ドローンと気球で遭難者を救え! ソフトバンクが雪山での遭難者の位置を特定する実証実験結果を報告、総務省が公表

スキー、登山、訓練時の・・雪山での遭難事故は残念ながら後を絶たない。
雪崩による事故も起こっている。
山岳地域での遭難の場合、山間部では基地局アンテナからの電波が山の尾根等に遮られて電波が届かないことが多く、サービスエリア外(圏外)になってしまうことで、遭難時に携帯電話やスマートフォンが利用できないことも多い。

万が一の遭難の際、どうにかして、いち早く遭難者の位置を特定する方法はないだろうか。
ドローンや気球を飛ばし、上空から遭難者の持つスマートフォンと通信することで位置が特定できないだろうか?
また、遭難者が雪に埋もれていると仮定した場合、どれくらいの深さなら雪を通して通信が可能なのだろうか?

総務省北海道総合通信局は2016年8月にこの実証実験を含む「携帯・スマホ等を活用した遭難者の位置特定に関する調査検討」事業をソフトバンクに委託。この度、ソフトバンクが雪山での実証実験結果をまとめて報告した。


雪に埋もれたケータイ端末とドローンや気球が通信

具体的な実験の内容は下記の通り。
場所は北海道虻田郡倶知安町のスキー場、2016年の12月中旬に実証実験を実施。
携帯電話・スマートフォン(以下、遭難端末と表記)が雪の中に埋もれた状況にし、係留気球とドローンを高度約100メートルに浮かせて遭難端末と通信、無線中継システムに情報を送ることで遭難端末の場所を特定する。

ソフトバンクが提案した「臨時無線中継システム」。高度約100メートルにドローン、または係留した気球を飛ばし、雪の中に埋もれた遭難端末と通信する。遭難端末はGPS衛星と通信して自分の位置情報をドローンや無線中継局を経由してサーバシステムに送信することで、遭難者の位置を推定・特定する

結果としては、約4メートルの深さの雪に埋もれた遭難端末と通信し、GPS情報を取得して遭難した位置を特定することができた。
この臨時無線中継システムのメリットとして、(1)ドローンや係留気球が雪に埋もれた携帯電話・スマートフォンに近付くことで、基地局との距離に比較して大幅に通信距離を短くできること、(2)雪に埋もれた端末の真上方向から電波を送信することで電波を雪の中に深く届かせること、が明確な結果として得られたようだ。



機動性ならドローン、悪天候にも強い係留気球

ドローンと係留気球は、異なる特長を持っている。
ドローン無線中継システムは搭載するバッテリーの関係で短時間の運用に限定される。悪天候にも弱い。しかし、ドローンは機動性が高く、迅速な運用が可能なため、ある程度範囲が絞れている状況で救命を最優先するフェーズで位置の特定に有効だ。
また、係留気球無線中継システムは悪天候に対しても十分な耐性があり長期間の運用も可能だ。天候が悪いなか、捜索を優先するフェーズで活躍が期待できる。

同社は「技術的検証を交えた調査検討によって、係留気球無線中継システムやドローン無線中継システムが雪の中に埋もれた遭難者の携帯電話・スマートフォンの位置特定に非常に有効であることがわかった」としている。
調査結果の詳細については、総務省のウェブサイトで閲覧できる。

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ロボスタ編集部

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