はま寿司にPepperが入社 来店顧客をスタッフに代わって受付、空いた席に案内
「回転寿司は大好きだけど、たいてい混んでるからなぁ」というため息が、Pepperによって解消されるかもしれない。
ゼンショーホールディングスやソフトバンクロボティクスらは、回転寿司店「はま寿司」の一部店舗において「Pepper」を導入し、来店客の受付や案内業務に活用する実証実験を開始したことを発表した。
Pepperは「はま寿司」の店頭で来店客を迎え、人数や席種(テーブル席/カウンター席)を聞いて、座席の番号札を自動発券して案内する。主に質問はPepperが発話で、顧客からの回答はタブレットに入力して操作を行う。人数が多い場合は必要なテーブル席の数や座席が離れても良いかどうかなども確認する。
満席の場合は整理券を発券して待合所で待つように案内する。座席が空いて用意ができたら待合客を呼び出し、空いた座席の番号を案内する。
実証実験は下記の3店舗で実施され、顧客からは概ね好意的な評価をもらっていると言う。
ウィラ大井店(東京都、2016年10月~)
真岡店(栃木県、2016年12月~)
浦和店(埼玉県、2017年1月~)
店頭ではPepperと発券用のスタンド(キヨスク)がセットで置かれ、Pepperの操作方法も掲示されている。ただ、説明会開催後、たくさんの一般客が来店したが、操作方法の説明書きを参照することなく、スムーズにPepperを操作して入店受付を行っていた。
説明会では、はま寿司の田辺営業本部長が挨拶し、「はま寿司は全国47都道府県、回転寿司業界では最多の457店舗を展開している。既に厨房にはシャリを握ったり、巻物を巻いたりするロボットは導入済みだが、今回の取り組み、来店客のサービスに向けたロボットの導入は業界としても新しい試み」だと語った。
今回のPepper導入には3つの狙いがあるという。
- タイムリーに顧客を案内する
- 従業員の作業負担減
- ワクワク感の演出
具体的には、ロボットとコンピュータ(はま寿司専用のシステム)を連動することで、混み合った店内でもできるだけスムーズに顧客を案内すること、レジまわりのスタッフが顧客の案内も兼任しているが、案内をロボットが担当することで、スタッフは他の業務に専念できること、外食レストランとして家庭にはないエンタテインメント性をPepperによって演出することが狙いだ。
続いて、ソフトバンクの永田氏が「従業員にかわってPepperが業務をこなすことは画期的で、将来的には案内だけでなく、その他の業務にも拡大していきたい」と述べた。
また、ソフトバンクロボティクスでPepper事業を担当する吉田氏は従来のPepper利用と異なる点として2つをあげた。「ひとつは集客や販促ではなく、来店客全員がPepperとやりとりして入店するという、完全にマスト・ハブの業務を包括的に行っている点、もうひとつははま寿司のIoTやコンピュータシステムとPepperが連携すること、ネット予約客や来店客など、さまざまな状況を踏まえてPepperが案内を行う」という点を強調した。
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神崎 洋治神崎洋治(こうざきようじ) TRISEC International,Inc.代表 「Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス」(日経BP社)や「人工知能がよ~くわかる本」(秀和システム)の著者。 デジタルカメラ、ロボット、AI、インターネット、セキュリティなどに詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。教員免許所有。PC周辺機器メーカーで商品企画、広告、販促、イベント等の責任者を担当。インターネット黎明期に独立してシリコンバレーに渡米。アスキー特派員として海外のベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材。日経パソコンや日経ベストPC、月刊アスキー等で連載を執筆したほか、新聞等にも数多く寄稿。IT関連の著書多数(アマゾンの著者ページ)。