オーストラリアMarathon Targetsが開発した「動く射撃ターゲットロボット」

ロボットに関する技術が発展する背景のひとつに、良かれ悪かれ軍用ロボットの開発ニーズが少なからず存在している。国内では軍用ロボットについてそれほど目立った動きはないものの、海外では移動型ロボットの技術は軍用ロボット開発が大きな役割を果たしているのは間違いないだろう。


そんな軍用ロボットの中から、今回はオーストラリアの軍用ロボット開発企業「Marathon Targets(マラソン・ターゲッツ)」を紹介する。




Marathon Targetsとは

Marathon Targetsは、社名のターゲットが示すように、実銃射撃訓練用のロボット・ターゲットシステムを開発・製造・販売している企業だ。軍隊に向けて行われる兵士訓練プログラムで使われるためのロボットのメーカーだ。オーストラリア軍や米軍をはじめとする軍隊が採用しているという。



Photo: Marathon Targets

上半身は人形、下半身は車輪のついたロボットという構成だ。このロボットはフィールド内を人間のように自由に動き回ることができる。兵士のライフル射撃訓練の中で、このロボットを標的とすることで飛躍的に射撃の精度を上げることができるという。旧来の標的で使われていた固定式、ポップアップ式、レール式などでは実戦の射撃の訓練には適切ではなかったという。米国海兵隊が行ったロボット標的を使った射撃訓練で24時間以内には兵士の射撃精度を104%も向上させたという。


Marathon Targetsはいくつかのタイプのロボットを開発しているので以下それぞれ見ていく。




Marathon Targetsの4輪ロボット



Photo: Marathon Targets

4輪で移動できるターゲット・ロボット「T40」。悪路に強い構造になっている。



Photo: Marathon Targets

自律制御、人工知能搭載、全方位からの狙撃検出、被弾に強い防弾シャシー、集団行動などに対応しているという。


ターゲット・ロボットは、兵士からの狙撃で被弾すると、上半身が人間のように倒れるような仕組みになっている。その映像はショッキングだ。




Marathon Targetsの2輪ロボット



Photo: Marathon Targets

2輪で移動できるターゲット・ロボット。セグウェイのように前後にバランスを取りながら機敏に動き回れる。まるで人間のような動きを実現している。


複数のターゲット・ロボットが同時に動く動画は、逃げ回る人間の様で、見ていて気持ちのよいものではない。




Marathon Targetsのロボット動画

YouTubeのMarathon Targets公式チャンネルには様々な動画が公開されている。



Photo: Marathon Targets

興味のある方はご覧いただきたい。Marathon Targetsのロボットは、人間への攻撃を目的としたロボット兵器ではないとは言え、人間を狙撃するための練習の相手という意味ではいろいろと考えさせられるロボットだ。


僕はこう思った:
軍事用ロボット、軍用ロボット、ロボット兵器、呼び方は様々ですが、ロボット業界で働く者として、この手のロボットは無視できる存在ではありません。引き続きロボスタでは注視していきたいと思います。


外部リンク
Marathon Targets


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中橋 義博

1970年生まれ。中央大学法学部法律学科卒。大学時代、月刊ASCII編集部でテクニカルライターとして働く。大学卒業後、国内生命保険会社本社において約6年間、保険支払業務システムの企画を担当。その後、ヤフー株式会社で約3年間、PCの検索サービス、モバイルディレクトリ検索サービスの立ち上げに携わる。同社退社後、オーバーチュア株式会社にてサービス立ち上げ前から1年半、サーチリスティングのエディトリアル、コンテントマッチ業務を担当する。2004年に世界初のモバイルリスティングを開始したサーチテリア株式会社を創業、同社代表取締役社長に就任。2011年にサーチテリア株式会社をGMOアドパートナーズ株式会社へ売却。GMOサーチテリア株式会社代表取締役社長、GMOモバイル株式会社取締役を歴任。2014年ロボットスタート株式会社を設立し、現在同社代表取締役社長。著書にダイヤモンド社「モバイルSEM―ケータイ・ビジネスの最先端マーケティング手法」がある。

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