愛知医科大学、日本臓器製薬、FRONTEOが「人工知能KIBIT(キビット)」を活用した「疼痛診療支援AIシステム」の共同研究を開始

コミュニケーションロボット「Kibiro」に搭載されている人工知能エンジン「KIBIT(キビット)」は株式会社FRONTEOが独自開発したことで知られている。FRONTEOの子会社であり、医療データ解析ソリューションを提供する株式会社FRONTEOヘルスケアは、愛知医科大学の「学際的痛みセンター」の集学的診療のノウハウをKIBITに学習させ、複雑な慢性痛の診療を支援する「疼痛診療支援AIシステム」の開発に向け、研究を開始したことを発表した。

この研究は学校法人愛知医科大学、日本臓器製薬株式会社と共に行われる共同研究だ。

FRONTEOヘルスケアについて
http://www.fronteo-healthcare.com/



支援システムの開発経緯

痛みとは、身体の異常を知らせる重要な働きがある一方で、患者を最も苦しめる要因のひとつ。特に損傷が治癒した後も、痛みが継続するような原因不明の慢性痛は、長期にわたって患者の生活の質(QOL)を著しく低下させ、生産性の低下や医療費の増大など、大きな社会的損失に繋がる。その診断は検査値などによる客観的評価を行うことが難しく、担当医師の経験や主観に依存しているとの現状がある。

愛知医科大学は痛みにおける国内で初めての集学的な治療・研究施設「学際的痛みセンター」を創設した。ここでは特に慢性化した難治性の痛みに対して、生物心理社会的要因を考慮した専門分野の垣根を越えた「集学的診療」の研究も行われる。

同センターでは慢性痛の集学的診療に取り組み、年間延べ7,000人近くに治療を提供する。痛みに対する改善の成果を上げ、集学的医療としての様々なノウハウが蓄積されているものの、1人の患者を診るための時間と人員コストが非常にかかる課題も抱えている。

今後も慢性痛患者数の増加が予想されている超高齢・ストレス社会の日本では、効率的かつ適切な集学的診療を行える画期的なシステムの開発が必要となっている。

そこで今回の共同研究にて、痛みセンターの集学的慢性痛診療チームの診断・治療スキルをAIに学習させることで、患者に対して的確な診断を行い、いち早く痛みの改善に繋がる適切な治療に移行するための支援システムの構築を目指すとした。


「疼痛診療支援AIシステム」について



共同研究の第一段階として、約一年を目途に、痛み患者の過去のカルテ情報における特徴をKIBITに教師データとして学習させ、KIBITの解析による痛みの重症度判定と集学的診療チームの判定結果との相関性・同等性を指標に学習アルゴリズムの最適化を検討するとしている。

人工知能KIBITの活用イメージ

具体的には同研究にて、愛知医科大学が秘匿化・匿名化した痛み患者のカルテ情報の特徴及び集学的診療ノウハウを提供、FRONTEOヘルスケアはKIBITによる解析を担当、日本臓器製薬は新事業分野として研究を援助・支援する。また、第一段階完了後は、診断支援機器としての製品化へ向けた開発に進む予定だ。


製品化後は、「疼痛診療支援AIシステム」を国内の診療所や病院などへ広く普及を推進し、多くの痛み患者に対する効率的かつ的確な診療支援を可能とすることで、患者のみならず、医療従事者の負担軽減による医療経済的なメリットも実現できることを目指すとしている。

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ロボスタ編集部

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