【ロボット業界 熊の陣】auとDoCoMoが同じタイミングでクマのロボット発表の巻
auさんとNTT DoCoMoさんがそれぞれ別に2016年3月末に発表したロボットについて、何が似ていて、どこがどう違うのか、とっても気になるので調べてみました。
au未来研究所 / コンセプトモデルComi Kuma
抱きしめることで想いを伝えるクマ型ロボット。触ったり動かしたりするだけで、2つのぬいぐるみ間でスタンプのやりとりを行うことができる。コンセプトモデルのため価格未定。
NTT DoCoMo / コミュニケーションパートナー ここくま
コミュニケーションパートナーのクマ型ロボット。ボイスメッセージのやりとり、会話、ゆるい見守りなどの機能がある。2016年7月頃発売予定、価格は34,800円。
似ている点
まず似ているところをチェック。
タイミング、形、名前が似てる?!
ほぼ同時のタイミング(auは3/29、DoCoMoは3/30)だったということ、そして、クマ型のぬいぐるみロボット、という共通点が驚きだったわけですが、何気に一番似てるのは名前だったりします。こみくま、ここくま・・・一文字しか変わりません(^-^;)
なぜ、単なるロボットではなく、クマのぬいぐるみロボットだったのでしょうか?
これは利用者層を考えた時に、メカメカしいロボットよりもぬいぐるみ型の方が受け入れやすいという背景があるようです。触り心地もぬいぐるみのほうがいいですもんね。子供が触ることを考えても関節がむき出しのメカメカしいロボットよりもぬいぐるみのほうが安全という話もあります。
ではぬいぐるみの中で、なぜクマだったのでしょうか?
いろいろ調べてみると、クマは犬や猫にくらべて品種の差にバリエーションがなく、好みの差があまり出ないからだそうです。なるほどですね。その考え方だと、ウサギやブタでもいい気もしますけれどね。
コンセプトも似ている?
離れたところに住む家族間をつなぐコミュニケーションデバイスであるという基本的なコンセプトもすごく似ています。お年寄りと孫がやり取りするシーンなどのコミュニケーションを可能するという目的はどちらのロボットも可能なわけです。そのためどちらも通信モジュールが内蔵されています。
操作性が簡単なのも似ている?
どちらも共通してスマートフォンよりも操作は明らかに簡単で、誰もがすぐに使い方を理解できるようなユーザーインターフェイスになっています。
異なる点
続いて違っているところを見ていきましょう。Comi Kumaと、ここくま、目指す方向性は似ていますが、その実現方法、アプローチは大きく違っています。
Comi Kumaはバーバルコミュニケーションではなく、スタンプのやりとりを簡単にするというアプローチ。
胸に小さな液晶ディスプレイを装着しており、そこに遠方のクマが抱きしめられると、抱擁をイメージするスタンプが送られてきて表示される仕組みになっています。たくさんのセンサーが内蔵されており、クマを動かすアクションを適宜スタンプで送信して、やりとりを行うわけです。
またクマ自体にはサーボなどは内蔵されておらず、動くことはありません。またコミュニケーションには2体のクマがセットで必要になります。
またコンセプトモデルとなっており価格や発売時期はまだ発表されていません。
一方ここくまはバーバルコミュニケーション、それもテキストではなく音声でやりとりするというアプローチをとっています。
ここくまは液晶ディスプレイは装着しておらず、その代わりボイスメッセージを送受信可能になっています。またクマと遠方のスマートフォンが通信する仕組みになっており、1台のクマ+スマートフォン(アプリ)の組み合わせで運用するという点はauとは大きく異なっています。
可動部品も組み込まれていて、目や口が動くさまはは生き物っぽさを感じさせます。そして近くの人を検知して、話しだすという機能が実装されているのも異なる部分です。
コンセプトモデルではなく、2016年7月頃発売予定、価格は34,800円(サービス利用料は別途月額課金発生)と発表されています。
それぞれのプロモーション動画
さて。Comi Kumaとここくま、両方ともオフィシャルのプロモーション動画が公開されていますので、見てみてください。それぞれのコンセプトが良く伝わる動画だと思います。
『コミュニケーションパートナー ここくま』プロモーションビデオ
まとめ
ということで、見た目は似てるけど、コミュニケーションに対するアプローチはかなり違っていることがわかっていただけたかと思います。
ここまで見て、あたなはどちらのクマが欲しくなりましたか?
僕・・・? もちろん、どちらも買いますよ(^-^)/
この2つのクマ、現時点で優劣があるとは思えませんし、どちらもそれぞれ良いなと思うからです。あえて言うなら、どちらのアイディアも内包されたクマだともっと良いのでは・・・と思ったりしますけどね。
では、また!
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中橋 義博1970年生まれ。中央大学法学部法律学科卒。大学時代、月刊ASCII編集部でテクニカルライターとして働く。大学卒業後、国内生命保険会社本社において約6年間、保険支払業務システムの企画を担当。その後、ヤフー株式会社で約3年間、PCの検索サービス、モバイルディレクトリ検索サービスの立ち上げに携わる。同社退社後、オーバーチュア株式会社にてサービス立ち上げ前から1年半、サーチリスティングのエディトリアル、コンテントマッチ業務を担当する。2004年に世界初のモバイルリスティングを開始したサーチテリア株式会社を創業、同社代表取締役社長に就任。2011年にサーチテリア株式会社をGMOアドパートナーズ株式会社へ売却。GMOサーチテリア株式会社代表取締役社長、GMOモバイル株式会社取締役を歴任。2014年ロボットスタート株式会社を設立し、現在同社代表取締役社長。著書にダイヤモンド社「モバイルSEM―ケータイ・ビジネスの最先端マーケティング手法」がある。