ソフトバンクグループのリアライズ・モバイル・コミュニケーションズ株式会社と、歯科業界のリーディングカンパニーである株式会社モリタは、複合現実(MR)技術を使って、歯科手術トレーニングができるシステムを世界で初めて開発した。
MR技術とは、ARおよびVR技術を融合し発展させたものだ。同システムはMR技術を活用し、施術者が仮想空間のCG画像のガイドを見ながら、現実空間の実習模型に治療を施せるという特長をもつ。
歯科教育現場で精度が高く効果的な手術トレーニングを実現することを目指して作られ、2017年3月に世界最大の歯科業界の展示会「第37回ケルン国際デンタルショー」で発表された。
■Virtual + Augmented Reality meets Dental Education System
▽歯内療法(歯の神経治療)の支援
▽口腔インプラント治療の支援
このシステムは、歯科医師である窪田努氏、芳本岳氏による監修のもと、歯学教育現場で行われる歯科治療のトレーニング用に開発された。これまでARやVR技術をそれぞれ活用した治療トレーニングツールはあったが、このシステムはMR技術を活用することで、施術者が仮想空間のCG画像のガイドを見ながら、現実空間の実習模型に治療を施せる点が大きな特長。
施術者がヘッドマウントディスプレイを装着すると、搭載のステレオカメラが患者(実習模型)の口腔内や患部の映像を捉える。この映像データに「肉眼では確認できない、患部の神経や血管の位置や形状などの情報をCG画像として重ねる」ことで、施術者は、傷つけてはいけない部分を視認しながら治療することができる。
また、施術する深さや方向が、当初の計画通り進んでいるか、CG画像と照らし合わせて確認することもできる。
また、外部センサーによって、施術者や患者、歯科用器具の位置をリアルタイムにトラッキングすることで、それぞれの空間位置を認識する高度な技術を有している。また、臨床現場での将来的な活用を見据え、音声やジェスチャーでのUIコントロールにも対応している。
施術者の経験に頼るのではなく、さまざまな情報を活用し、よりリスクが少なく安全な治療を行うトレーニングを積むことも可能となるという。
なお、このシステムのMR技術体験(デモンストレーション)と説明会が、近々、報道関係者向けに実施される予定だ。