米国のAI音声アシスタント、販売数・スキル数が大幅増加中、しかし・・・利用度合いは低い
VoiceLabsが「The 2017 Voice Report」を発表した。
今回はその興味深い調査結果からいくつかトピックスを紹介したい。
AI音声アシスタントデバイスの販売台数
2015年に170万台、2016年に650万台、2017年に2,450万台が出荷され、今年の累計デバイス数は3,300万台になると予測している。
販売台数は著しく伸びており、また今後も伸びるということだが、このデータは米国内だけのものだ。日本を始め様々な国へ出荷が伸びればさらに伸びても不思議はない状況だ。
各社AI音声アシスタントのソフトウェアの特徴
Amazon Echo、Google Home、そして今後参入可能性のあるメーカーも、プロダクトのAI領域に現状大きな違いはないとしているが、VoiceLabは以下各社の特徴をあげている。
・Amazon コマース領域で優れている。
・Google・Microsoft 電子メール、連絡先、カレンダー領域で優れている。
・Microsoft ゲーム領域で勝機がある。
・Google・Amazon ホームオートメーション、ハンズフリーテレビ領域で争うことになる。
・Apple AirPods、Apple TVの戦略がある。
・すべてのプレイヤー キッチン、リビングルーム、ベッドルームのコントローラーのポジションを目指す。
音声アプリケーション(スキル)動向
Amazon Echoはアプリケーションをサードパーティーが開発できる現時点で唯一のデバイスであり、そのアプリケション(スキル)は大きな成長を見せている。
今年の1月の時点で、8,000スキルを超えているのは驚異的だ。グラフの伸びを見ても驚くべき成長と言える。
スキルをジャンル別で見ると、ニュース、ゲーム・トリビア、教育で過半数を占める状況にある。
使われ方としては、音楽プレイヤー、音声ブックリーダーとしての使われ方が46.7%と他の用途を圧倒している。
スキルが増え続けている一方、そのスキルの利用状況は芳しくない状況にあるという。
Amazon Alexa Skillsにある8,000を超えるスキルの中で、レビューがあるのはわずか31%に過ぎない。つまり69%はほぼ評価されていないというのだ。
さらに、これらのスキルをユーザーがインストールすると、2週間後もユーザーがそのスキルを使っている率はわずか3%に過ぎないという。
キラースキルが存在しない理由として、サードパーティーの開発者が使える機能が足りておらず、例えば現状利用者を声だけでは識別できないためソーシャルアプリケーションが作れないことなどがその要因としてあげられている。もちろん現在エコシステムとしてマネタイズ手段も提供されていないためデベロッパーが多くのリソースを割いて開発しないことも挙げられるであろう。
2017年はどうなる?
VoiceLabでは今年、AI音声アシスタントデバイスについて以下の進化を発表している。
・プッシュ通知機能が使われるようになる。
・スキルストアで、人気スキル、使われないスキルなどをフィルタリングできるようなる。
・スキルデベロッパーのマネタイズ手段が提供されるようになる。
ここには書かれていないが、Amazo Echo互換機の登場はさらに加速されると思われる。もちろん、日本語対応のAI音声アシスタントの動きにも今後ますます注目していきたい。
Amazon Echoスキルを作るのは簡単なので、スキルが増え続けるのは理解できますが、スキルの継続利用率が2週間後でわずか3%というのは衝撃的ですね・・・。
ロボスタ / AI音声アシスタント
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中橋 義博1970年生まれ。中央大学法学部法律学科卒。大学時代、月刊ASCII編集部でテクニカルライターとして働く。大学卒業後、国内生命保険会社本社において約6年間、保険支払業務システムの企画を担当。その後、ヤフー株式会社で約3年間、PCの検索サービス、モバイルディレクトリ検索サービスの立ち上げに携わる。同社退社後、オーバーチュア株式会社にてサービス立ち上げ前から1年半、サーチリスティングのエディトリアル、コンテントマッチ業務を担当する。2004年に世界初のモバイルリスティングを開始したサーチテリア株式会社を創業、同社代表取締役社長に就任。2011年にサーチテリア株式会社をGMOアドパートナーズ株式会社へ売却。GMOサーチテリア株式会社代表取締役社長、GMOモバイル株式会社取締役を歴任。2014年ロボットスタート株式会社を設立し、現在同社代表取締役社長。著書にダイヤモンド社「モバイルSEM―ケータイ・ビジネスの最先端マーケティング手法」がある。