トヨタの生活支援ロボット「HSR」の操作を体験!「WRS2018」のパートナーロボット

「2017国際ロボット展」の「World Robot Summit」(ワールドロボットサミット)ブースでは来年東京で開催されるプレ大会「WRS2018」に向けたデモンストレーションや各種競技会のカテゴリー紹介、最新技術の紹介等が行われた。

「WRS2018」にはいくつかの競技カテゴリーがあるが、サービスカテゴリーの「パートナーロボットチャレンジ」において、トヨタ自動車の生活支援ロボット「HSR」を使って、家庭内を想定した片付け、整理整頓や収納等をロボットと協働する競技も行われる予定だ。その関係もあって、WRSブースではHSRの操作体験コーナーが設けられていた。私達、取材陣もHSRにはそれほど触れる機会がないので、体験しに行ってきた。

トヨタ自動車が開発している生活支援ロボット「HSR」(Human Support Robotの略)。落ちているペットボトルを拾い上げる操作体験の例

ところで、そもそも「HSR」ってなに?

解説します。
「HSR」は身長が約100cm、移動も会話もできるロボットだ。身長は実は可変で、130cm前後の高さまで首を伸ばしたり、腕の付け根部分も上げることができる「テレスコーピング ボディ」構造になっている。腕の長さは約60cm。モノをつかんだり、吸い上げて持ち上げ、運ぶことができる。
開発中のため、頻繁に改良が繰り返されながら、バージョンアップが行われている。最近のモデルはNVIDIA JETSONに対応したGPU(AIコンピュータボード)搭載モデルもある。

頭頂部にマイクアレイがあり、ビジョン用のカメラなどは各種装備している

腕部にもカメラがある。グリッパー式と吸い込み式の両方に対応する

足元のセンサー類。段差は5mmまで。時速0.8km/hで移動できる

大きいものをつかむときはグリッパー式

薄いものは吸い込み式で

OSは「ROS」を搭載

拡張性も各種インタフェースを揃えている

■ HSRの紹介動画(初期のもの)




WRSブースでHSRの操作体験



「2017国際ロボット展」のWRSブース

「HSR」の操作体験コーナー

HSRの操作画面を表示したサイネージ。例えば、何かのモノを取ってくることをHSRに指示できる

HSRへの指示はタブレットで行う。要介護支援者がベッドで、タブレット操作でHSRになにかを頼むイメージ

ゲームコントローラのような操作でカメラの向きを変えたり、前進や後退を操作できる。

床に置いたペットボトルをカメラで認識したら、画面をタッチして「取る」を選択するだけで、HSRが拾い上げてくれる

最後はちゃんと持って来てくれた。ありがとう「HSR」!

一連の動作は動画で!

■ HSRの操作体験コーナー

現在、HSRは主に医療や介護分野を想定した生活支援ロボットとして各地で実証実験等が行われている。また、今年名古屋で開催された「ロボカップ2017名古屋世界大会」ではキッチンやリビングルームでの利用を想定した「@ホーム」カテゴリーの標準ロボットとして活躍した。


WRS2018 サービスカテゴリーはHSRで競技

World Robot Summit(ワールドロボットサミット)は経済産業省と新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が開催する、国際的なロボットの競技会と展示会だ。本大会の「World Robot Summit 2020」は2020年10月に名古屋で開催されるが、そのプレ大会として「WRS2018」が来年、10月17日(水)〜21日(日)にかけて、東京ビッグサイトで開催される(Japan Robot Week2018と同時開催)。

4つのカテゴリー(ものづくり、サービス、インフラ・災害対応、ジュニア)が用意されていて、WRSの「サービスカテゴリー」では、労働人口の減少と高齢化社会に対応すること、店員や高齢者の大きな負担を軽減することをニーズと定め、家事(片付けなど)や店舗における作業を分担する人間と協働するロボットがテーマの競技会になる予定だ。
競技は「パートナーロボットチャレンジ」と「フューチャーコンビニエンスストアチャレンジ」があり、プレ大会となるWRS2018では、「パートナーロボットチャレンジ」にはHSRを使った競技も予定されている。また、「フューチャーコンビニエンスストアチャレンジ」は、商品陳列や接客など、世界初の店舗を舞台とする競技になる(WRS2018での実施は未定)。
現時点での開催予定や要項は順次、公式ホームページ(下記)で公開される予定。
情報が入り次第、ロボスタでもアナウンスしていくのでお楽しみに。

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神崎 洋治

神崎洋治(こうざきようじ) TRISEC International,Inc.代表 「Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス」(日経BP社)や「人工知能がよ~くわかる本」(秀和システム)の著者。 デジタルカメラ、ロボット、AI、インターネット、セキュリティなどに詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。教員免許所有。PC周辺機器メーカーで商品企画、広告、販促、イベント等の責任者を担当。インターネット黎明期に独立してシリコンバレーに渡米。アスキー特派員として海外のベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材。日経パソコンや日経ベストPC、月刊アスキー等で連載を執筆したほか、新聞等にも数多く寄稿。IT関連の著書多数(アマゾンの著者ページ)。

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