動き出す次世代5G通信とIoT(1) ソフトバンクと藤枝市でLPWAを使ったスマートシティ実証実験を発表、参加するサービス事業者を公募

ソフトバンクと藤枝市はIoTプラットフォームを活用した実証実験を行うことを発表し、参加希望者向けの説明会を、藤枝市と東京汐留のソフトバンク本社でそれぞれ開催した。
ソフトバンク本社での説明会は当初、4月25日の午後二回を予定していたが、申込みが早々に満員に達したため、午前中にも説明会を増やす盛況ぶり。およそ60社80名が参加した。

説明会は毎回、満席の盛況ぶり。IoTとLPWAへの感心の高さを物語っている

今回のプロジェクトのポイントは、静岡県藤枝市に敷設したソフトバンクの「LoRaWAN」ネットワークをいち早く使用して、IoT関連事業のサービスを行ったり、実証実験を行う機会が提供されるというもの。IoTに興味のある企業にとっては、いわゆるスマートシティ構想に実証実験の段階から参画するチャンスとなる。

藤枝市にはいち早く、ソフトバンクがLoRaWANのネットワークを敷設。サービス事業者が設置したさまざまなIoTデバイスからデータを吸い上げるためのインフラを整備する。サービス事業者はそれらのデータを活用したり、実証実験に使用する



藤枝市の場所と環境

藤枝市は静岡県のぼぼ中央に位置し、静岡市に隣接する人口約14万6,700人の地域。ソフトバンクとは包括連携を結び、ICTやロボットを中心とした教育の推進などを協働で進めている。例としては、ソフトバンクが総額約50億円をかけて計画している「Pepper社会貢献プログラム」(スクールチャレンジ)に藤枝市も参加していて、同市のすべての小中学校にPepperを161台、導入する計画だ。


ソフトバンクと藤枝市は包括連携を結んでいて、Pepperの社会貢献プログラムでも協働している

IoTに関しては、先導的導入としてソフトバンクのLPWAをいち早く整備し、実験フィールドを提供することで、産業の育成、次世代の人材の育成、教育・健康・危機管理強化などを、ICTによって藤枝市の発展に繋げたい考えだ。




一般公募型の応募を受付中

現在、このプロジェクトに参加したい企業からの提案を募集中だ。部門は「一般公募型」と「公共テーマ型」があり、一般公募型のテーマは自由、LoRaWANの利用料金が半年間無料になる特典がある。公共テーマ型は公共サービスの増進に繋がる事業に限るが、LoRaWANの利用料金が半年間無料になることに加えて上限200万円の支援金が受け取れる可能性がある。
一般公募型の募集が一足先に行われている。
詳細は藤枝市のホームページで確認できる。



IoTプラットフォームを活用した子どもみまもりサービスを導入予定

ソフトバンクと藤枝市自身も、IoTプラットフォームの実証実験として8月から「子どもみまもりサービス」を開始する予定だ。藤枝市内の17校、約1300人の小学一年生を対象に、登下校の安全を見守るサービスとして、LoRaWANとIoTを活用したものになる予定だ。
LoRaWANは広域で低速が特徴の通信なので、大容量データのやりとりが必要な監視カメラのような使い方はできない。そのため、移動や通学路をはずれていないか、などの位置情報を利用して安全を確保するような施策だと予想できるが、詳細はまだ明らかになっていない


次回は、LTEに続く次世代「5G」通信サービスはどのようなテーマで開発が進められているのか、この藤枝市のプロジェクトに対して、ソフトバンクとしてどのように考えているのかを聞く。

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神崎 洋治

神崎洋治(こうざきようじ) TRISEC International,Inc.代表 「Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス」(日経BP社)や「人工知能がよ~くわかる本」(秀和システム)の著者。 デジタルカメラ、ロボット、AI、インターネット、セキュリティなどに詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。教員免許所有。PC周辺機器メーカーで商品企画、広告、販促、イベント等の責任者を担当。インターネット黎明期に独立してシリコンバレーに渡米。アスキー特派員として海外のベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材。日経パソコンや日経ベストPC、月刊アスキー等で連載を執筆したほか、新聞等にも数多く寄稿。IT関連の著書多数(アマゾンの著者ページ)。

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