写真でおさらい「Amazon Echo」のポイントまとめ。3機種の違いや搭載されている新技術とは?
本日、ついに日本語版の「Amazon Echo」が発表になった。
この記事では今回発表のあったアマゾンエコーの特徴や技術、価格などを、報道関係者向け発表会の写真を見ながらおさらいしたい。
今日は何が発表されたの?
発表会では計3つの大きな発表がされたことになる。Amazon Echoシリーズ3機種、そしてエコーのインタフェースとなり、アシスタントとなる「Amazon Alexa」 と対応スキル(アプリ)、そして、新しい定額制音楽聴き放題サービス「Amazon Music Unlimited」(Echoユーザーは月額380円で4千万曲以上が聴き放題になる)の開始、だ。
アマゾンエコーの特長と「ファーフィールドテクノロジー」
発表会の最初に登壇したのはアマゾンジャパン合同会社の社長、ジャスパー・チャン氏。アマゾンはあらゆる商品をできるだけ低価格で消費者に提供することをミッションとして事業展開してきたこと、米国、イギリス、ドイツ、インドで既に使われ、好評を得ている”イノベーション”である「Amazon Echo」と「Amazon Alexa」を、本日、日本市場向けに発表することを伝えた。
次に登壇したのは、Amazon Alexa担当 上級副社長のトム・テイラー氏。
Amazon Echoの特徴や技術を詳しく解説した。
アマゾンエコーはスピーカーなので音楽が聴ける。しかし、その前に注目すべきはすべての操作を音声で行うこと。
テイラー氏は、ディープラーニングなどの機械学習やAWSと融合することによって、高精度となった会話システムを提供できること、それによって消費者に新しい体験が届けられることがうれしいと語った。
Amazon Echoのハード技術の大きな特徴が「部屋のどこに置いてあってもEchoとの会話ができること」。「ファーフィールド・テクノロジー」と呼ぶ。じつは米国で登場した当時、この技術が最も衝撃的だった。
6m以上もエコーと離れた場所にいてもユーザーの声を聞き取ることができる。エコーは頭頂部に7つのマイク・アレイを搭載している。円周部に6つ、中央に1つだ。円周部の6つはどの方向から声がするかを検知するため。また、距離を推定し、話者がどこにいるかを特定した上で、その位置に集中して聞き取りを行う「ビームフォーミング」技術が使われている。
Amazonはもともと同社の業務内で、AWSのパワーを使って機械学習などのAI関連技術を使ってきた。例えば検索やレコメンデーション(おすすめ)などだ。しかし、それはユーザーが普段は目にしない部分にも及ぶという。例えば、配送センターでのロボットのカート(KIVAシステム)の経路検索を行ったり、顧客の不正の発見にも使われてきた。こういったノウハウがAmazon Alexa開発にも活かされている。
機種の違いと価格は?
今回発表されたEchoは3機種。まずは「Amazon Echo」(11,980円)。米国で「第2ジェネレーション」と呼ばれている最新モデルだ。今回、期間限定ではあるが、アマゾンプライム会員は約8千円で購入できるキャンペーンがおこなわれる。
次は、Echoより小さい「Echo dot」(5,980円)だ。こちらも同キャンペーンで約4千円で買える。3つめはサイズが大きい(長い)「Amazon Echo Plus」(17,980円)だ。
どの製品もバッテリーは内蔵していない。
各機種の違いはまず音響システム。音響効果はサイズの大きい「Amazon Echo Plus」「Amazon Echo」「Echo Dot」の順で優れている。これはよい音質を生み出すにはウーファーやツイーター、音響空間が必要なため、本体のサイズやスペースが大きく関わるからだ。
一方で音声の聞き取りに重要な「ファーフィールド・テクノロジー」システムは3機種とも同じ。7つのマイク・アレイとビームフォーミングは共通だ。
「Amazon Echo Plus」には、スマートホーム向けのハブが内蔵されている。これは、ジクビー規格用のハブのことを指していて、例えばスマートホーム向けの照明機器「フィリップス ヒュー」を導入する際、電球とハブのキットを購入する必要があるが、Amazon Echo Plusの場合はハブが内蔵されているので、電球のみ購入すれば利用できる、そんな違いとなる。
体験コーナーはこんな感じ
Amazon Alexaに対応した他社製のスマートスピーカーも展示されていた。写真はオンキョーのスピーカー製品。エコーと同様に、アレクサと会話したり、スキルを使うことができる。
スピーカーに限らず、海外ではアレクサ対応の動きは様々な家電やウェアラブル機器にも及んでいる。例えば、自動車メーカーのFardもAlexa対応を公表していて、運転中など自動車内でAlexaと音声コミュニケーションが可能になっていく見込みだ。ニュースを聞いたり、昨日の野球の試合の結果を聞いたり、近くのコーヒー店の場所を聞いたり、更には家のガレージの扉を閉めてもらったり。
AI音声アシスタントは異業種がAlexaエコシステムで連携していくことにる。ビジネス面では、ここが実は重要ポイントになっていく。別記事「アマゾン、日本語版「Alexa」スキルの一覧を大公開! いきなり「250種以上」のスキルが登場」のように、これほど多くの会社がスキル提供に名乗りを挙げたのはその現れだ。
最後に発表会のステージで行われたAmazon Echoを使った「Alexa」のデモンストレーション動画をお届けする。アレクサの応答に少し時間がかかっているように感じたが、そこは無線事情のせいかもしれない。
いよいよ本格的に日本に上陸し、競争が激化すると予想されるAIスマートスピーカーとその市場。そして音声インタフェース。AI、ロボット、IoTの核ともなる市場なので、今後の展開が楽しみだ。
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神崎 洋治神崎洋治(こうざきようじ) TRISEC International,Inc.代表 「Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス」(日経BP社)や「人工知能がよ~くわかる本」(秀和システム)の著者。 デジタルカメラ、ロボット、AI、インターネット、セキュリティなどに詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。教員免許所有。PC周辺機器メーカーで商品企画、広告、販促、イベント等の責任者を担当。インターネット黎明期に独立してシリコンバレーに渡米。アスキー特派員として海外のベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材。日経パソコンや日経ベストPC、月刊アスキー等で連載を執筆したほか、新聞等にも数多く寄稿。IT関連の著書多数(アマゾンの著者ページ)。