Pepper World 2017 の2日目の基調講演「IoTとRobotの未来について」では、ARM Holdings plc のVice PresidentのIan Ferguson氏とソフトバンクロボティクスの事業推進本部 本部長 吉田健一氏が登壇した。
ARMは昨年ソフトバンクが買収したことで話題になったが、スマートフォン等のモバイル端末や小型のデバイスの中に入っているCPUやチップセットなどに使われるベース技術を開発している企業。
注目されている理由はIoTによって、多くの中小型デバイスが普及していく見込みだが、その中にARMが使われていく可能性が高いことがあげられる。
ただ、一般の者にとってはそもそもIoTとはなんなのか、社会や生活にどう関わってくるのかということがイメージしづらい。
ARMのFerguson氏によれば、一例として「サンフランシスコのベイエリアにあるオークランドでは、銃声が聞こえたら街灯の照明を自動で明るくしたり、警察を呼んだりする」「工場では既にロボットが効率を上げるために旗にしているが、機械が壊れる前に予知するしくみが導入されている」と語った。
また、今後は目にセンサーをつけたり、皮膚に付けるなど、IoTデバイスが人体に入っていく可能性を示唆した。ウェアラブルデバイスのセンサーから多くの情報を集めることができ、それを活用して高度なシステムが作れる未来を語った。
ビジネス面では、エコシステムが重要と語った。IoTの進化は1社ですべてをやることはできないので多くの企業との協業がポイントになると言う。
Pepper IoT Connectを発表
吉田氏は「AIとIoTに命を吹き込むのはロボット」であり、ロボット活用のキーワードは「エンゲージメント」であるとした。「愛着心」によって人が何かを行う、アクションを誘導する魅力をロボットは持っている。
例えば、大きなディスプレイ(サイネージ)を使ったとしても、顧客が立ち止まって見てくれない情報でも、ロボットが話しかけることで効果的に伝えることができる。
沖縄徳州会湘南厚木病院では、疾患検査(特定の健康診断)のポスターを病院の廊下に掲示してもほとんど申込みがなかったが、Pepperが健康診断Q&Aととともに疾患検査をアナウンスすると申込みが急激に増えたことなどを紹介した。
基調講演の最後に「Pepper IoT Connect」の紹介があった。
ロボットとプリンタ、ロボットと液晶デバイスなど、PepperとIoTデバイスの連携を促進するプログラムで、IoT開発の促進が目的と言う。
オフィシャルパートナーはマイクロソフトで、Azureの一部のサービスが6月末まで無料で提供される。
Azure上でクラウドロボティクスSDKとAPIが提供され、Azureの利用も無料となり、開発環境を支援する(Microsoft AzureとMicrosoft Cognitive Servicesの10万円相当を利用可能)。
例えば、「Microsoft Cognitive Services」を活用することで、Cloud AI(翻訳・会話・画像認識など)と連携でき、 「Pepperが中国語を聞き取り、そのデータをTranslatorサービスと連携し、日本語に翻訳してPepperが話す」という利用も可能となるという。
今後はテクニカルワークショップを行うなど、技術的な支援もおこなっていく見込みだ。
なお、認証制度となり、今日から申込みが開始された。
詳細は下記を参照。