パナソニックのロボットの「謎の移動機構」が明らかに【CEATEC JAPAN 2017】

10月3日〜6日に幕張メッセにて開催される「CEATEC JAPAN 2017」。開催に先駆け、10月2日、展示の模様が記者向けに公開された。

ロボスタが注目していたロボットの一つが、今回ご紹介するパナソニックのロボット「cocotto(ココット)」だ。ココットは今年9月、ドイツ・ベルリンで開催された国際コンシューマ・エレクトロニクス展(IFA)で発表された、子供向けの教育用ロボット。



同社は、様々な教育サービス提供社と連携することで、cocottoを「子供向けの教育を行うロボット」として展開していく予定だ。今回はIFAに引き続き、参考出展という形で、ブースにてデモ及び展示を行った。国内では初公開となる。

同ロボットについては以前掲載した記事で、移動機構について触れていた。パナソニックが公開した動画では、「どのように移動しているのかがわからなかった」のである。

そこで、一目散にブースに訪れて、同ロボットの取材を行った。

動きのデモ。これだけでは移動方法がわからない。

まず動いているところを見てみる。しかし、目の前で動いているのを見ても、移動の機構がわからない。そこで、シールを貼った状態で動かしていただくことにした。

シールを貼った上での移動デモ。動きがわかる。

こちらの動画をみると、ようやく動きが分かっていただけるだろう。シールが貼ってある中心の表面部分だけがくるくると回転していく。

つまり、回転しているのは表面部分だけ。透明のプラスチック素材だけが回転をして動いているのだ。

それ以外の部分は、ジャイロセンサー等によって姿勢を保つように制御されている。これによりLEDの顔を含めたその他の部分が動いていないため、動画では移動機構がわからなかったのである。

なぜこのような仕組みにしたのだろうか。開発チームに尋ねてみると、幼児向けのロボットとして開発していく上で、cocottoは「怪我をさせない設計」にこだわったと語った。


パナソニック株式会社 アプライアンス社 技術本部 cocottoの開発チームの皆様。

移動にタイヤを使えば、指を挟み込むなど、子供達に怪我をさせてしまうリスクがある。そこで別の方法を考える必要があった。思いついたのは回転して移動するという機構。しかし、それによって顔まで回転してしまってはコミュニケーションが取れない。そこで、顔は固定した状態で、体だけが回転する機構にしなければいけなかったのだという。パナソニックのcocottoの機構はこのような理由で生まれた。開発チームの言葉からは、コンセプトと利用者を想定した上でハードウェアを作り込む”きめ細やかさ”を感じた。

今回のcocottoはあくまで参考出展という形になる。発売時期や、価格に関してもまだ未定であり、今後方向性を模索していくことになるだろう。この先の展開にも注目していきたいロボットだ。

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望月 亮輔

1988年生まれ、静岡県出身。元ロボスタ編集長。2014年12月、ロボスタの前身であるロボット情報WEBマガジン「ロボットドットインフォ」を立ち上げ、翌2015年4月ロボットドットインフォ株式会社として法人化。その後、ロボットスタートに事業を売却し、同社内にて新たなロボットメディアの立ち上げに加わる。

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