富士通がロボット「ユニボ」との連携を発表! ロボットAIプラットフォーム展開へ AI技術「Zinrai」を活用
富士通は、12月12日(火)、記者向け発表会を開催し、同社が展開するロボットAIプラットフォームの説明を行なった。
富士通は自然な対人コミュニケーションを実現するサービスプラットフォームとして、「ロボットAIプラットフォーム」を開発。第一弾として、ユニロボット株式会社が提供するコミュニケーションロボット「unibo(ユニボ)」と連携する。「ロボットAIプラットフォーム実証パック for unibo」の販売価格は648,000円(税別)。提供は本日12月12日から開始される。
導入検討に向けた実証用に1年間利用できるサービスと、本格導入に向けたコンサルティングの提供を開始し、今後マルチデバイス対応によるタブレット、スマートフォン、インターホンなど様々なフロントデバイスと接続した「ロボットAIプラットフォーム 基本サービス for マルチデバイス」サービスなどを順次提供予定だ。
本プラットフォームは、自然対話、表情認識、音声感情分析、顔認識などのコミュニケーションに関わるAI技術を搭載し、ロボットなどのデバイスと接続したクラウドサービスとして提供する。接続先のロボットは、窓口業務や高齢者介護など様々な現場で個人の状態や嗜好にあった自然対話によるコミュニケーションサービスを実現するという。
本プラットフォームをお客のもつ既存システムに連携させることにより、お客自身の業務や提供するサービスにロボットによる付加価値を加えることが可能となる。
記者会見では、まず、ロボットの活用に期待が集まる背景について、富士通株式会社のグローバルビジネス戦略本部長 谷村勝博氏より、説明が行われた。
今後の社会・経済の構造変化として、少子化・高齢化・人口の都市集中・訪日外国人の増加・変わらない労働生産性・共働き世帯数の増加などの課題を挙げ、これらを解決するためのロボットとして、サービスロボットが注目されていることを語った。
富士通が提供するロボットAIプラットフォームには、パーソナルデータ分析、感情認識エンジン、顔認識エンジン、自然対話基盤という4つが用意されており、これらがフロントデバイスとなるロボットを法人で活用しやすいロボットへと進化させる。
自然対話基盤は、イナゴ社が提供するゴール共有型会話エンジンと、独自技術となる広げる対話エンジンを組み合わせて開発された。また、感情認識基盤は、Empath社がもつ音声感情分析エンジンとsMedio社と富士通が共同開発した表情認識エンジンをもとに開発。そして、パーソナルデータ分析技術は富士通が独自開発した。
このロボットAIプラットフォームは、富士通が提供するデジタルビジネス・プラットフォーム「MetaArc(メタアーク)」上で提供される。ここには、富士通のAI技術「FUJITSU Human Centric AI Zinrai」が活用されているという。
富士通は、販売目標について「2020年度に関連ソリューションを含めて300億円」と語っている。
今回ロボットAIプラットフォームが連携を行うユニボは、ユニロボット社が開発したロボット。
ユニボのサイズは、高さ32cm、横幅26cm、奥行16cm、重さ2.5kg。顔の部分に7インチのフルHD液晶ディスプレイがあり、そこに表情が表示される。頭部にはカメラとマイクがついており、胸部にスピーカーが搭載されている。首に2軸、両腕に1軸のモーターがあり、頭部と両足に計3個のタッチセンサー、そして赤外線センサーのほか、赤外線の学習リモコンも搭載されている。
ユニロボット社は2014年8月に設立し、以降パートナーロボット「ユニボ」の開発を行なってきた。2015年にUSENグループと資本提携、その後富士通と資本業務提携を行なった。ユニボは「様々なビジネスシーン、生活シーンでたくさんの方に使ってもらうことを想定して開発した」と酒井氏。「デザインにおいては、愛着が持てる可愛らしさ、夢中になってuniboと話すことができる没入感」を目指したと語った。
会見の最後に行われた質疑応答では、様々な質問が飛び交った。
富士通はメディエイタロボット「ロボピン」も開発している。そのロボピンとの関係性については、「ロボピンはディスプレイがないので利用用途に違いは出てくる。ユニボには画面があり、優しい表情など人を慰めるような存在にもなり得る。介護施設や家庭の中にも展開していけるのではないかと考えている」と谷村氏。
また、ロボットAIプラットフォームの次のロボットへの展開については、「現実的にはまずユニボと共に展開をしていきたい。海外に向けた展開の中で求められるのは、地域の方言や文化にも詳しいこと。メジャーな言語については、ユニボと共に展開していけると考えているが、そのほかの地域については現地のロボットを活用した方が良いかもしれないとも考えている」と語った。
最後にエコシステムの展開については、富士通としては「ベンチャープログラム等を使いながら展開をしていきたい」、ユニロボット社も「公認デベロッパー制度などを展開しながらスキルパックを増やしていきたい」と語るなど、両社ともにエコシステムの構築については積極的に行なっていきたいと語った。
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望月 亮輔1988年生まれ、静岡県出身。元ロボスタ編集長。2014年12月、ロボスタの前身であるロボット情報WEBマガジン「ロボットドットインフォ」を立ち上げ、翌2015年4月ロボットドットインフォ株式会社として法人化。その後、ロボットスタートに事業を売却し、同社内にて新たなロボットメディアの立ち上げに加わる。