本日から東京ビッグサイトで開催されている第一回ロボデックスで、NECプラットフォームズは「PaPeRo i」(以下パペロと表記)を出展した。
パペロは座布団型の高速ゲートウェイ(ルータ)本体に、首が稼働するかわいいロボット型のユーザインターフェース(身長約20cm)が座ったデザインのデバイス。パペロはテーブルトップ型としてNECが2013年から開発、初期バージョンは移動もできるロボットだったが、大きく軌道修正を行い、パペロiではコスト削減のため、移動機能を削除したり、サーボやセンサーの数を減らすなどをしてシンプルな構成となっている。可動部は首だけで、120度くらい、上下左右に顔を動かすことができる。ロボットではなく、高速ゲートウェイを前面に出したプロダクトとして展開してきた。今回もその延長ではあるものの、コミュニケーションロボット部分も訴求の一部として展示した。
NECでは「マーケットプレイス」と呼ぶ開発パートナー(現在、約90社)との提携により、ソリューションを開発している。ブースではパートナーが開発した掛け合い漫才、ルーレット、受付、見守り、勤怠管理、サイネージと連携したプレゼンテーション、教育用の制御アプリ等の機能を紹介している。
パペロはレンタル専用で、販売品としては用意されていない。
導入例も続々
NECプラットフォームの川島氏によると「開発パートナーとの協働は昨年の8月より始めていて、昨年末よりパペロは市場に出て活躍をしています。導入事例としては千葉県のスーパーマーケットの店頭でお買い得品の案内をしたり、コロッケが揚がる時間などをご案内しています。また、鉄道の待合室で乗客に運行状況の案内したり、弁護士事務所の受付で応対したり、スポーツクラブでは体操している人を応援したり(笑)もしています」と、実践でも既に活躍中。
また、長崎大学では長崎市と連携して、パペロを使った高齢者の見守りの実証実験が行われているという。離島で暮らす高齢者とのコミュニケーションや、市役所の係員が安否確認に活用するなどが考えられる。
ちなみにパペロの両眼にはカメラが内蔵され、ひとつは顔認識、ひとつはアプリから制御することができる高感度カメラだ。
現時点でビデオ通話はできないが、近親者が高齢者に向けてツイートした内容をパペロが読み上げたり、高齢者が顔写真を添えて返信することが音声のコマンドでできるようになっている。また、長崎大学ではIBM Watsonと連携したシステムも研究中だと言う。
また、伊豆市でもパペロを活用して認知症の予防に向けた実証実験を行うことを計画している。
開発パートナーとしてシステム会社のひとつソフィアプランニングは、大型のサイネージ(PC用ディスプレイ)とパペロ2台が連携したシステム「AutoDP with PaPeRo i」を展示している。これはPowerPointのノートに入力した内容をパペロに発話させることができ、2体のパペロの掛け合いもノートで指定できる。
イベントやスーパーなどの店頭での活躍を見込んでいる。
更に、スロット(ルーレット)形式のくじ引きシステムや企業等の受付係「受付システム for PaPeRo i」も展示している。例えば「受付システム for PaPeRo i」の場合、2月から発売予定で、初期費用は5万円未満、月額レンタル費用は9,000円(年間契約)程度を予定している。
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神崎 洋治神崎洋治(こうざきようじ) TRISEC International,Inc.代表 「Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス」(日経BP社)や「人工知能がよ~くわかる本」(秀和システム)の著者。 デジタルカメラ、ロボット、AI、インターネット、セキュリティなどに詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。教員免許所有。PC周辺機器メーカーで商品企画、広告、販促、イベント等の責任者を担当。インターネット黎明期に独立してシリコンバレーに渡米。アスキー特派員として海外のベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材。日経パソコンや日経ベストPC、月刊アスキー等で連載を執筆したほか、新聞等にも数多く寄稿。IT関連の著書多数(アマゾンの著者ページ)。