Pepperによるプログラミング教育の導入を検討している教員や学校関係者向けに「Pepperプログラミング授業体験会」が開催されているので参加してみた。
公立小中学校282校がPepperをプログラミング教育に導入
2020年から予定されているプログラミング教育の必修化に伴い、ソフトバンクグループとソフトバンクロボティクスは全国の公立小中学校282校にPepperを3年間無償で貸し出す「Pepper 社会貢献プログラム」(スクールチャレンジ)を2017年4月から実施してしている。現在、約2,000台のPepperが学校に導入されている。
「Pepper 社会貢献プログラム」導入校のアンケートを集計したところ、87%の生徒から「授業が楽しい」との評価を得られたと言う。
この活動を更に拡大するため、同社は2018年4月から、プログラムの対象を私立学校と高校にも拡張した「Pepper 社会貢献プログラム2」の実施を予定している。料金はPepper1台あたり月額20,000円(×36ヶ月)と有料にはなるが、通常のビジネス向けPepperの導入料金と比較すると、かなり割安な料金設定となっている。
また、同社は「Pepper 社会貢献プログラム2」用に、ドラッグ&ドロップの簡単な操作でPepperのプログラミングが可能な「スクラッチ(Scratch)」ベースのツールを新規に開発した。
Pepperプログラミング授業体験会を各地で開催
「Pepper 社会貢献プログラム2」は現在、公募を行っているが、Pepperプログラミング授業を導入するにあたって教員や学校関係者が抱える不安や質問が多く寄せられていたと言う。内容は「指導書を渡されただけでプログラミングの授業なんてできるのだろうか」「Pepperを使ったプログラミング教育に興味があるが、基本的なことや技術的なことまで問い合わせしたい」「他校のプログラミング授業の事例などを確認したい」「導入効果はどうだろうか」などだ。
そこで同社は、「カリキュラム体験会」を行い、Pepperプログラミング授業の教材を紹介して不安の解消につとめた結果、教材の理解度は96%、総合満足度は90%となった。更に教師の疑問に答えるため、電話窓口を設置、Pepperの取り扱い方法やプログラミングツールの使い方、Pepper不調時のトラブルシューティング等の質疑応答や対応を実施した。また、教師や学校関係者同士の情報交流の場として、フォーラム(SNS)を開設した。また、「代わりに授業をやってもらえると助かる」という希望に対し、ソフトバンク社員講師による派遣授業も行った(教師向け個別指導/生徒向け授業/ともに有料)。
そして、「Pepperプログラミング授業体験会」を全国で開催し、実際に授業を行っていく教員や学校関係者に向けて、Pepperを使ったプログラミング授業を実際に行い、ツール操作の体験も行えるこの体験会を実施するに至った。
また、「Pepper 社会貢献プログラム」を通して得た知見として、Pepperプログラミング授業の導入前は「プログラミングは専門の講師がやるものだ」という意見が多かったが、導入後の同社の見解では「全国282校の先生が教本に沿って十分に実施できている」と感じているという。
また、Pepperを使ったプログラミングはグループ学習でも楽しく取り組めて、「プログラミングでもっといろいろなことをしてみたい」と感じている人は80%をしめた。
・「Pepper 社会貢献プログラム2」の概要について
・Pepperを動かしてみよう 「スクラッチ(Scratch)を使用したプログラミング授業体験」
・プログラミング授業事例「全国282の小中学校から見えてきたこと」
Pepperのプログラミングを実際に体験
会場では「Pepper 社会貢献プログラム2」の概要の解説があったあと、実際に参加者がスクラッチ(Scratch)ベースのツールを使って、Pepperの操作を体験した。
主な課題は「ロボットにしゃべらせよう」と「プログラミングをしよう」。
「ロボットにしゃべらせよう」では主に、Pepperに「おはよう」「僕はPepperです」「僕はロボットです」など、任意のセリフをキーボードから入力し、そのとおりの発話をさせることが課題だ。これはとても簡単な操作だが、更にPepperの声の高さや発話のスピードなども調整できることを学んだ。
また、しゃべった後にPepperが手を広げたり、身体を揺らしたりと言ったアクションを指定するプログラミングも行った。
ほとんどの操作がドラッグ&ドロップと選択で操作できるため、教師はもちろん、子ども達でも簡単にプログラミングを学習できることが実感できる内容だった。また、ツールで指示したコマンドがすぐにPepperの発話や動作として反映されるので、現在の「Pepper 社会貢献プログラム」の児童たちが「プログラミング学習が楽しい」と感じることも肌で理解できる体験会になっている。
最後の課題は全チームが発表
体験会の最後は、少し高度な課題が出された。Pepperが人に対して選択式の問題を出し、その回答によって、Pepperの受け応えが変わるというものだ。
この課題は参加した教員や学校関係者の皆さん、全チームが発表した。上手にプログラミングを行い、成功する都度、会場から拍手が起こっていた。
Pepperプログラミング体験会の次回は高松で10/18、以降、金沢10/20、静岡10/20、大阪10/23、東京10/25で開催される。詳しくはホームページ「Pepper 社会貢献プログラム2 プログラミング授業体験会の開催について」を参照のこと。
「Pepper 社会貢献プログラム2」の導入を検討している学校関係者は、ぜひ一度体験してみるとよいだろう。具体的な授業のイメージが明確につかめるはずだ。
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神崎 洋治神崎洋治(こうざきようじ) TRISEC International,Inc.代表 「Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス」(日経BP社)や「人工知能がよ~くわかる本」(秀和システム)の著者。 デジタルカメラ、ロボット、AI、インターネット、セキュリティなどに詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。教員免許所有。PC周辺機器メーカーで商品企画、広告、販促、イベント等の責任者を担当。インターネット黎明期に独立してシリコンバレーに渡米。アスキー特派員として海外のベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材。日経パソコンや日経ベストPC、月刊アスキー等で連載を執筆したほか、新聞等にも数多く寄稿。IT関連の著書多数(アマゾンの著者ページ)。