ソニー、ロボット事業への再参入を発表 「AIBO」「QRIO」に次ぐロボットを開発か

6月29日、ソニーは経営方針説明会を開催。同社代表執行役社長兼CEOの平井一夫氏が、「ロボット事業」への再参入を予定していることを発表した。

ソニーは犬型ペットロボット「AIBO」や、高い制御技術で知られる二足歩行ロボット「QRIO」の生産・開発中止を2006年に発表。その後はロボット事業から手を引いていたが、2014年6月、ソフトバンクから感情認識ロボット「Pepper」が発表されると、同月行われた株主総会では株主から「対抗馬となるロボット」の不在を嘆く声が挙がっていた。

あれから2年。ソニーはついにロボット事業への再進出を発表した。過去のロボットを再開発するのか、全く新しいロボットが開発されるのかは明言されていないが、そのロボットにはソニーが今年5月に出資を行ったアメリカの人工知能ベンチャーCogitai(コジタイ)社のAIが搭載されるという。

コジタイ社は、Mark Ring、Peter Stone、Satinder Singh Bavejaの3名によって2015年9月に設立された。CEOを務めるMark Ring氏は、「Continual Learning(継続学習)」の研究者。その他の2名も人工知能領域では有数の開発者として知られている。

先日囲碁で韓国のトップ棋士であるイ・セドル氏に勝利した「AlphaGo」には、「強化学習」と「深層学習」を組み合わせた「深層強化学習」が用いられたとされているが、ソニーとコジタイ社が目指すのは、そのさらに先の人工知能。「AI開発における次の領域は、自らが経験から自律的かつ継続的に学び、より広範の領域に適応可能な人工知能の開発と考えています。この新たな人工知能により、機械は実世界での経験から自律的に知識やスキルを学習し、さらにそれらの知識・技能・理解を他の機械とも分かち合い、発展させることができるようになります」と語っている。

ソニーは人工知能の研究開発で長い歴史を有しており、1999年に発表された完全自律型ロボットであるエンターテインメントロボット「AIBO(アイボ)」には、顔認識や音声認識など多くの最先端の人工知能技術が搭載されていた。また、2004年に設立されたソニー・インテリジェンス・ダイナミクス研究所、そして2006年に機能が移管されたソニー本社R&Dグループでは、深層学習や強化学習を含めた人工知能技術の研究を継続して行ってきている。

新しいロボットの姿形や具体的な市場への投入時期は示されていないが、近々きっと世界に大きなインパクトを与えるロボットが登場することだろう。AIBOのような衝撃・興奮を世界中に巻き起こすことができるのか、今後の動向に注目したい。

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望月 亮輔

1988年生まれ、静岡県出身。元ロボスタ編集長。2014年12月、ロボスタの前身であるロボット情報WEBマガジン「ロボットドットインフォ」を立ち上げ、翌2015年4月ロボットドットインフォ株式会社として法人化。その後、ロボットスタートに事業を売却し、同社内にて新たなロボットメディアの立ち上げに加わる。

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