【ロボットでエアホッケー】ソフトバンクが5G通信を使って超低遅延でロボットを遠隔制御するデモを公開
ソフトバンクは「5G」(第5世代移動通信システム)を使ったユースケースのデモンストレーションを、東京のテレコムセンタービルで実施した。
中でも注目だったのが、クーカの産業用ロボットを使ってエアホッケーを行う「低遅延」のデモ。人が壁に向けて滑らせたホッケーのパックをロボットが検知して受ける、というもの。
■ロボットでエアホッケー
エアホッケー台の上にカメラ(30フレーム秒)を設置し、画像をコンピュータに転送、パックの検知と動きの予測を行い、5Gの電波を使ってロボットアームと通信してパックの軌道予測位置で止める(打ち返すまでは作り込んではいない)。
軌道の計測に100mm/sec(ms)、ロボットアームの制御に20msがかかるものの、その間の通信をわずか2msで行うため、通信による遅延の影響を極力抑えることができると言う。
なお、使用している5Gの周波数は4.7GHzで、帯域幅は100MHzだ。
■デモ構成の解説とこの技術の活用について
ソフトバンクの5G技術開発
5Gネットワークの大きな特長はいくつかあるが、中でも通信を瞬時に開始する「超低遅延通信」が注目されている。これらは、自動運転やロボットのレスポンス(反応)の向上には不可欠な技術だ。通信によるタイムラグを限りなくゼロにすることが求められている。
また、これを実現し、普及させるためには、すべてのデータをクラウド側に送信して処理させる方法ではなく、通信を集中させずに端末側で高速に処理する「エッジコンピューティング」も重要なキーになると見られている。
ソフトバンクはこの日、報道関係者に向けて「5Gに対する取り組み」の情報公開の一貫として、超低遅延でのロボットアームの遠隔制御、超高精細のリアルタイム映像の伝送、イマーシブテレプレゼンス(ビデオ)、エッジコンピューティングを用いたGPUサーバーによる遠隔レンダリングなどのデモンストレーションを行った。
ロボットアームによるホッケーもそのひとつで、通信に遅延が発生した場合は、アームの動きがホッケーのパックの動きに追いつかずに受けることができない。通信が低遅延であれば(ソフトウェアが十分に高速に設計されていることは前提)、パックの位置や軌道を先読みしてパックが来る前にアームを受ける位置に移動できる。
なお、ロボスタでは、この日公開されたその他の5G関連技術やデモについても別途紹介していく予定だ。
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神崎 洋治神崎洋治(こうざきようじ) TRISEC International,Inc.代表 「Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス」(日経BP社)や「人工知能がよ~くわかる本」(秀和システム)の著者。 デジタルカメラ、ロボット、AI、インターネット、セキュリティなどに詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。教員免許所有。PC周辺機器メーカーで商品企画、広告、販促、イベント等の責任者を担当。インターネット黎明期に独立してシリコンバレーに渡米。アスキー特派員として海外のベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材。日経パソコンや日経ベストPC、月刊アスキー等で連載を執筆したほか、新聞等にも数多く寄稿。IT関連の著書多数(アマゾンの著者ページ)。