「PLEN CUBE」がKickstarterで資金調達開始! 注目は「喋らずに表現する」ロボティクス技術

日本のロボット開発会社「プレンプロジェクト」と、中国の大手メーカー「GoerTek」の新会社「PLENGoer Robotics」が開発した「PLEN CUBE」が米国で話題だ。


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一昨日クラウドファンディングサイト「Kickstarter」にプロジェクトページを公開すると、調達目標額の5万ドル(約560万円)の半分以上にあたる2万8,000ドルを1日で調達。新たなコンセプトのロボットの登場に、多くの人が胸を躍らせている。


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プレンプロジェクトが過去に作ってきたロボットは、主に教育などで使われてきた二足歩行の「PLEN」シリーズだ。

小柄で可愛らしいデザインのPLENは、スマホから簡単に操作することができ、時にはスケボーに乗って移動したりする。これらの開発で培われてきたロボティクス技術を元に開発されたのが、全く新しいコンセプトの「PLEN CUBE」である。

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「PLEN CUBE」は、手のひらサイズの持ち運びが容易なロボットだ。フルHDカメラ、2.2インチのディスプレイ、マイク、スピーカーを備えており、顔認識、音声認識などの最先端のソフトウェアを搭載している。

見た目は、一辺7.5cmの「立方体」。小さな家電のようなデザインで、とてもロボットとは思えない。しかし、PLEN CUBEが動き出した瞬間、それがロボットであることがわかる。



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プレンプロジェクトの代表であり、PLENGoer Roboticsの代表を務める赤澤氏は、ロボスタの取材に以下のように語ってくれた。

赤澤氏

最近のサービスロボットは会話でコミュニケーションをするタイプのものが多く、ディスプレイが顔になっていたり、いかにもロボットという形のものが多く発表されています。でも、『そんなにしなくてもロボットならではの表現があるんじゃないの?』と私は思っています。PLEN CUBEでは、動きだけでこんなに表現ができるんだということを体感してもらいたいです



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「PLEN CUBE」の上面にはディスプレイがあり、一つのカメラとスピーカー・マイクが備わっている。胴体部分(下部)の上に頭(上部)が乗っかっているデザインになっており、頭の部分は回転が可能だ。頭は横に回るだけでなく、傾けることができる。これにより「首をかしげる」など体を使った表現が可能となっている。

首をかしげた瞬間、頷いた瞬間、ロボットのような見た目をしていないにも関わらず、それが生きているかのように感じるから不思議だ。

PLEN CUBEは、頭部をルービックキューブを回すようにひねる事が一つの入力スイッチになっているが、それ以外にもジェスチャーや「音声」で指示を与えることができる。つまり音声認識は搭載しているのだが、一方で音声合成の機能は持っていない。あくまで人とのコミュニケーションは動きで行うのだという。

過去にロボットを作ったことがなかったメーカーが「ロボットらしいロボット」を作り始めている中、ロボットを作ってきたプレンが「ロボットに見えないロボット」を作っているという状況がなんとも面白い。


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IoT機器としても活用が可能なPLEN CUBEだが、その活用方法には大きく2つがある。1つは音楽ストリーミングプレイヤーとしての活用、そしてもう一つはカメラマンとしての活用だ。

音声入力が可能な据え置き型タイプの音楽プレイヤーとしては、アマゾンエコーやグーグルホームがアメリカを中心に家庭に導入され始めている。特に、先行するアマゾンエコーは500万以上もの台数を販売しているという報道もある。

現在北米だけでなく日本国内でも注目され始めている市場だが、PLENGoer Roboticsが狙うのはそれとはまた違う市場だという。


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赤澤氏

一見アマゾンエコーやグーグルホームと同じようなコンセプトに思えるかもしれません。しかし、PLEN CUBEの良さは持ち運べるところにあります。家の中で使うデバイスとは違って、外出先でも使うことができます。例えば山登りなどのアクションスポーツにPLEN CUBEを持っていけば、山頂に置いておくだけでパノラマ写真を撮影してくれます。音楽をやっている人は、演奏中にPLEN CUBEを置いておくだけで、顔を追従して自動で”良い画”を撮影してもらうことができます。

このように外出先にも気軽に持っていくことができるという意味で、小型化することにこだわってデザインしました。



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プレンプロジェクトのロボットのデザインは赤澤氏が自ら行ってきており、今回も例外ではない。同社が過去に開発してきたPLENシリーズは、いわゆる「ロボット」というようなゴツゴツしたデザインではなく、家の中にあっても違和感がないような可愛らしいデザインをしているが、そのコンセプトは今回のPLEN CUBEにも引き継がれている。手に取りやすいPLEN CUBEのデザインは、赤澤氏が今回こだわったポイントの一つだという。

音声認識機能を持つPLEN CUBEだが、対応言語は現在のところ英語のみ。販売も当初はアメリカで行っていく。英語圏への展開を見据えた販売戦略と、音声認識の導入が比較的簡単だったことがアメリカを選んだ一つのポイントだったようだ。


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PLEN CUBEの現行のモデルではWi-Fiでの接続は可能だが、SIMスロットは搭載されていない。ネットに繋がっていなくてもある程度のインタラクションが可能だというが、ネットに接続することによってPLEN CUBEはさらに活用法も広がっていくはずだ。外出先で快適に使えるようにするためには、SIMが使えるかどうかはひとつのポイントになるだろう。

また、PLEN CUBEにどのようなアプリケーションが乗っていくかということも、PLEN CUBEの評価を左右する要因になるだろう。初期モデルはLinuxがベースのためオープンにはなっていないが、AndroidベースのPLEN CUBEも検討されているため、外部のソフトウェアデベロッパーが思い思いにアプリケーションを作ることで、より広範な機能を持ったプロダクトになる可能性も秘めている。

現在は、超早期割が適用され299ドルで購入することができるが、その後は349ドル、399ドルと価格が上がっていく。コンセプトと、ロボットのデザインを見て、欲しいと思ったらすぐに購入すべきだろう。

日本のロボティクス技術が、世界中で認められていくことに期待したい。

ABOUT THE AUTHOR / 

望月 亮輔

1988年生まれ、静岡県出身。元ロボスタ編集長。2014年12月、ロボスタの前身であるロボット情報WEBマガジン「ロボットドットインフォ」を立ち上げ、翌2015年4月ロボットドットインフォ株式会社として法人化。その後、ロボットスタートに事業を売却し、同社内にて新たなロボットメディアの立ち上げに加わる。

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