東大が開発、自分の分身を作る「カメレオンマスク」が海外で話題に
2018年2月4日
By ロボスタ編集部
シンガポールで開催されたMIT Technology Reviewのテクノロジーカンファレンス「EmTech Asia」にて、東京大学の暦本純一教授が登壇。暦本研究室にて開発した「カメレオンマスク」の研究成果を発表し、SNSを中心に話題となっている。
このマスクは、ディスプレイに人の表情を映しているだけのシンプルな構造。遠隔地にいるユーザは、仮面を通して、同じ空間にいない人々とコミュニケーションがとれるだけでなく、自分の体をしてくれる分身にジェスチャーなどの指示を出すことで、手や足を持つ、身体を伴ったコミュニケーションが可能となる。
暦本研究室では、実際に孫の顔を映した状態で別の人がおばあちゃんに会いに行ったり、仮面をしたまま市役所へ住民票を取りにいくなどの実験を行なったのだそう。すると、仮面をかぶった人物を遠隔操作している”その人”として見ることがわかったのだそう。
この研究は、人が何をもって”その人”だと判断するかや、他人に体を貸し操作される体験とはどんなものなのか、指示通りに動くことは嬉しいことなのか嫌なことなのかを明らかにしようとしている。また、「人の顔と身体を分離させることによって、人とは何かを問いかける試みでもあります」と研究室のHPには綴られている。
人がロボットに乗り移って遠隔操作が可能な「テレプレゼンスロボット」は数多く出てきているが、人の動きの全てを代替することはできない。しかし一見アナログではあるが、このような人に乗り移る体験という試みであれば、本人と同じように行動することができるようになる。
遠くまで出かけるのが面倒な時、誰かを雇って代わりに行ってもらう。そういうことも起こり得るのかもしれない。