Amazon Echo Dot・Google Home Mini、ホリデーシーズンは原価割れでもシェア拡大を優先

ホリデーシーズンで大安売りされたAmazon EchoとGoogle Homeなどのスマートスピーカー(AIスピーカー)。ロイターはAmazonもGoogleもスマートスピーカーの販売1台当り、数ドルの損失を余儀なくされたと報じた。



このロイターの記事で興味深いのは、ABI Researchが分析したパーツ原価計算だ。


Amazon Echo Dot


ABI Researchの分析によればAmazon Echo Dotは約31ドル相当の部品で構成されているという。

これはコンポーネントの原価のみで、販売、マーケティング、ロジスティクス、ファイナンスなど他に必要なコストは含まれていない。

Amazon Echo Dotの定価は49.99ドルで、ホリデーシーズン中は29.99ドルまで値下げされていた。つまりパーツ原価以下で販売されていたということになる。

もちろんこれで問題ないのだろう。戦略としてはもともとデバイスでの販売収益よりも、まず市場シェアを広げて、自社アシスタント普及によりそこから得られるコマース、コンテンツ、マーケティングなどの二次的な収益を見込んでいるからだ。


Google Home Mini


一方、Google Home Miniは約26ドル相当の部品で構成されているという。

Google Home Miniの定価は49.00ドルで、ホリデーシーズン中は29.00ドルまで値下げされていた。パーツ原価よりは高い価格ではあるが、他の販売コストを考えれば売れば売るほど赤字になっていたことはAmazonと同じだろう。

戦略としてはAmazon同様、市場シェア確保が最優先だ。検索行動が音声にシフトしていく流れの中で、Googleがこの領域をとれるかどうかは死活問題でもある。また、このAmazonやGoogleのビジネス規模からすれば、スマートスピーカーの販売による赤字などは誤差に近い金額でしかないだろう。


Apple HomePod


一方、AmazonとGoogleがデバイス単体での収益が赤字でもシェアをとっていく姿勢を鮮明に見せたのと異なる動きになりそうなのがAppleだ。

2017年中に発売できなかったApple HomePodは349ドルと競合他社に比べると高い価格設定となっている。アナリストの分析によれば、Appleはデバイス本体でも利益を確保し、さらにApple Musicの月額料金による収益を目指すという。

Appleの根強いファンがApple HomePodを心待ちにしていることは間違いなく、競争が過熱しているこの市場でHomePodがシェアを獲得できるのか引き続き注目だ。



僕はこう思った:

赤字でもシェア拡大を優先しているのは予想通りでした。むしろ驚いたのは、Amazon Echo Dotは約31ドル、Google Home Miniは約26ドルの部品代でしかないということでした。



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中橋 義博

1970年生まれ。中央大学法学部法律学科卒。大学時代、月刊ASCII編集部でテクニカルライターとして働く。大学卒業後、国内生命保険会社本社において約6年間、保険支払業務システムの企画を担当。その後、ヤフー株式会社で約3年間、PCの検索サービス、モバイルディレクトリ検索サービスの立ち上げに携わる。同社退社後、オーバーチュア株式会社にてサービス立ち上げ前から1年半、サーチリスティングのエディトリアル、コンテントマッチ業務を担当する。2004年に世界初のモバイルリスティングを開始したサーチテリア株式会社を創業、同社代表取締役社長に就任。2011年にサーチテリア株式会社をGMOアドパートナーズ株式会社へ売却。GMOサーチテリア株式会社代表取締役社長、GMOモバイル株式会社取締役を歴任。2014年ロボットスタート株式会社を設立し、現在同社代表取締役社長。著書にダイヤモンド社「モバイルSEM―ケータイ・ビジネスの最先端マーケティング手法」がある。

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