オムロンはCEATEC JAPAN 2017において、同社が開発している卓球ロボット「フォルフェウス」が更に進化し、第4世代となったことを発表展示した。
フォルフェウスは人間を相手に卓球でラリーを行うことを目的に開発されたロボット。
プレス公開日の10月2日は、オリンピック選手でメダリストの水谷隼選手も応援に駆けつけた。
4代目「フォルフェウス」の特徴は大きく分けて2つ。
ひとつは、アーム型ロボットとの連携によって「サーブ」が打てること。アーム型ロボットが卓球のタマを供給し、1/100の精度で同期してフォルフェウスがサーブを打つしくみだ。
従来はサーブは人間側が行う必要があったが、4代目フォルフェウスではロボットからサーブを供給することができるようになった。
もうひとつは「スマッシュに対応」する。
フォルフェウスの本体の頭部中央あたりには人体センサーが搭載されている。このセンサーは相手である人間の動きを捉えることができる。通常のラリーとは異なり、テイクバックを後ろに大きく振り上げるなど、スマッシュを打ってくる兆候をフォルフェウスのAIが察知し、その弾道を予測してスマッシュに対応してレシーブを行う機能だ。
弾道の速度は300km程度まで予測することかできる。ただし、機構上の制限からレシーブできる球速は現在40~80kmと言う。
時系列のディープラーニングが使われていて、連続した動画データから機械学習を積み重ねた。
同社によれば、技術として重要なのはボールの三次元位置と速度を正確に計画すること(毎秒80回)、最適な返球位置を計画することなどと言う。ラケットのコントロールには5つのモーターが使われ、1/1000秒の高速制御を行って、ロボットの正確性を高めている。
フォルフェウスのサーブ、スマッシュのレシーブをぜひ動画で確認して欲しい。フォルフェウスは声も可愛いのでラリーも一層楽しくなる。
今回の機能進化は、ラリーを続けていると上級者のプレイヤーはどうしても「スマッシュが打ちたくなる衝動にかられる」という声に応えた。また、初級者プレイヤーの場合は、30%程度の人がサーブが上手にできないのでラリーがスムーズに始められない状況だった。フォルフェウスがスマッシュとサーブに対応したことで、初級者から上級者まで、ラリーをより快適に始められ、長く続けられるようになったのではないか、としている。
なお、CEATECの開催期間中、オムロンブースではフォルフェウスとの卓球体験も可能とのことだ。
CEATEC JAPAN 2017特集
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神崎 洋治神崎洋治(こうざきようじ) TRISEC International,Inc.代表 「Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス」(日経BP社)や「人工知能がよ~くわかる本」(秀和システム)の著者。 デジタルカメラ、ロボット、AI、インターネット、セキュリティなどに詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。教員免許所有。PC周辺機器メーカーで商品企画、広告、販促、イベント等の責任者を担当。インターネット黎明期に独立してシリコンバレーに渡米。アスキー特派員として海外のベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材。日経パソコンや日経ベストPC、月刊アスキー等で連載を執筆したほか、新聞等にも数多く寄稿。IT関連の著書多数(アマゾンの著者ページ)。