ロボティクスアカデミーがサービスデザインをはじめる理由 寄稿:デジタルハリウッド
現在受講を検討されている方もそうでない方も、是非ご覧下さい。
サービスロボティクス第2弾、お待たせしました
デジタルハリウッドロボティクスアカデミー カワモトハルクです。2017年1月から3ヶ月間に渡って、最強の講師陣によるサービスロボットの導入講座「リーダーズプログラム」をロボットスタート株式会社様と一緒に行わせていただいてから、早くも3ヶ月が経ちました。
(編集部注:リーダーズプログラムでの授業の様子はこちらからご覧下さい)
この間、次の講座へのご要望について(リーダーズプログラムの次回開講についてもですが)、多くのお問い合わせをいただいておりましたが、ようやく新講座「サービスデザインプログラム」をリリースさせていただくことができました。この記事では、この講座開発に至った経緯と、サービスデザインについて簡単にですがご紹介させていただきたいと思っています。
リーダーズプログラムでわかったこと
リーダーズプログラムを通じて、これからのロボット市場、特にサービス分野のロボット市場に参入されるプロフェッショナルにとっては、サービスロボットの「ユーザー体験」(以下、サービスロボットをロボット、サービスロボットのユーザー体験をロボット体験とします)をデザインすることが非常に重要だと言うことがわかりました。これは、コンピュータやウェブサービス、ウェブサイト、スマートデバイスなどが発展し、一般化していくにつれてユーザインタフェース(UI)やユーザ体験(UX)のデザインといったインタラクションデザインの重要性が増してきたことと同じ流れだと考えるとわかりやすいかと思います。
今までは製造現場などの限られた場所にしかなかったロボットが、家庭やビジネスの現場に進出してきました。ロボットが私たちと接する機会が増えるにつれて、ロボットそのものへの物珍しさは薄れはじめ、ロボットのインタラクションデザインが重要になり始めています。リーダーズプログラムの講義の中でも言葉や視点は違いますが、何度もロボットのインタラクションデザインの重要性が語られていました。AIでも同じ議論が起きつつあるかと思います。
ではロボットのインタラクションデザインはどのように行われているのか。これはまだまだ試行錯誤のようで、標準化しているような方法はありません。ロボットそのものを開発しているのか、アプリを開発しているのかでも当然ながら大きく異なっています。
またロボットのインタラクションデザインは、ビジネス上の顧客提供価値と連動していなければなりません。それは単発で「心地よい体験」や「おもしろい体験」をさせるのではなく、ロボットとの接点(タッチポイント)ごとの目的に沿い、全体を通じて一貫性のある体験をさせる必要があると考えます。
つまりロボットのインタラクションデザインには、ビジネスの目的に合致した一貫性のあるロボット体験を設計することが必要ですが、全体を設計するためのフレームワークや標準的な方法論は現段階では確立されていない、ということがわかりました。
サービスデザインへの注目
ではビジネスの顧客提供価値を前提とした上で、一貫性のあるロボット体験をデザインするにはどのようにすればいいのでしょうか?一貫性のある体験をデザインしやすくなるよう、サービスデザインの手法に注目しました。
サービスデザインをご存知ない方のために少しだけ、サービスデザインのご紹介をいたします。とはいえ、私はサービスデザインの専門家でも、サービスデザインを実践するデザイナーでもありませんので、より詳しくサービスデザインについて学びたい方はぜひ「サービスデザインプログラム」をご受講いただければと思います。笑
「サービスデザイン」とだけ聞くと、接客業といったサービスに関係するデザインと思い浮かべる方が多いかと思います。しかし、サービスデザインには、実は一般的な定義がありません。(マーク・スティックドーン 他編 『This is Service Design Thinking』 株式会社ビー・エヌ・エヌ新社 2013年)
私個人の理解するところでは、サービスデザインとは「ビジネス全体を連続する顧客とのインタラクションによる一連のサービスと捉え、顧客にとってはより有益で使いやすく望まれたサービスに、同時に提供者にとってはより効果的・効率的に最適化されたサービスになるよう、顧客体験を中心としてサービス全体を共創するデザイン手法」と言えるかと思います。私が考えるサービスデザインのポイントは3つです。
2.顧客視点とサービスの提供者視点の2つの視点を両立させる必要があること。
3.顧客体験を中心に、サービス全体(顧客接点やサービスに付随する有形物など)を、縦割りの立場を超えて利害関係者間で共創すること。
これらのポイントは、まさにロボットのインタラクションデザインを行う際にも必要なポイントでもあります。
繰り返しになりますが、サービスデザインでは顧客体験を中心にサービス全体を設計します。これをロボットサービスで考えてみると、顧客体験を中心にサービス全体を設計し、ロボットの利用が有効な顧客接点では目的に沿ってロボット体験をデザインすることになります。サービスデザインの手法を使えば、ビジネスの目的に合致した一貫性のあるロボット体験をデザインすることができそうだと気がつきました。そこで多摩美術大学吉橋准教授にご相談しながら、ロボット市場に参入される方に向けて、サービスデザインを学べる講座を開発いたしました。
ロボットを主とはしていますが、昨今話題のチャットボット等の人工知能を活用した顧客体験の開発にも、サービスデザインのメソッドは活用できると考えています。そのため、ロボットを使用したソリューションを開発されているエンジニアの皆様や、ロボット・AIを用いたサービスを企画されているマーケッターや新規事業担当者の皆様、大学等の高等教育機関や研究所でロボット・AI関連領域に取り組まれている研究者の皆様など、幅広い方を対象としています。
ビジネスパーソンのスキルとしても役にたつサービスデザイン、これを機会にぜひ学んでみませんか。
サービスデザインプログラムの概要
【コース名】
サービスデザインプログラム
【開講予定日】
2017年7月19日 (水)
【受講期間】
3ヶ月、全8回 (7/19、7/26、8/2、8/9、8/23、8/30、9/6、9/20)
水曜日19:30-21:30 (2時間)
【定員】
32名
【受講対象】
ロボット市場に関心を持つビジネスマンで、ロボットを活用した新規事業立案を検討されている方。
ロボットビジネスのプロデューサー業務を担当されたい方。
ロボットコンテンツプロデューサーになりたい方。
【講座目的】
ロボットコンテンツプロデューサーとして、ロボットアプリの開発に重要となるコミュニケーションデザインに必要なサービスデザインの手法、知識を身に着ける。
ロボットを使ったサービスのユーザー体験をデザインする。
【カリキュラム】
ウェブサイトをご覧ください。
【受講料】
9万円(税別)
※ロボティクスアカデミー修了生は1万円割引となります。
【教室】
デジタルハリウッド大学 駿河台キャンパス
東京都千代田区神田駿河台4-6 御茶ノ水ソラシティ アカデミア
http://www.dhw.ac.jp/access/
(交通アクセス)
JR「御茶ノ水駅」聖橋口より徒歩1分、
東京メトロ千代田線「新御茶ノ水駅」直結、丸ノ内線「御茶ノ水駅」より徒歩4分
【協力】
ロボットスタート株式会社
講師プロフィール
吉橋昭夫氏
多摩美術大学 情報デザイン学科 准教授
UI/UXデザイン、サービスデザインの教育・研究に取り組んでいる。人とロボットとのインタラクション研究、医療分野におけるサービスデザイン研究ほか、IT・サービス系企業との産学共同研究を多数手掛ける。サービスと顧客の経験価値、経営とデザイン、創造性とデザイン思考、などに関心がある。千葉大学工学部工業意匠学科卒,多摩美術大学美術研究科修了(芸術学修士)、多摩大学経営情報学研究科修了(MBA)。
北構武憲氏
ロボットスタート株式会社 取締役副社長
大学卒業後、広告代理店を経て1998年ヤフー株式会社に入社。その後、複数のインターネット企業を経て、2014年ロボットスタート創業時に副社長として参画。現在の本業はサービスロボットに関するコンサルティング。サービスロボットがどのように社会に浸透していくかに注目しており、サービスロボット関連のハッカソン・イベントにはほぼ全て現場に出向いて取材をしています。
武地 実氏
株式会社ウィンクル代表取締役
1988年広島県広島市出身。2011年に大阪大学工学部とHAL大阪夜間課程グラフィックデザイン学科を卒業。2014年2月に(株)ウィンクルを設立。現在は、「キャラクターと一緒に暮らせる世界」の実現を目指し、バーチャルホームロボット「Gatebox」の開発に注力している。
直野 廉氏
ソフトバンク株式会社法人事業戦略本部 ロボティクス事業推進部 企画課
子供の頃よりロボットに興味があり、大学時代は機械工学を学ぶ。2014年SoftBank入社。SoftBank内製のAndroid/iOSアプリ設計/開発/リリースを経て、現在はPepperの販売企画に従事している。趣味で、ロボット系のハッカソンによく参加しており、人とロボットが当たり前に暮らす世界の実現のために奮闘中。
最新のプログラムと、豪華な講師陣で、皆様のご受講をお待ちしております。