介護ロボット、導入しない要因は「費用が高い」- 介護ロボットONLINE調査結果
介護の人手不足や超高齢社会に対するひとつの解決策として注目を集める「介護ロボット」が、補助金や介護報酬改定でも話題となっている。
介護業界に特化した人材紹介サービスやWebマガジンの運営を行うウェルクスは、介護ロボットの利用実態を把握するため、介護事業所へのアンケートを行い35名から回答を得た結果を公表した(2017年6月に実施。質問の対象としているロボットが、コミュニケーションロボットなのか、ロボットスーツ系のものかは定かではない)。
全文はウェルクスが運営する「介護ロボットONLINE(https://kaigorobot-online.com/)」で確認できる。
現在、介護ロボットを導入していますか?
約7割の介護事業所が「介護ロボットを導入していない」と回答。
介護ロボットを導入していない理由はなんですか?
(介護ロボットを導入して「いない」と回答した人が対象)
最も回答が多く集まったのは「価格が高いから」で56% 。「機器の扱いが難しそうであるから」「人で十分対応できると思うから」「補助制度などが煩雑だから」が続く。
今後、介護ロボットを導入する予定はありますか?
(介護ロボットを導入して「いない」と回答した人が対象)
63%が「今後も導入する予定はない」と回答。
「今後導入する予定がある」と答えた人を対象とした、導入したい介護ロボットの種類は?という設問に対しては、「見守り支援型」と答えた人が61.5%(8名)ともっとも多く、ついで「非装着型の移乗支援」が46.2%(6名)、「入浴支援型」が30.8%(4名)という結果になったと言う。
● 価格が高いから。(デイサービス/40代・男性)
● 費用対効果が明確ではない。(介護老人保健施設/50代・男性)
● 装着型のロボットを検討したことがあるが、着用感等の疑問があるから。(特別養護老人ホーム・40代・男性)
● 導入は試みたいが、その過程における必要人員を割けられない。(特別養護老人ホーム/40代・男性)
● 予算、メンテコスト、導入教育費、時間の全てが不足している。(グループホーム/50代・男性)
● 人的労力が相当必要なため。(介護老人保健施設/60代・男性)
今回の調査では、介護ロボットを導入していない施設での利用意向は37%と低い結果に。
介護ロボットそのものの価格だけでなく、運用や導入に際する教育コストなど、さまざまなコストが導入のネックとなっているようだと、ウェルクスでは分析。
今後も介護ロボットを使いたいと思いますか?
(「導入している」と回答した人が対象)
80%が「今後も使いたい」と回答。
●モノに変えられるものは変えて、人でしか出来ない事を人がやっていくようにしたい。(介護老人保健施設/30代・男性)
●業務効率と職員の心身負担の軽減何よりケアの統一に必要なためです。(特別養護老人ホーム/40代・男性)
●看護・介護職員の慢性的な不足に対応でき、利用者の変化にスムーズに動ける。(介護老人保健施設/50代・男性)
●作業の効率化や省力化につながるのであれば、今後も使っていきたい。(特別養護老人ホーム/40代・男性)
●職員の安心感つながれば、それは利用者の安心感にもつながっていきます。(ショートステイ/40代・男性)
●使用する側も開発側も試行錯誤を繰り返しながら実効的な物ができてくると思う。(特別養護老人ホーム/40代・男性)
ウェルクスでは「今回の調査では、導入済み施設は全体の約3割にとどまっており、介護ロボットが介護の現場に根付ききっていない現状が明らかになりました。とはいえ、導入済み施設の継続利用意向が高いことから分かる通り、実際に介護従事者や要介護者の負担軽減に貢献している介護ロボットは確かに存在し、現在導入していない施設の4割弱がそのような介護ロボットに期待を寄せていることがうかがえます」とコメントを発表している。