リンクスインターナショナル(以下、リンクスと表記)は主に教育分野に向けて、プログラミング可能なロボット6種の国内販売を開始することを発表した。
そのラインアップの中には組み立て&プログラミング可能な「Jimu Robot」(ジムロボット:5種類)のほか、あのモヒカンロボット「Alpha1 pro」(1種類)も含まれている。Alpha1 proは16個のサーボを搭載したプログラミング可能なロボットながら、価格は62,640円に抑えている。
家庭で楽しめて、プログラミング教育にも最適なロボット
5月25日、今回の提携発表に伴うプレス向けイベントが、Pepper開発者の聖地と呼ばれる「3331 Arts Chiyoda」(Pepperアトリエ秋葉原がある建物)で開催された。
イベントでは、リンクス社の代表取締役の川島義之氏とUBTECH社のOverseas Sales ManagerのHarry Hu氏が登壇した。川島氏は「家庭用ロボット市場と、プログラミング教育市場ともに、将来的に可能性が大きな市場なので積極的に事業展開していきたい。まずはスクラッチタイプとSTEM教育向け製品を6製品、投入していく」とした。
販売は6月3日から、一般市場向けに量販店やオンラインショッピングサイトを通して行われる。当初はツクモでの店舗とオンラインショップでの販売が決定しており、今後は順次販路を拡大していく予定だ。
Harry氏は「UBTECH社の製品を日本国内に直接紹介するのは今日が初めて」と語り、UBTECH社はロボティクスとAIを研究開発、製品化している会社で、世界をリードしているとした。代理店を通じて世界25ヶ国で販売展開をしているとのことだ。
また、同社は英国マンチェスター市とオフィシャルパートナーを結び、サッカーチームのマンチェスターユナイテッドとも契約し、様々なイベントで同社のロボットを使用していると言う。
更にはアマゾン・アレクサと連携するロボット製品「Lynx」(リンクス)を米国市場向けに6月から販売する予定であることも公表した。
UBTECH社が開発しているロボットは大きくわけて、5種類ある。
プログラミング可能でダンス等ができる「Alpha1」シリーズ、会話AIを使ってコミュニケーションが可能な「Alpha 2」、恐竜や動物、タンクなどの組み立てロボットでプログラミング可能な「Jimu Robot」、身長約130cmでコミュニケーション可能な業務用ロボット「Cruzr」(クルーザー)、そしてAmazon Alexaと連携できる「Lynx」(Alpha2がベース)だ。
今回、日本市場向けに投入するのは言語機能のない「Alpha1 pro」と「Jimu Robot」となる。
Alpha1 pro
デザイン的にも目を引く「Alpha1 pro」は、540台が連携してダンスを踊ったことでギネス認定を受けたロボットとして記憶している人も多いかもしれない。「Alpha1 pro」は、Ailpha1シリーズの最新版だ。会話機能はない。
特許を持つ16個のサーボを搭載し(両腕各3個、両脚各5個を搭載)、「ビジュアルプログラミングソフトウェア」が用意され、パソコンやスマートフォンを使って手足の動きをプログラミングすることができる。
■ Alpha 1 proによるダイナミックなダンスのデモンストレーション
Jimu Robot
「Jimu Robot」は組み立て型ロボットだ。動物や恐竜、キャタビラー車両等を模したデザインが基本で、パーツやサーボが最大で675個セットになったパッケージだ。今回は5種類が国内用に商品化される。ユニークな点は、スマホアプリを通じて3Dビジュアルで立体CG表現されたマニュアルが提供されている点だ。サーボやパーツを画面上でグリグリと回したり、接続部を確認しながらパーツを合わせ、子どもでも見よう見真似で組み上げることができるしくみになっている。
ポーズやダンスも直感で
「Alpha1 pro」や「Jime Robot」でポーズを取らせたり、歩かせたりの動作をさせるためには、予めアクションデータがプリセットされている。初めてでもロボットを簡単に動かすことできるようにとの配慮からだ。更に、いわゆるティーチングのように、手でロボットにポーズを加えてそれを記憶させることができ、また違うポーズを記憶させることで、ポーズからポーズへと動作させ、流れのあるアクションやダンスを構成することもできる。
「Jime Robot」は組み立てから始め、完成したロボットで遊び、プログラミングで自在に動かしたり、作ったポーズやアクションをコミュニティでシェアして友人たちと共有できる。これらの特長を踏まえ、STEM教育にフォーカスしつつ、家庭でも楽しめるロボット製品となっている。
商品の詳細はリンクスインターナショナルのページで確認できる。
CarBot kit(小中学生向け) | 18,792円 |
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TankBot Kit(小中学生向け) | 18,792円 |
Mini Kit (小中学生向け) | 16,308円 |
Explorer Kit(小中学生向け) | 24,840円 |
Inventor Kit (中高校生向け) | 49,680円 |
Alpha 1 pro (中高校生向け) | 62,640円 |
リンクスインターナショナルは5月に東京ビッグサイトで開催された教育ITソリューションEXPOにおいて「学びNEXT みらいの学びゾーン」でUBTECHのジムロボットを出展していた。UBTECHのほか、SAM LabsのBluetoothでつなぐブロックモジュールと、コーディングの必要がない独自ビジュアルプログラミングUIを実装したSTEM教育ツールや、Piperの人気ゲーム「マインクラフト」で電子工作を学ぶ、お子様向けの学習ツールボックスなどを展示した経緯がある。
今回は日本市場向けには発売されないが、気になるUBTECH社の製品が2つある。
Amazon Alexaを使ったロボット「Lynx」と、B to B 向けのコミュニケーションロボット「Cruzr」だ。このふたつについては、UBTECH社のインタビュー記事を後日紹介していきたいと思う。お楽しみに。
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神崎 洋治神崎洋治(こうざきようじ) TRISEC International,Inc.代表 「Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス」(日経BP社)や「人工知能がよ~くわかる本」(秀和システム)の著者。 デジタルカメラ、ロボット、AI、インターネット、セキュリティなどに詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。教員免許所有。PC周辺機器メーカーで商品企画、広告、販促、イベント等の責任者を担当。インターネット黎明期に独立してシリコンバレーに渡米。アスキー特派員として海外のベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材。日経パソコンや日経ベストPC、月刊アスキー等で連載を執筆したほか、新聞等にも数多く寄稿。IT関連の著書多数(アマゾンの著者ページ)。