日立が高さ90cmの新ロボット「EMIEW3」を発表! 2018年度の販売を視野に。

株式会社日立製作所は、ヒューマノイドロボット「EMIEW3」とリモートブレイン構成のロボットIT基盤を開発したことを発表した。

EMIEW3は、2007年に発表されたEMIEW2の後継機で、これまでの機能を継承しつつ「サポートを必要とするお客を見つけて自ら接客行動を開始する機能」、「複数台のロボット間での情報共有やサービスの引継ぎを行う機能」、「転倒しても自ら起き上がる機能」を追加し、接客・案内サービスをより効果的に行う仕様を実現している。

「EMIEW3」は、店舗や公共施設において、サポートを必要とするお客さまの元に自ら移動し、接客・案内サービスを行うことを目的に開発したヒューマノイドロボット。遠隔で音声・画像・言語処理などを行う知能処理システムと多拠点に配置された複数ロボットを監視・制御する運用監視システムから成るリモートブレイン構成のロボットIT基盤と連携することで、高度なサービスを行うことができる。

日立は、豊かなコミュニケーション能力を持ち、人と安全に共存できるロボットサービスの実現をめざし、2005年に発表した「EMIEW」以来、人間と共生するロボットの開発を推進してきた。2007年に発表した「EMIEW2」では、人の早足と同じくらいの速度で移動する自律走行機能や、雑音の中で人の声を聞きわける機能、Web上のデータを利用してモノを識別する機能、屋内に設置された複数のネットワークカメラを”目”としてモノを探し出す機能など、接客や案内サービスに必要とされる機能を開発し、実証などを行ってきた。近年では、人工知能技術を活用し、言い回しの異なる質問へも適切に回答する対話機能や、死角から人が飛び出す危険を予測し回避する機能など、ロボットの知能処理の高度化を実現してきた。


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EMIEW3はバッテリー駆動のロボットで、バッテリーの持続時間は使用状況によって異なるが約3時間程度だそう。

デモの様子

動画を見ても分かる通り、二本の脚の下にはタイヤが付いており、スムーズな移動を実現している。声は、PepperやRobi等に比べて低く、男の子っぽさが印象的。英語での会話にも対応しており、日本語・英語ともにスムーズな対話が可能だ。



「EMIEW3」の機能とは

日立によれば、EMIEW3は以下の機能を持っている。

1. リモートブレイン構成に基づく知識処理で実現する高い能動性

音声・画像・言語処理などの知能処理をロボットの外側で行うリモートブレイン構成を採用し、高度な接客、案内サービスの提供が可能になっている。人の動作やネットワークカメラとの連携による環境認識により、サポートを必要とするお客さまを見つけて自ら接客行動を開始。また、街頭の雑音環境でも音声を認識して翻訳することにより、多くの観光客が訪日する社会において、お客の業務を支援する。

2. ロボットのサービス稼働率を高める運用性

複数ロボットを遠隔から統合的に監視・制御する運用監視システムにより、多拠点に配置された複数台のロボット間での情報共有やサービスの引継ぎを可能としている。また、ロボットの障害発生時には遠隔地から指示を出すことで短時間での復旧対応を実現し、サービス提供稼働を高める。

3. 多様なサービスに対応する機動性の高いロボットボディ

「EMIEW2」で開発した屋内サービスで実用的な身長90cm、重さ15kgの小型軽量ボディと、人と協調して移動できる最大移動速度6km/h、15mmの段差乗り上げ機能を継承するとともに、新たに、転倒からの起き上がり機能を搭載している。

日立は、「EMIEW3」とロボットIT基盤を活用し、お客と共にロボットサービスの実証実験を開始することを発表した。実証実験の場や、一般の方々が触れ合える場等の情報については現時点では公開されていない。



「EMIEW3」の価格や販売時期は?

今回は研究開発成果としての発表ということで、価格などは決まっておらず、販売時期も未定。ただし、実証実験を行いつつ、18年度の販売を目指していきたいとしている。

ロボットアプリ開発者への開発環境の提供なども検討しているとのことで、ロボットアプリデベロッパーにとっても注目のロボットとなるはずだ。

ABOUT THE AUTHOR / 

望月 亮輔

1988年生まれ、静岡県出身。元ロボスタ編集長。2014年12月、ロボスタの前身であるロボット情報WEBマガジン「ロボットドットインフォ」を立ち上げ、翌2015年4月ロボットドットインフォ株式会社として法人化。その後、ロボットスタートに事業を売却し、同社内にて新たなロボットメディアの立ち上げに加わる。

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