【Japan Robot Week 2016 レポートvol.4】ロボット大賞の授賞ロボットがズラリ 災害時に活躍した大型ドローンやイチゴ収穫ロボットも

Japan Robot Week 2016の初日、「第7回 ロボット大賞」の授賞式が開催され、その隣の展示スペースでは受賞したロボットが一堂に会した。

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Japan Robot Weekでは、ロボット大賞授賞式が行われた

受賞したロボット群は速報記事「第7回ロボット大賞、ソフトバンク「Pepper」やMUJIN「Pick Worker」、サイバーダイン「HAL」などが授賞」で確認頂くとして、今回、開発者に話を聞いて興味を持ったロボットを紹介したい。

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お馴染みのPepperは総務大臣賞をみごと受賞

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サイバーダインのHAL。医療用下肢タイプ




風速15mでも滞空可能な3次元レーザースキャン搭載のドローン

ひとつは、国土交通大臣賞を授賞したルーチェサーチ株式会社の「SPIDER(スパイダー)を用いた高精度地形解析による災害調査技術」。ハードウェアとしては大型のレーザー(LIDAR)を搭載した巨大なドローン。3次元レーザを最大で秒間50万発も発射して、地形を読み取ることができる。

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110cmのドローン。大きく感じるが、3次元RIDERを搭載し、風速15mでも滞空できる優れもの

航空機より低空を飛行できるため、5cmの誤差程度に正確に把握・測量でき、更に森林地帯などでは樹木で空からは見えない森林の地面の地形も把握することが可能と言う。
RIDERの小型化により、ドローンに搭載が可能になった一方、ドローンのサイズは110×110×70cmと巨大なサイズ。しかし、巨大な分、横風に強く、風速15mでも滞空が可能。連続したフライトタイムは15分。
既に実績を上げていて、奈良県五條市の深層崩壊によって地面の変化を空から測量し、国土交通省の技術認定を受けた。

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最大で秒間50万発のレーザーを発射できるRIDERシステム

また、熊本県地震の南阿蘇の測量でも活躍した。当時、水曜日に測量した後、翌日に大雨が降り、地形が更に変化したという。その場合でも金曜日にドローンを飛ばすことで新たな測量図面を作成して差分解析を行い、更には捜索隊の安全性の確認にも利用された。これは日本初のケースだった。

今後は高精細のデータが測量できるため、広範囲の森林測量に利用が考えられていると言う。




自走式イチゴ収穫ロボット、やがては味まで見分ける

同じ品種でも大きなサイズのイチゴは高級品として販売できる可能性が高く、特に欧米では高価で取引される。しかし、日本の農家では高級品として取り扱えるイチゴも、他のイチゴと一緒に収穫して出荷するケースも少なくないと言う。国立大学法人 宇都宮大学とアイ・イートが開発したロボットは畑に実っているイチゴをカメラで識別し、高級品として取り扱えるサイズと色のイチゴのみを自動的に判別して収穫することができる。

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自走式イチゴ収穫ロボット。綺麗で大玉のイチゴのみを判別して収穫する

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巨大なイチゴ。これでも小さい方だと言う。海外では大玉のイチゴは高級品として取引されている

ロボットはイチゴに触れずに収穫可能なので、収穫したイチゴにイタミがなく、清潔な状態を保つことでも効果がある。
ロボットが高級品として出荷できる苺を収穫した後で、人間の手によってその他のイチゴの収穫を行う方法によって付加価値が高いものを生産できる。

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ロボットが高級品を丁寧につんでから、その後で人間が大量に収穫するという流れも興味深い。

また、更に興味深いことに、今後はロボットがイチゴのおいしさを非接触で判断し、美味しいと判断した固体だけ摘むことができるようになると言う。特殊な電磁波をイチゴに当てることで、中の糖度や酸味などを識別することができる。積む段階でおいしさを判定し、出荷するイチゴが美味しい固体だけに限定できれば、そのブランドはより高まると考えられる。

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ロボットに搭載できるほどコンパクトなおいしさ測定器を開発したいとのことなので、やがては主婦がハンディのおいしさ測定器を持ってスーパーに買い物に行き、美味しい果実だけを購入できるようになる、そんな時代がくるかもしれないと感じた。


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ロボスタ編集部

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