Pepperを活用したロボアプリのコンテスト「Pepper App Challenge 2017 Autumn」(以下PACと表記)が2017年11月22日(水)に開催される。
PACに向けて「Pepper App Challenge」と「Mashup Awards」の共同企画で、プレ・イベントとでも呼ぶべきPepperを使ったハッカソン・イベント「Pepperハッカソン」略して「ペッパソン」が、9月に大阪と東京で開催された。
9月16日(日)に大阪で開催されたペッパソンは「西の陣」、翌週9月23日(日)の東京が「東の陣」と命名され、それぞれ「 “AIやIoT” をPepperと絡めて技術で勝負!」という副題が付けられた。この副題が示すとおり、いま大きく注目されているAIやIoTと、Pepperの連携を重視した作品が求められた。
最大で賞金200万円、獲得のチャンス!
ペッパソンの結果レポートの前に、まずはペッパソンとPAC、Mashup Awardsの関係について整理しておこう。
「Pepper App Challenge 2017 autumn」は、Pepperのロボアプリを使ったコンテストだ。今回で4回目の開催となる。
前回は2017年2月に「Pepper World 2017」内でファイナル(決勝大会)が開催された。そのため、今年は2回目の開催となるので、名称の2017の後に「Autumn」が付けられている。
「Mashup Awards」は日本最大級の開発コンテスト、「ものづくりの祭典」だ。Mashup Awards 2017は12月16日に迎える決勝まで、いくつかの関門をくぐり抜けていく激戦ではあるが、賞金総額400万円、最優秀賞には100万円が贈られるというのは魅力的だ。
Mashup Awards公式ホームページ
前述の通り、ペッパソンはプレ・イベントに位置づけられ、東西の陣を通して最優秀賞に輝いたチームはPACとMashup Awardsに参加する権利も授与されることになっている。
そのため、ペッパソンから勝ち上がってPAC本戦に進み、そこでも見事、最優秀賞に輝けば、賞金100万円が獲得できる。しかも、Mashup Awardsでも最優秀賞になるとすれば更に100万円で、合計200万円を獲得できるチャンスがある。
もちろん、ペッパソンに参加していなくても、これからPACやMashup Awardsに参加申請することは可能だ。PACであればすぐに事前申請を行い、2017年10月25日(水)までに作品を応募すればOK。持てるアイディアや技術力を、ロボットやAI、IoTに関わる夢にぶつけてみてはどうだろうか。
西の陣は7チームが決勝に進出
では、いよいよ「ペッパソン 西の陣」で受賞したチームと作品を紹介していこう。
「西の陣」は関西では初となるペッパソンで、9月16日(日)に開催された。大型台風が近付く最終日、決勝に選出された7チームがプレゼンテーションを行った。
最優秀賞、DataSpider賞、Watson賞の3冠を獲得したのはチーム名「swing-by-pepper」の作品で「おしえてペッパー!」。折り紙教室のワークショップを想定したデモとアイディアが評価され、この作品はアプレッソ賞、Watson賞と3冠に輝いた。
「おしえてペッパー!」はワークショップを想定し、折り紙教室にやってきたゲストを空いている席に案内し、折り紙の折り方を適切に教えることを想定した作品だ。
まずPepperはワークショップ内で空いている座席の管理を行う。各席に設置したソニーのブロック型IoTデバイス「MESH」センサーで空席を把握し、ゲストを空いている席までPepperが案内する。更にワークショップが進行すると、Pepperが見回りながら参加者の折り紙の進捗度合いをカメラの画像で自律的にチェック。ゲストが「教えて」とPepperに話しかけると、Pepperはどこまで折れているかを確認し、その次の折り方を教えて手助けをする、というものだ。
ここで多くのチームが使っていた人気IoTデバイス「MESH」(メッシュ)について紹介しておこう。MESHはIoTセンサーとして実務においても、Pepperと連携したシステム開発に活用できそうなアイテムだ。
無線でつながる小さなブロック形状のIoT電子タグ。LED、ボタン、人感、動き、温度湿度、明るさ、GPIOなど、ラインアップが豊富。MESHからの情報によってPepperが何かの動作や判断をしたり、同期したり、ペッパソンではさまざまなアイディアが発表された。
> MESHの公式ホームページ
http://meshprj.com/jp/
気になるペッパソンの審査基準は下記だ。
IoTデバイスやAI等の活用と、それらがロボットの可能性に繋がることが求められ、かつアイディアだけでなく、完成度も評価の対象となる。
1.最新技術活用:IoTデバイスやAI等の最新技術を活かし、ロボットの可能性を高めていること
2.ユーザ体験価値:ロボアプリを通して、ユーザに新たな体験価値を提供すること
3.実用性:ロボアプリの実用性が高く、ロボットの活用促進につながること
4.完成度:ユーザが実際触れる、動くデモとして実装されていること
西の陣の審査員は、株式会社ハカルスCEO 藤原健真氏、大阪市経済戦略局理事 吉川正晃氏、ソフトバンクロボティクス株式会社 松田篤之氏が担当した。
受賞した「おしえてペッパー!」については、「折り紙をどこまで折れているかをWatsonの画像認識で判断するのが面白い、デモが見たかった」「実用性という視点で見ると介護施設などても利用できるのではないか」という意見が多く、「お金の匂いがする」(すぐにビジネスに繋がりそうだ)という意見で3人の思いがまとまった。
他に受賞した作品とチーム名は次の通り。
駄菓子屋ぺっちゃん (TEAM P works with Shinta)
お金の計算がむずかしい子どもでも金額ぴったりに買いモノできるようPepperが支援するシステム。子どもが持って来た駄菓子(単品)を画像認識して価格を計算、合計金額を算出する。「複数の駄菓子を一度に認識する機能も付けたかった」とのことで、そこまでできるともう一段評価が上がっていたと感じた。
ねかぺ (チームGHY)
年間で園児の死亡事故は14件あり、うち10件はお昼寝中の事故だと言う。この課題の解決に向け、Pepperが睡眠中の保育園児を見回り、窒息死の危険があるうつ伏せ寝を判断して通知する。保護者はスマートフォンとPepperを通じてコミュニケーションがはかれる。
「ペッパソン 西の陣」に出場したチームと各作品は「Mashup Awards」のブログや「Hacklog」で確認できる。
http://mashupaward.jp/2017/09/hackthon-westpepper/
Hacklog「ペッパソン2017 西の陣」
http://hacklog.jp/events/118
続いて「東の陣」のレポートに進もう。