IoT機器の開発に必要な知識は広範だ。通信インフラ、半導体、センサ、無線認証、セキュリティ、クラウドサービス、AI、etcさらに、それで起業をしようとなるとその分野はビジネス、マネージメント方面へとさらに広がる。
習得にかかる時間を考えると気が遠くなるかもしれないが、何にでも最初の一歩はあるだろう。
では、その最初の一歩に踏み出すのにかかる時間はいかほどだろうか。
3年?、1年?、せめて半年は勉強しないと、と思ってRaspberry Pi やArduinoを眺めている人は多いだろう。
そして、その答えが、たったの「2か月間」だと聞いたら、その大半が驚くのではないだろうか。
今回紹介するのは8月5日に開催されるイベント、「Tokyo IoT Monozukuri College 2017」のDemo Day。
東京都の創業支援施設【Startup Hub Tokyo】の長期プログラム「Tokyo IoT Monozukuri College 2017」の総決算イベントだ。
様々な形で起業支援に取り組むStartup Hub Tokyoが、技術や資金調達などに関する一流のメンターを集め2か月間のIoT起業家育成プログラム。
その参加者たちがどのようなデモをするのか。
しかも、プレゼンだけでなく、一般観覧者にも体験可能なタッチ&トライタイムありのデモだ、といわれたら、観に行きたくなるだろう。
内容は
・ものづくり系アクセラレーターFabFoudry,Inc 創業者であり、シリコンバレーでの起業経験を持つ関信弘氏の講演
・参加チームによるデモ
・豪華審査員による講評
・参加者、審査員とのネットワーキングタイム
など盛りだくさんだ。
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まずは、Startup Hub Tokyoや、その行われているプログラムについて初めて知った読者の方々に向けて、その詳細を紹介してみよう。
Starutup Hub Tokyoと起業促進プログラム
「Startup Hub Tokyoでは、起業を具体的に準備している人から、まだ検討段階の人まで、「これから起業しよう!」という思いを持っている人を手厚くサポートする施設です。」
とあるように、Startup Hub Tokyoは起業支援施設である。運営は東京都産業労働局。
丸の内の明治安田生命ビルの1階に居を構え、1000冊の蔵書の閲覧、ワークスペースの無料で提供し、起業に関する知見を持ったコンシェルジュとの相談会、起業にまつわるイベントなどを日々開催している。
その中には長期にわたる教育プログラムもあり、今回取材した「Tokyo IoT Monozukuri College 2017」もその一つだ。
技術メンタリングは株式会社CAMI &COの神谷雅史氏、ビジネスメンタリングが株式会社Darma Tech Labsの代表 牧野成将氏という豪華な顔ぶれだ。
そのためか、申し込みが殺到し、参加志望者を選抜せざるを得なかったとのこと。次回以降も開催を検討しているとのことなので、興味のある方はStartup Hab Tokyoの会員メールなどで情報を収集してみるとよいだろう。
特にIoT人材の育成に関して強い思いを持つ。
Demo Dayを前に、参加者が彼らからどのようなメンタリングを受け、プロトタイプを作っていったのかを振り返ってみる。
Day1-Day7、プログラムの流れ
両メンターがそろって登壇し、IoTビジネスにおける起業や資金調達についてのトークを繰り広げた。
「この時代になぜIoTで起業するなのか」、シリコンバレーや深センではなく「東京で起業するメリット」など、Startup Hub Tokyoならではのトークセッションでプロジェクトマネジメントや投資についての理解を深めた。
様々な事例やIoTについての基礎的な知識を導入。
先行事例に交えながら、良質なIoTサービスを展開する「IoTプロデューサー」の必須スキルについて説明するCAMI & CO.の小川 広貴氏。
Aruduinoなど、試作デバイスについての紹介とアイデアメイキング。
仮で組んだチームでアイデア発表も体験。数時間でプロトタイプを制作下にもかかわらず、作りこんだチームも。
写真は、「お菓子を食べるために腕立てをするガジェット『お菓子プッシュ』」
ブラウザで動作フリーの3DCAD、「Onshape」の使用法の説明。
モノづくりに対する敷居の下がり方は、隔世の感がある。
アイデアのブラッシュアップと本格的なチームビルディング。
3Dプリンターや工房などが使える品川区の産業支援交流施設 SHIPでの作業。
Demo Dayに向けたプロトタイピング制作に熱が入る
中間メンタリングでプレゼンやプロトタイプのブラッシュアップ
神谷、牧野両メンターに加え、8月5日にも登壇するFab Foundryの設立者の関信弘氏、日本オラクルにいながらハードウェアスタートアップ、ジョージ・アンド・ショーン合同会社を起業した井上憲氏も参加し、緊張感のあるやり取りを繰り広げた。
なお、今回デモデイで発表する6チームのうち、最優秀作品は、8月28日に開催されるはIoT&H/W BIZ DAY 4 by ASCII STARTUPでも展示のチャンスがあるという。
起業に興味を持つ参加者たちだけに、数百名規模の来場者に自分たちのプロダクトを披露するチャンスの価値は承知しているだろう。その、第一の関門といえるDemo Dayに向け、今現在も開発を加速させているのではないだろうか。
IoT教育のこれからについて
今回のプログラムでは、2か月の中で「投資やプロジェクトマネジメントについての基礎知識」「IoTに関する基礎知識」などを丁寧に解説し、「コンセプトメイキング」「Arduinoなどでの試作」「工作機械を使ったプロトタイプの制作」「デモンストレーション」を体験させている。
しかし、果たしてこれだけでIoTビジネスができるのか。疑問は残るかもしれない。
たしかに最初に挙げたように、IoTのビジネス、プロジェクトを完遂するのに必要な知識は膨大だ。
そのため、今までのIoTに関する教育の多くは「プロトタイプ制作」が重視されており、エンジニア経験者を対象にするものが多い。近年ArduinoやRaspberry Piなどのマイコンボードによりプロトタイプ制作の敷居が大きく下がっているが、いまだに乗り出せない非エンジニアは多いだろう。
しかし、たとえ「プロトタイプ制作」という大きな山を乗り越えたとしても、その後に待ち構えるのは、通常のプロジェクト以上の苦難だ。
その中にはマーケティングやサポート体制の構築、プロモーションなど、エンジニアリングに関する知識のみでは解決できない局面は多い。
「『プロトタイプ制作』ができること」をゴールに考えたメンバーだけでビジネスを成り立たせることは至難の業といってもいいだろう。
IoTプロダクトの制作にエンジニアリングが必須であることはたしかだが、事業を軌道に乗せるには、企画の段階から「IoT教育」を受けた非エンジニアメンバーが存在することもまた必須なのだ。
そのため敢えて非エンジニア領域に対象を広げたうえで、一気通貫したプログラムを体験させる。
今回のプログラムでグループワークでプロダクトを完成させることになっているが、
・どれだけのハードルがあるのか
・自分にできるのはどの部分なのか
・できない部分にはどのような人材が必要なのか
これらをプログラムを通して体験することで、起業の敷居は大きく下がるだろう。
今回のプログラムの技術メンターを務めた神谷氏は「まずは、自分のできる範囲から段階的にステップを踏んでいく」ということを重視している。
たとえ、ハードウェア制作やアプリの開発ができない、非エンジニアであってもビジネスを成立させるまでのフローの中で自分の役割をみつけ、最適なIoTサービスを成立させるために何が必要かを考えさせる。
「プロトタイプを作って終わり」ではないリアルなIoT教育をあらゆる層に体験させることで起業を増やそうとするStartup Hub Tokyoの本気を強く感じるプログラムだった。
この教えを受けた参加者たちが、Demo Dayまでにどれだけ作品がブラッシュアップしているのか、ぜひ楽しみにして観に行ってほしい。
内容は
・ものづくり系アクセラレーターFabFoudry,Inc 創業者であり、シリコンバレーでの起業経験を持つ関信弘氏の講演
・参加チームによるデモ
・豪華審査員による講評
・参加者、審査員とのネットワーキングタイム
など盛りだくさんだ。
>>>一般向け観覧申し込みはこちらへ