サーティワンアイスのPepper導入事例、呼び込みで販売数+8.5%に改善、1670件の顧客情報を収集
昨年ソフトバンクが展開したスーパーフライデーを記憶している人も多いことだろう。
毎週金曜日に牛丼やアイス、ドーナツが月替わりで無料でもらえるキャンペーンで、2017年も3月と4月に実施される。
その中でソフトバンクが組んだ企業のひとつが「B-Rサーティワンアイスクリーム」(以下サーティワン)だ。
サーティワンの「店舗にPepperを導入するきっかけとなったのはスーパーフライデーだった」(佐藤氏)と言う。Pepper World2017の基調講演に登壇した佐藤氏はPepper導入の効果を紹介した。
「スーパーフライデーでは1店舗で1000人以上が来店する」と言い、飲食業界では人手不足が深刻化するなか、これを成功させるために店舗スタッフの増員を行った。しかし、一部の店舗ではスタッフ不足のままで不安が残り、スタッフに新たな負担を掛けることなく効率化をはかる方法を模索する必要があったと言う。
そこで、Pepperを導入することに決めた。
スーパーフライデーでは、ソフトバンクが顧客のスマートフォンにサービス告知のメールを配信する。ユーザーはそのメールを開き、クーポンコードを入力してクーポン画面を表示、その画面を店舗スタッフに見せる必要がある。そこから先は店舗スタッフが対応するが、そこまでの操作は来店客に自分で操作してもらう必要がある。その対応をスタッフがやらなくてすむように、代わりにPepperを配置してやり方をしゃべらせた。
この作戦について店舗スタッフの評価は上々だった。
「Pepperがスーパーフライデーの案内をしていたので店内が賑やかで活気があった」「通行客がPepperを見て、なにをやっているんだろうと注目してくれた」「来店客にやってもらうスマホ操作の説明が省けるので助かった」という意見を紹介した。
クリスマスセールで活躍
その後もPepperを販促PR活動に活用している。
そのひとつがクリスマス・アイスクリーム・ケーキの販売だ。Pepperが店頭で呼び込みを行った。
周辺の平均と比較して前年比-6.3%だった店舗にPepperを導入して呼び込みを行ったところ、+8.5%に改善・向上、クリスマスセール全体で前年比103.7%になったと言う。
1600超の顧客リストの収集
サーティワンではPepperが顧客リストの収集を行う実証実験にも取り組んでいる。
店舗スタッフに顧客リストの収集などの負担を増やさないようにするためPepperがその役割を担うという。
「お友達登録促進キャンペーン」だ。
Pepperで割引クーポン券を配布している。顧客がPepperのタブレットに電話番号を入力すると、その番号のスマホにクーポンが送られるしくみだ。これにより顧客の電話番号が収集でき、その後のキャンペーン情報などを継続して告知することができる。
顧客側もスタッフからクーポンを受け取るしくみと比較すると、Pepperの方が気軽に登録できるようだ(動画より)。
結果は33日間の稼働で1,670件の顧客情報の収集ができた。
「個人情報の中でも電話番号は入手しづらいが、Pepperなら可能になる」と言う。
その後、収集した顧客情報をもとに「リピート促進キャンペーン」を一週間実施した。
1,670件のユーザに対してキャンペーン告知のお知らせを送ったところ、34件の利用があったと言う。これは2.0%の利用率で「まだまだ高いとは言えないかもしれないが、SNSを利用した最初の施策しては満足している。今後はこの数字を上げていきたい」とコメントした。
このシステムはPepper World 2017の展示ブースでも公開され、来場者の注目を集めていた。