クルマは“愛”がつく工業製品〜「TOYOTA Concept-愛i」が未来すぎる件



CES2017で話題になったトヨタの最新コンセプトカー「TOYOTA Concept-愛i」。遅ればせながら紹介したいと思います。



TOYOTA Concept-i01

Photo: TOYOTA MOTOR CORPORATION.

まず「愛i」という名前がインパクト絶大ですね。

これは、トヨタが大事にしている「クルマは“愛”がつく工業製品」という思いを具現化したものだそうです。
たしかに、大事にしているものであっても、愛カメラ、愛PC、愛スマホとは言わないし、愛車、という表現ほどぴったりくる工業製品はなさそうです。人間のかけがえのないパートナーとしての立場の代表が車なんだろうと思います。僕もいろいろな車に乗ってきましたが、どれも愛車として思い出がたくさんあります。PCなんて最新機種に買い替えてしまえば、昔の機種を思い出すことはまずありません。そう考えると、車はやはり違いますよね。



TOYOTA Concept-i02

Photo: TOYOTA MOTOR CORPORATION.

もちろん、エクステリアデザイン、インテリアデザインも凄まじい未来感です。

トヨタの米デザイン拠点Caltyによるデザインで、エクステリアからインテリアまでシームレスなスタイリングが目を引きます。「INSIDE OUT」と呼ぶデザインテーマが採用されています。

もちろん市販車がこのままの形で登場するとは思いませんが、今後のトヨタのデザインのなんらかのモチーフになっていくんだろうと思わずにはいられないデザインです。



TOYOTA Concept-i03

Photo: TOYOTA MOTOR CORPORATION.

ドアの開き方はまるでスーパーカー。フロントに跳ね上がることで乗り降りはしやすそうですね。定員は4名となっています。右後ろのドアも跳ね上げ式なので後部座席の乗り降りも配慮されています。

パワートレーン詳細は非開示ですが、ゼロエミッションのパワートレーンが想定されているそうです。床下にバッテリーを搭載しそうに見えます。



TOYOTA Concept-i04

Photo: TOYOTA MOTOR CORPORATION.

名称、見た目が特徴というだけならロボスタで取り上げる車ではありません。この「TOYOTA Concept-愛i」は人工知能領域の技術が満載になったコンセプトカーなんです。だからこそ、ロボスタも注目しているんです。

人工知能で感情認識・指向性蓄積を行い、人を理解、ともに成長するパートナーとしての自動車になっているそうです。自動運転技術やエージェント技術を組み合わせることで人とクルマの新たな関係を創造するとのこと。

単なる自動運転技術の話にとどまらないのがトヨタのすごいところです。



TOYOTA Concept-i05

Photo: TOYOTA MOTOR CORPORATION.

「TOYOTA Concept-愛i」は人間の感情を理解するだけでなく、自ら感情表現も行います。フロントライトはまるで人間の目のような変化をします。



TOYOTA Concept-i06

Photo: TOYOTA MOTOR CORPORATION.

リアにも後方のクルマに向けてメッセージを表示できるようになっています。



TOYOTA Concept-i07

Photo: TOYOTA MOTOR CORPORATION.

ドライバーは乗り込む前にクルマからメッセージをうけとれます。



TOYOTA Concept-i08

Photo: TOYOTA MOTOR CORPORATION.

ドライバーズシートに座れば、クルマがドライバーの表情や動作、覚醒度などをデータ化していきます。さらにドライバーのSNS発信や行動・会話履歴によって、嗜好を推定し、ドライバーに合わせたユーザーエクスペリエンスを提供するとのこと。



TOYOTA Concept-i09

Photo: TOYOTA MOTOR CORPORATION.

ドライバーの状況や、周囲の状況に合わせて最適な誘導を行うそうです。疲れているようであれば五感を刺激し安全運転に誘導したり、危険な状態では自動運転モードに切り替わるなど、ドライバーを見守ったり、助け合ったりを自然に行う、まさに至れり尽くせりのシステムになっています。



TOYOTA Concept-i10

Photo: TOYOTA MOTOR CORPORATION.

もちろんクルマとコミュニケーションすることもできます。ドライバーの感情・覚醒度に応じて、クルマが会話を誘導し、ドライバーの嗜好に応じた話題や、関心の高いニュースをクルマ側から提案するなど、従来にない双方向の自由会話を実現するとのこと。さらには蓄積したデータから、少し遠回りしてでも楽しめるルートを提案するなど、未知なる体験を提供してくれるそうです。

最後に公式動画をどうぞ。


こんなに未来なクルマ「TOYOTA Concept-愛i」ですが、数年内に一部機能を搭載した車両で日本での公道実証実験を開始する予定であることも発表されました。

こんな自動車と共に暮す未来の生活が楽しみですね!


僕はこう思った:
市販されたとしても、さすがにロボスタで経費で購入は厳しそう・・・。(涙)



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中橋 義博

1970年生まれ。中央大学法学部法律学科卒。大学時代、月刊ASCII編集部でテクニカルライターとして働く。大学卒業後、国内生命保険会社本社において約6年間、保険支払業務システムの企画を担当。その後、ヤフー株式会社で約3年間、PCの検索サービス、モバイルディレクトリ検索サービスの立ち上げに携わる。同社退社後、オーバーチュア株式会社にてサービス立ち上げ前から1年半、サーチリスティングのエディトリアル、コンテントマッチ業務を担当する。2004年に世界初のモバイルリスティングを開始したサーチテリア株式会社を創業、同社代表取締役社長に就任。2011年にサーチテリア株式会社をGMOアドパートナーズ株式会社へ売却。GMOサーチテリア株式会社代表取締役社長、GMOモバイル株式会社取締役を歴任。2014年ロボットスタート株式会社を設立し、現在同社代表取締役社長。著書にダイヤモンド社「モバイルSEM―ケータイ・ビジネスの最先端マーケティング手法」がある。

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