東京モーターショーでヤマハ発動機はモーターサイクルに関連した2体の驚くべきロボットを公開した。
1体は自立し、ジェスチャーコマンドで動作する「MOTOROiD」(参考出展)、もう1体はサーキットを200km/hオーバーで駆け抜けるロボットライダー「MOTOBOT Ver.2」(技術展示)だ。
「MOTOBOT Ver.2」はオートバイレースの世界選手権「MotoGP」のトップライダーである、バレンティーノ・ロッシ選手とサーキットでのタイムトライアルを行った。
ロボットライダーと天才ライターのどちらが最速か!?
フロント2輪のLMW機構
東京モーターショーのヤマハ発ブースには多くの報道陣が詰めかけ、社長の柳氏が登壇すると大きな拍手が起こった。
柳氏はまず、LMW(リーニングマルチホイール)機構を備えたフロント2輪の小型電動立ち乗りモビリティ「TRITOWN」(トリタウン)を紹介。ライダー自身のバランス感覚だけで姿勢制御ができることをアピールした。
LMW搭載スポーツモデル「NIKEN」
フロント2輪のコンセプトモデルは他にも2種類が登場した。
ひとつは「TRITOWN」と同様に後ろが1輪でモーターサイクルの楽しさを追求したスポーツモデル「NIKEN」(ナイケン)。ステージが始まるまでベールに包まれていたモデルだ。これは水冷直列3気筒エンジンを搭載したLMW搭載モデルで、フロントに15インチタイヤを装備し、倒立式サスペンションを持つ。海外のメディアが特に注目していた。
後輪も2輪になるともはや4輪乗用車だが、ヤマハは「ハーフサイズモビリティ」をコンセプトに、2輪車から発想した前後2輪の4輪LMW「MWC-4」を紹介した。
ロボットライダーと天才ライダーの勝負
柳氏が「今日は2人のロボットを紹介します」と言って、登場したのがまずは「MOTOBOT Ver.2」。
既に「自律ライディングロボット「モトボット」とV.ロッシ選手はどっちが速い!? ヤマハがモーターショーで知能化バイク「MOTOROiD」や「MOTOBOT 2」を出展!特設サイトも開設」で既報の通り、モトボットは人間用に作られたオートバイを自律操縦するロボットだ。
前バージョンからハードウェア的な改良を加え、カーボンボディなど大幅な軽量化を行った。その結果、サーキット走行で200km/hオーバーを記録。
そして、この東京モーターショーで、MotoGPのトップライダー、バレンティーノ・ロッシ選手とサーキット走行のタイム計測で競った動画が公開された。
結果は下記の通り。
MOTOBOT Ver.2 117.504 秒
タイムでは天才ライダーのバレンティーノ・ロッシ選手の圧勝だったが、ロボットライダーでの走行自体が人間にとって未知の領域であり、その領域にあって、タイム的にこれだけ迫れたのは善戦したと言えるのではないだろうか。
■モトボット Ver.2 対 ロッシ選手の動画
柳氏は今後もモトボットの技術開発を継続し、ロッシ選手のタイムに迫っていきたいと語った。
今後の進化に期待したい。
自立して低速走行可能なバイク「MOTOROiD」
最後にも驚きが待っていた。
オートバイ乗り、または自転車に乗る人なら解ると思うが、二輪車は止まった状態や低速で走行しているときにバランスを取るのは難しい。それを実現したのが「MOTOROiD」(モトロイド)だ。新しい感動体験の創出をテーマに、知能化技術とインテリジェンスを用いて「人とマシンが共響するパーソナルモビリティ」がモトロイドだ。
ステージ上、多くの報道陣が見守る中、モトロイドはスタンドを畳んで2輪で自立。柳氏を顔認証し、手招きとボイスコマンドによって、スルスルと低速で柳氏のそばへと進んだ。
■驚きの動画はこちら
ロボスタでは、モトロイドとモトボットの開発者の方に聞く、詳細な記事を公開中です。
「MOTOBOT Ver.2」の開発者インタビュー
「MOTOROiD」の開発者インタビュー
ヤマハの自律ロボットライダー「モトボット Ver.2」のしくみとライディング技術 開発者インタビュー
【圧倒的未来感】ヤマハの自立するロボット・オートバイ「MOTOROiD」(モトロイド)が転倒しないしくみ 開発者インタビュー
ヤマハ発動機 東京モーターショー特設サイト
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神崎 洋治神崎洋治(こうざきようじ) TRISEC International,Inc.代表 「Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス」(日経BP社)や「人工知能がよ~くわかる本」(秀和システム)の著者。 デジタルカメラ、ロボット、AI、インターネット、セキュリティなどに詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。教員免許所有。PC周辺機器メーカーで商品企画、広告、販促、イベント等の責任者を担当。インターネット黎明期に独立してシリコンバレーに渡米。アスキー特派員として海外のベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材。日経パソコンや日経ベストPC、月刊アスキー等で連載を執筆したほか、新聞等にも数多く寄稿。IT関連の著書多数(アマゾンの著者ページ)。