2017年11月22日、SoftBank Robot World 2017の会場内で「Pepper App Challenge 2017 Autumn」(以降、PACと省略)が開催された。今回のPACのテーマは「ロボットも最新技術を求めてる」。ロボットとIoT、AI技術などを駆使した最新技術にフォーカスしたものになった。
最優秀賞はIMJ すまのべ! with SENSY
「最優秀賞」に輝いたのはチーム名、IMJ すまのべ! with SENSYの作品「SENSYソムリエ for Pepper」。
「SENSYソムリエ」と言えば、慶大発のAIベンチャー企業カラフルボードが開発した味覚やファッション感覚等、個人の好みを学習するAI。これを活用し、Pepperが来店客と会話をしながら、一人一人の味覚を解析し、好みに合わせたお酒を提案するというロボアプリとなっている。
「IMJ すまのべ! with SENSY」には賞金100万円と、特大Pepperぬいぐるみが贈呈された。
「SENSYソムリエ for Pepper」は今年2月、新宿伊勢丹本店のイベントで日本酒やワイン売り場で実際に活用された実績がある。その点も評価されたようだ。
AIソリューション賞はTravics
「AIソリューション賞」はチーム名、Travicsの作品「Travel Dreams」。オーストラリアからの参加だ。ツアー客を中心とした旅行者向けレコメンドシステムで、Pepperの感情認識、マシンラーニング、IoTデバイスを連携させた。Pepperが収集したデータは分析プラットフォームに送られ、旅行業者が顧客のニーズや市場のトレンドを把握するために活用される。
IoTテクノロジー賞はSHANTI & ROKが受賞
「IoTテクノロジー賞」はSHANTI & ROKの作品「コミュニケーションテーブル」だ。Xperia TouchとPepperを接続し、新たなコミュニケーションテーブルを設けることで「Pepperを操作する」から「Pepperが寄り添う」UXを提供する。シャンティが開発した医療向けIoTプラットホーム「SOAR(ソア)」を利用した医療用のトレーニングアプリとなっている。IoT連携として、非接触体温計やKinnectセンサーと連携、ユーザの体調管理や運動評価も行うことができる。
Xperia Touchが投影した仮想のコミュニケーションテーブルを使ってリハビリ用のゲームを行い、Pepperがそれを応援するというアイディアが斬新だった。
エクスウェアがダブル受賞
「ビジネスイノベーション賞」と「ヤナセ賞」を獲得したのはチーム名、エクスウェア株式会社の作品「TalkQA for Pepper」だ。IBM Watsonを活用したチャットボットサービス「TalkQA」(トークQA)とPepperを連携、音声での質問に対しPepperが従来より精度の高い適切な回答を行うシステム。学習していない質問を聞かれると雑談で対応する。
「審査員特別賞」は「MS Cloud Robotics賞」にチーム名、ナブアシストの「Tenko de Pepper」が受賞した。運送業における点呼業務をPepperが行う。アルコールチェック、本人確認、体調管理、運行指示、危険運転予測などの項目があり、PepperはIoT機器やAIと連携して業務にあたる。
「ウフルenebular賞」は「Youtupper」(チーム名、作品名とも)。Youtube LiveにPepperが登場し、視聴者のコメントにPepperが返事や動作で返す。雑談APIや感情解析APIも導入されている。
「Haneda Robotics Labs賞」は全決勝進出作品に送られた。
総評
今回のPACはビジネスの実践の即戦力となる作品が多かったように感じた。AIやIoTと連携することでPepperの拡張性が見えた。最優秀賞を獲得した、個々人の好みを学習するAIとPepperの連携には未来感があり、その他にも人工知能とロボットの連携によって可能性が広がることを示唆するものも多く見られた。また、医療・介護を支援したり、運送業の事故を防ぐなど、社会的に意義がある作品もあり、今後の展開に期待したいものもあった。
また、今回は「PAC総選挙」が初めて行われた。こちらに登場した作品は、惜しくもPACの選外となったものだが、エンタテインメント性を含め、新しいPepperの可能性を感じる作品が多く、印象に残るものも多かった。
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