【可愛い】ハンドルもアクセルもない自動運転AIモビリティ「Milee(マイリー)」の展示車を見に行ってきた
ティアフォーが開発を進めているAIモビリティ「Milee(マイリー)」(上写真)。
実に可愛い。
EV、つまり電気自動車で、かつ自動運転車だ。市街地でのライドシェアや物流での利用が期待されている。
同社は公道や教習コースなどで実証実験を開始していて、「Milee」は2018年に実証実験を行う予定。ハンドルやアクセルペダルなどのない完全自動運転車の開発は国内初として注目を集めている。
主に10~20kmの低速で走り、近距離移動のためのモビリティとなる。マイリーの名称は「ラストワンマイル」から。
ティアフォーは大学等の研究機関に自動運転技術の開発プラットフォームを提供する大学発ベンチャー企業だ。東京大学情報理工学系研究科准教授で、名古屋大学未来社会創造機構客員准教授も兼任する加藤真平氏が中心になっている。自動車メーカーではない。
自動車メーカーではない企業も自動運転車を開発できる状況にある。その基盤となるのがNVIDIAの自動運転向けAI車載コンピューター「NVIDIA DRIVE PX」だ。「Milee」にも搭載されている。
そのような関係もあって、12月12~13日に開催されたNVIDIA主催の開発者向けイベント「GTC Japan 2017」に「Milee」が展示された。
可愛い外観は、株式会社カブクとの連携で実現した。カブクは全世界に300以上構築している工場ネットワークを活用し、産業用3Dプリントや切削、射出成形など多種多様な工法や素材を組み合わせたオンデマンド製造サービスを提供している会社だ。デザイン・設計・製造を包括的にサポートする新たなものづくりを推進している。
この車体のベースはヤマハ発動機のゴルフカートだ。それをベースに、ティアフォーのデザインを企画し、カブクとの連携で車両ボディのデザインをブラッシュアップし製造がされた。デザインの設計から試作・製造の工数を従来と比べて大幅に削減し、これまでにない超短期間での車両開発を実現したとしている。
センサーの構成は実にシンプルだ。
ルーフの上にあるLIDAR(ライダー:Laser Imaging Detection and Ranging)だ。16本のレーザーで周囲の状況を把握する(ちなみに隣のBB8のLIDARは32本)。また、LIDAR本体の下部に前方のみを写すカメラが搭載されている。
実はこれだけだ。「これだけで大丈夫なのか」と感じるほどだが、現段階(試作)ではできるだけ少ないセンサーからはじめて、必要なもの(センサーやカメラ等)を追加していくステップ方法で開発が行われているようだ。
展示場では、カメラ画像とLIDARの画像が両方、モニタに表示されていた。
カメラは精度の高い識別能力を備え、周囲の人を正確に認識する。また自動車などが視界に入ればそれも識別できる。この技術を支えているのが機械学習(ディープラーニング含む)だ。
LIDARの役割は2つ。
ひとつは自車(Milee)の位置を正確に知るため。
周囲一帯が3次元の点群情報でマップを持っている。それに対してLIDARの情報によって、自車のマップ上の位置を把握している。
もうひとつが障害物の認識だ。LIDARは人や壁などを障害物と認識し、接触せずに走行する領域を自律的に割り出すことができる。(ティアフォーは高精度3D地図サービスで知られるアイサンテクノロジーの出資を受けている)
「NVIDIA DRIVE PX」の登場で、自動運転車を開発、実現させるのは自動車メーカーだけではないことが明確になってきている。
GTC Japan 2017 特集
株式会社カブク
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神崎 洋治神崎洋治(こうざきようじ) TRISEC International,Inc.代表 「Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス」(日経BP社)や「人工知能がよ~くわかる本」(秀和システム)の著者。 デジタルカメラ、ロボット、AI、インターネット、セキュリティなどに詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。教員免許所有。PC周辺機器メーカーで商品企画、広告、販促、イベント等の責任者を担当。インターネット黎明期に独立してシリコンバレーに渡米。アスキー特派員として海外のベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材。日経パソコンや日経ベストPC、月刊アスキー等で連載を執筆したほか、新聞等にも数多く寄稿。IT関連の著書多数(アマゾンの著者ページ)。