットの世界に拡張することで、商品棚を無限に持つことができるというもの。
Pepperが顔認証によって、お客の顔から性別・年齢などを取得。隣に置いてあるSurfaceやSurface Hubにレコメンドされた商品を映し出し、そこから購入することができる。購入を押すと、注文書が発行され、それをレジに持っていくことで会計をすることができます。
また、未来の商品棚は、MicrosoftのAzureと連携しているため、系列店舗すべての在庫から在庫情報を分析し分析結果をもとに、事業計画や仕入計画に反映することができます。そして、Pepperを通じて購入した客、しなかった客の違いなどの特徴も蓄積していくことができるため、その後の接客やレコメンデーションに生かしていくことも可能です。Pepperは起動時からAzureと連携をしているわけではなく、特定のアプリを起動した時のみ連携が行われます。
今回特に強調されたのは、多言語対応の部分。2020年の東京オリンピックに向けて予想されるインバウンド観光客の増加に向けて、接客の品質を落とすことなく対応できるように、PepperとMicrosoftトランスレーションを活用した接客を行うことができます。
現時点では価格や販売形態などは決まっておらず、2016年秋からの本格展開に向けて準備が進められています。記者会見に登壇したソフトバンクロボティクスの冨澤社長は、今月末に期間限定でオープン予定の世界初のロボット店員だけによる携帯ショップ「Pepperだらけの携帯ショップ」にて、実演予定であることを明かしました。
初めのうちは国内の小売店向けに展開。その後はハウスメーカーなど他業種への展開や海外展開も予定しているとのこと。
先日発表された「IBM Watson」との提携との違いについての質問に対して、冨澤社長は「似ているソリューションではあるが、トランスレーションなどソリューションが若干ずれています。また、pepperの強みは、オープンなプラットフォームであること。ニーズに合わせたテクノロジーを提供していきたいです」と語りました。
接客情報の蓄積と機械学習により、おもてなしを実現させていきたいという「未来の商品棚」。今後の実演の中で顧客体験を進化させながら、小売店にとって本当に価値あるサービスを提供していってもらいたいですね。
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望月 亮輔1988年生まれ、静岡県出身。元ロボスタ編集長。2014年12月、ロボスタの前身であるロボット情報WEBマガジン「ロボットドットインフォ」を立ち上げ、翌2015年4月ロボットドットインフォ株式会社として法人化。その後、ロボットスタートに事業を売却し、同社内にて新たなロボットメディアの立ち上げに加わる。