高橋智隆氏トークショー
ロボットクリエイターの高橋智隆氏のトークショーは、フリーアナウンサーの木佐彩子氏との質疑応答の会話形式で行われました。
木佐(敬称略)
ロビくんには人工知能は入っていますか?
高橋(敬称略)
人工知能という言葉が流行っていますが、多くの人は安易に考えすぎていて危険に感じます。人工知能がわれわれ人間の振る舞いを真似ることで、ロボットがスタスタ歩いて、人間ができることがドンドンできるようになる未来を想像するかと思いますが、技術的にはまだそんなことはない、実現できないのが現状です。自戒の意味を込めて、一研究者として人工知能が入っているとアピールしすぎることは自重しなければならないと思っています。
木佐
人工知能がそんな風にできるようになるまでにはあと何年くらいかかりますか?
高橋
技術的にいろいろなブレークスルーがあって、ロボット製品がたくさん使われていくに従って、技術の精度が上がって、数年、5年くらいはかかってしまうと思います。
木佐
ロビ2はインターネットに繋がるのですか?
高橋
ロビの特徴としてWi-Fiやインターネットには繋がりません。そのために、ネット環境のない方にもお買い求めがしやすくなっています。また、アメリカ等ではオモチャがネットに繋がることでインターネットに繋がることで、子供の会話が漏れてしまったり悪用される恐れがあるので、子供が利用するトイ製品はインターネットには繋がらない方が良いという意見があります。その点でもロビ2は安心して楽しんで頂けるようになっています。
一方で機能は増やしていって欲しいという要望がありますので、メルマガのQRコードを読ませることによってロビ2の機能がアップしていく、進化する楽しみは持たせる工夫をしています。
木佐
コミュニケーションロボットというジャンルが拡がったきっかけになったのがこのロビくんだったと聞いています。高橋さんは今までオリジナル・デザインのロボットを手がけてこられましたが、既にあるキャラクターではロボットを作らないことに理由やこだわりがあるんですか?
高橋
この会場の中でも今まで手がけてきたロボットが展示されています。実は、ロボットの外観だけをキャラクターに似せたとしても、とても違和感を感じるんです。過去に鉄人28号のロボットを作ったことがあるんですが、それは操縦するロボットなので今の技術で実現できます。しかし、もっと人間味溢れるキャラクターのロボットを作ろうとしても、キャラクターのロボットは技術的に動くことを想定してデザインされていないので、まずは外観を真似ることがほぼ不可能です。更に(作品の中の)キャラクターの知性だったり、運動能力を今の技術では実際には再現できないので、オリジナルで知性と運動能力とのバランスを考えてデザインすることが大切で、それがロビであり、可愛さに繋がっているんだと思っています。
木佐
あらためて進化したロビ2くんの特徴を教えてもらえますか?
高橋
最大の特徴はやはりカメラが付いたことで、家族を見分けてくれる、大切な日を一緒にお祝いして、写真を撮ってくれることです。ほかにもロボット同士でコミュニケーションをとったり、新たな友達キューボとコミュニケーションをとることができます。デアゴスティーニさんの製品は読み物とセットになっているので、英会話や勉強など、読むコンテンツと連携できることが特徴です。
木佐
少しずつ部品を組み立ててロボットが完成するパートワークの特徴はなんですか?
高橋
小学校の入学時に6年分の教科書をもらったらゲンナリしてしまいますよね(笑)。ロボットのパーツも一度にもらったら引いてしまいますが、少しずつ組み立てていくなら楽しいし、難しいと思っていたことが本当は簡単なんだ、こういうしくみになっているんだという新しい楽しみも感じてもらえると思います。
また、一度に高額のロボットを購入すると自分に組み立てられるだろうか、と心配になる人も多いと思いますが、創刊号から組み立てていって、自分には向いていない、楽しくないともしも感じたなら途中でやめることができる、という点も、気軽にはじめてみる、ロボットに触れてみるのには良いのかな、と思います。
組み立ての方法は雑誌に詳しくやさしく書いてありますので、簡単に作れるキットになっていると思います。組み立てやすさにこだわってロビを設計してきましたので、ロビ2は更に組み立て易くなっています。親子でロボットのしくみを勉強しながら一緒に作ってみるのも楽しいと思います。
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神崎 洋治神崎洋治(こうざきようじ) TRISEC International,Inc.代表 「Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス」(日経BP社)や「人工知能がよ~くわかる本」(秀和システム)の著者。 デジタルカメラ、ロボット、AI、インターネット、セキュリティなどに詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。教員免許所有。PC周辺機器メーカーで商品企画、広告、販促、イベント等の責任者を担当。インターネット黎明期に独立してシリコンバレーに渡米。アスキー特派員として海外のベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材。日経パソコンや日経ベストPC、月刊アスキー等で連載を執筆したほか、新聞等にも数多く寄稿。IT関連の著書多数(アマゾンの著者ページ)。