NTTドコモが人工知能を活用した「近未来人数予測」の実証実験を開始!数時間先にその場所にいる人数を予測
NTTドコモは、特定のエリアに現在いる人数と、数時間先の人数を予測する「近未来人数予測」の実用化に向けた実証実験を9月20日より開始した。エリアは全国に対応している。
この実験は、ドコモの携帯電話ネットワークの仕組みを利用して作成される人口統計とNTTグループのAI「corevo(コレボ)」を構成する「時空間変数オンライン予測技術」を組み合わせて行うものだ。
ここで活用する「時空間変数オンライン予測技術」とは、NTTグループのサービスイノベーション総合研究所の技術で、過去一定期間の人口密度分布の時系列データから、時間と空間の影響パターンを学習し、数時間程度先の近未来の人数(人口密度)分布の予測を行うとのこと。
同社は、これまでも予測する技術として、2016年に人工知能を活用したタクシーの乗車需要を予測する「AIタクシー」の開発に取り組んでいるが、「AIタクシー」は、現在から30分の間に発生するタクシーの乗車台数を予測するものに対し、「近未来人数予測」は数時間先のあるエリアにおける人の数を予測する。
実証実験概要
携帯電話ネットワークの仕組みを利用して作成される人口統計により推計した250~500mメッシュ単位の人口統計を、「時空間変数オンライン予測技術」を用いて、近未来の人数予測を行う。
なお、同実験で使用する人口統計は、エリア毎や属性毎の集団の人数を示す情報であり、個人を特定できる情報を一切含まないため、個人の行動が他人に知られることはない。また、モバイル空間統計ガイドラインを遵守しているとのことだ。
具体的内容
「時空間変数オンライン予測技術」を用いて、人口統計の時系列データから時間と空間の影響パターンを学習すること、即ち、「あるエリアにおける過去の人の増減が周辺エリアの人数の変動にどのような影響を及ぼしているか」を学習し、数時間先の人数を10分単位で予測する。
同時に、予測した現在、及び近未来の人数を、スマートフォンやタブレット端末、デジタルサイネージ等により可視化するサービスの検証も実施される。
具体的な活用例
観光業での利用
観光地周辺における近未来の人数予測を利用することで、混雑が発生した際に、混雑に巻き込まれずに観光地や商業施設を案内することや、バスやタクシーなどの移動手段を効率的に供給することが可能になり、顧客満足度の向上が期待できる。同時に、観光地一帯の周遊性が向上し、地域経済の活性化にもつながると考えられる。
災害や事故発生時
現在の人数分布に応じた効率的な救助隊の派遣により、適切な初動対応の実施が期待される。また、スポーツの試合や花火大会のような大規模イベントでは、開始前は施設の最寄り駅が混雑し、イベント開催中は施設周辺に人が集中、開催後は周辺繁華街に拡散するといった人の流動が想定されるが、近未来の人数分布を利用した警備員の動的配置により、事故・防犯対策の強化につながると考えられる。
今後の展開
同社は今後、「近未来人数予測」を様々な分野で活用する実証実験を行い、2018年度の実用化を目指すとしている。
直近の実証実験として、2017年10月21日(土)に藤沢市で開催される「ふじさわ江の島花火大会」にて、大規模イベントにおける活用方法の検証を行う予定だ。
また、同実験は「ツーリズムEXPOジャパン2017」NTTブースにて9月23日(土)まで展示される。
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