現在盛り上がりを見せているスマートスピーカー(AIスピーカー)市場を生み出し、牽引しているのはAmazon EchoをリリースしたAmazonだ。しかし、Amazonは言うまでもなくAmazon Echoの開発・販売が本業ではなく、ECサイト運営やWEBサービスが本業だ。今回、Amazonは自社ECサイト上で競合製品をどのように扱っているのか、そしてそのライバルであるGoogleの対応がどのようになっているのか整理してみた。
アメリカのAmazon
まずアメリカのAmazonにおける、Amazon Echo以外の他社スマートスピーカー販売状況は以下の通り。
■Google Home
Google Wi-Fiは購入可能だが、Google Homeは存在しない。
代わりにAmazon Echoファミリーが表示される。
■Sonos One
Alexa搭載のSonos Oneは販売されている。
■JBL Link Series
Google Assistant搭載のJBL Link 10/20/30は存在せず。
■harman/kardon Invoke
一方、Microsoft Cortana搭載のInvokeは販売されている。
これはAlaxaとCortana相互乗り入れの発表があったからだろうか。
現状、AmazonはAlexa搭載の互換デバイス、Cortana搭載デバイスは掲載しているが、Google Assistant搭載デバイスはGoogle本家および互換デバイスとも掲載していない。つまり競合デバイスは一切掲載しないというスタンスだ。結果、Amaozn Echo経由の音声ショッピングでGoogle Homeは買うことができない。
アメリカのGoogle Express
続いてアメリカのGoogle ExpressにおけるGoogle Home以外の他社スマートスピーカー販売状況。Google HomeはGoogle Express経由での音声によるショッピングが可能だ。
■Amazon Echo
Amazon Echo、Echo Dot、Echo Showなどが購入可能。割引価格、送料無料だ。
■JBL Link Series
Google Aasistant搭載のJBL Link 10/20/30は販売されている。
■Sonos One
Alexa搭載のSonos Oneは存在せず。
Google ExpressではAmazon Echoが買えるため競合を排除する姿勢は見られないと考えられる。Sonosがないのは単に取り扱いが無かっただけと考えて良いと思う。結果、Google HomeはGoogle Express経由でAmazon Echoを購入可能だ。
日本のAmazon
■Google Home
ライバルのGoogle Homeは存在せず。
Google Homeの書籍や、Amazon Echoファリミーが表示される。
■LINE Clova wave
Clova搭載のLINE CLova Waveは存在せず。
代わりにAmazon Echoファリミーが表示される。
アメリカではAmazonはライバル製品を売らない、Googleはライバル製品でも売る状況だったが、Amazonは日本でも同じスタンスだ。
特に注目なのはLINEの取り扱いだ。Amazonは元々はLINE Clova Waveを販売していたのだが、Amazon Echo販売後にLINE Clova WAVEの販売を停止とした。現在これが独占禁止法に当たるかどうかと様々な議論になっている状況にある。今回の販売停止が「競争者に対する取引妨害」でいうところの不当な行為にあたるか、Amazon以外でも販売が可能で十分な販売経路を確保できているといえるか、などいくつか論点があると考えられるが、ロボスタとしてはこの成り行きは結論が出てから改めて紹介することとしたい。
僕はこう思った:
ちなみに、執筆当時LINEショッピングにはAmazon Echoはありませんでした。
ロボスタ / Amazon Echo
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中橋 義博1970年生まれ。中央大学法学部法律学科卒。大学時代、月刊ASCII編集部でテクニカルライターとして働く。大学卒業後、国内生命保険会社本社において約6年間、保険支払業務システムの企画を担当。その後、ヤフー株式会社で約3年間、PCの検索サービス、モバイルディレクトリ検索サービスの立ち上げに携わる。同社退社後、オーバーチュア株式会社にてサービス立ち上げ前から1年半、サーチリスティングのエディトリアル、コンテントマッチ業務を担当する。2004年に世界初のモバイルリスティングを開始したサーチテリア株式会社を創業、同社代表取締役社長に就任。2011年にサーチテリア株式会社をGMOアドパートナーズ株式会社へ売却。GMOサーチテリア株式会社代表取締役社長、GMOモバイル株式会社取締役を歴任。2014年ロボットスタート株式会社を設立し、現在同社代表取締役社長。著書にダイヤモンド社「モバイルSEM―ケータイ・ビジネスの最先端マーケティング手法」がある。