【運搬をロボットで自動化】シャープがハウステンボス「変なホテル」で稼働中のポーターロボや倉庫向け自動搬送装置(AGV)を展示

長崎県ハウステンボスの「変なホテル」で稼働しているポーターロボット。以前から気になっていた人は多いのではないだろうか。あれは「自動搬送装置」や「AGV」(Automatic Guided Vehicle)と呼ばれるものでシャープ製だ。
シャープが自動搬送装置を手がけることは意外、と感じる人も多いかもしれないが、シャープはこのポーターロボットを「変なホテル」に導入することを2015年に発表している。更にこのとき、ポーターロボだけでなく、各部屋に設置するかわいいロボット「ちゅーりーちゃん」(ちゅーりーロボ)もシャープ製だということを開示している。


ポーターロボットは宿泊客がロビーで荷物を乗せて、タッチパネルディスプレイや音声で部屋番号を指示すると自動的に客室まで荷物を運びながら案内してくれる。荷物の積載最大重量は50kgまで。運行管理システムが稼働していて、館内での運行状況はモニタリングできる。


移動は線に沿って動くライントレース方式を使用している。「変なホテル」ではラインが引いてあるように見えないかもしれないが、ラインは絨毯の下に引いてあってもラインセンサーは磁気で読み取れるので問題なく運行できる。


ロボットが運搬作業を担当

シャープは、ソフトバンクロボットワールド2017で、このポーターロボットを含めて2種類のAGVを展示した。もう1種類は倉庫や配送業務での運用を想定したAGV。
同社は「脱・運搬」で働き改革を掲げている。

シャープのAGV、オリコンの運搬タイプの例。リアカーの引っ張り牽引や潜伏牽引型カゴ車配送タイプもある

通常、発送する商品を倉庫で用意する際、作業員が倉庫内の棚を移動して商品を探しながら集め、「払い出し」場所(梱包担当等)に持っていくと梱包や発送の作業へと移っていく。AGVを導入すると、棚から商品を取るピッキングはスタッフが行うがそれ以外はAGVが行ってくれる。


例えば流れはこうだ。
用意すべき複数の商品や棚の位置を管理システムがAGVに指示すると、AGVは商品までのルートを算出して移動をはじめる。スタッフはAGVについていくだけでよい。保管されている棚に到着するとスタッフが当該商品を棚から取り出してAGVのカゴ(箱)に入れると、AGVは次の商品の棚に移動する。発送予定のすべての商品をカゴに入れたら、AGVは指定の「払い出し」場所に自動的に商品を搬送していくので、スタッフはその場を離れて、次のAGVに移動してピッキングを行ったり、別の業務に移ることもできる。このような流れで、AGVがスタッフに代わって商品棚まで導き、運搬作業を行ってくれる。言い換えれば、ロボットがまだ苦手とするピッキング作業のみ人間が行うことでロボットと人の協働作業を実現している。

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神崎 洋治

神崎洋治(こうざきようじ) TRISEC International,Inc.代表 「Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス」(日経BP社)や「人工知能がよ~くわかる本」(秀和システム)の著者。 デジタルカメラ、ロボット、AI、インターネット、セキュリティなどに詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。教員免許所有。PC周辺機器メーカーで商品企画、広告、販促、イベント等の責任者を担当。インターネット黎明期に独立してシリコンバレーに渡米。アスキー特派員として海外のベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材。日経パソコンや日経ベストPC、月刊アスキー等で連載を執筆したほか、新聞等にも数多く寄稿。IT関連の著書多数(アマゾンの著者ページ)。

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