ドイツのベルリンでは「IFA 2017」国際コンシューマ・エレクトロニクス展が開催中だが、現地でSony Electronics社がスマートスピーカーの「Google Assistant Built-in Wireless Speaker LF-S50G」を発表した。
「LF-S50G」には次のような特徴がある。
・だから発話で天気予報や交通情報を聴いたり、タイマーなどが可能
・発話で音楽の再生、音量のアップ、次のトラックへのスキップ等が操作可能
・照明器具や室温のコントロールなどスマートホーム機器のハブになる
・生活防水(IPX3)
・360度スピーカー
・ボーカルとトレブルは48mmフルレンジのスピーカーが担当
・低音をサブウーファーが担当
・全方向性の2段ディフューザー
・BluetoothかNFCでスマートフォン等とペアリング
・2017年10月に$199.99で発売予定
・カラーはブラック、ホワイト、ブルー
AIスマートスピーカーの裏側にある未来の覇権争い
AIスマートスピーカーは、ご存じのように「Amazon Echo」が先行し、「Google Home」が猛追している。どちらもスピーカーというデバイスを販売することを目的としているわけではなく、実質的にはクラウド上にあるAI音声アシスタント「Amazon Alexa」と「Googleアシスタント」の市場争いをしている。AI音声アシスタントの覇権をとれば、ユーザーがAIに依存する先々は、ショッピングや広告、ウェブ検索なども独占できる可能性が高いからだ。
MicrosoftもまたAI音声アシスタント「Cortana」を持っている。Windows 10などと連携するが、スピーカーは自社製ではなく、名門Harman Kardon製スピーカー「Invoke」と手を組むことを選択した。名門とのタッグで追従する構えだ。
また、アップルは「Apple HomePod」でスマートスピーカー市場への参入を発表した。日本国内ではLINEが「Wave」を発表したことで(現在は先行販売済み)、日本でもスマートスピーカーの注目度が一気に向上している。こちらもそれぞれ「Siri」と「Clova」という音声アシスタントを持っている。
ソニーはウォークマンで一世を風靡したように、スピーカーやヘッドホンなどオーディオ機器には注力してきた。ハイレゾ音源対応の製品も多く発売し、デジタル音質にもこだわりを持った製品を投入してきた背景もあり、スマートスピーカーにおいても高音質分野を狙ったものになるだろう。
さらに「LF-S50G」は生活防水「IPX3」に対応してきた。浴室や屋外での利用を想定した防水スピーカーの市場は確実に存在している。ただ、ソニー製を含めて既存の防水スピーカー製品は「IPX5」対応と、一段階上の防水機能を持っているので、「IPX3」に留まっている点は少し首をかしげるところではある。(ソニーのワイヤレスポータブルスピーカー「SRS-XB10」公式ページ)
前述したように、音声アシスタントの覇権争いは、スマートスピーカー市場とは全く異なるレベルで繰り広げているため、スマートスピーカー自体での利益はほとんど眼中にない。そのため価格競争は必然だ。
オーディオ機器メーカーがスマートスピーカーの流れに乗るには、音声アシスタントとは異なる部分、音質や携帯性、防水などの付加価値を訴求していくしか方法がない。