小中学生が考えたPepper活用の金賞3作品!プログラミング教育の成果発表会レポート (2) Pepper社会貢献スクールチャレンジ

ソフトバンクグループが全国の小中学校に向けて「Pepper」を3年間無償で貸し出す「Pepper社会貢献プログラム スクールチャレンジ」を実施している。その成果を競う、プログラミング教育の成果発表会が開催された。


発表に先立ち、ソフトバンクグループ株式会社 常務執行役員の青野史寛氏が登壇し、「この社会貢献プログラムの発表会では、Pepperを使ってどんな未来が来るのか、どんな社会になるのかを小中学校の皆さんに考えてもらう良い機会となりました。日本全国からたくさんのチームが参加してくれてうれしい。頑張ってプログラミングをしてきたチームのみなさん、支援してくれた先生の皆さんに敬意を表したい」と述べた。


また、小学生部門の審査員をつとめた東京工業大学 名誉教授の西原明法氏は、「今日は小学生部門には最も多い17チームが参加しました。身近な課題を解決するためにPepperを上手に活用するアイディアが光りました。また、ふるさとの良さを紹介するという点でもとてもよかったと思います」と語った。


中学生部門の審査員を務めた玉川大学工学部情報通信工学科 教授であり、World Robot Summit 実行委員をつとめる岡田浩之氏は、「中学生部門の上位は僅差で、どれも素晴らしいものでした。今年の10月に経産省主催の「World Robot Summit」(WRS)が東京で開催され、ジュニア部門はPepperを使った競技になりますので、ぜひ参加してください」と呼びかけた(WRS ジュニアーカテゴリーの公式ホームページ)。

部活部門の審査員を務めた東京工業大学 教育革新センター 准教授の森秀樹氏は「15チームの参加で、観光客、医療、お母さんなど、いろいろな舞台でいろいろな人たちを笑顔にするアイディアに溢れ、デモやプレゼンテーションも素晴らしいものでした。特に金賞のチームは皆さんをきっと笑顔にしてくれると思います」としめくくった。





金賞に輝いた作品

小学生部門と中学生部門は「○○に役立つ Pepper」、部活部門には「○○を笑顔にする Pepper」というテーマが与えられ、金賞は小学生部門が岡山県新見市の新砥小、中学生部門が佐賀県武雄市の武雄北中、部活部門が岐阜県岐阜市の青山中が受賞した。賞典として米国シリコンバレー視察が授与された。
今回は金賞を受賞した3チームの作品をできるだけ長い動画で紹介したい。(銀賞と銅賞の作品は「小中学生がPepperを使って身近な問題を解決!プログラミング教育の成果発表会レポート (1) Pepper社会貢献スクールチャレンジ」を参照)



岡山県新見市の新砥小

小学生部門で金賞を受賞した岡山県新見市の新砥小は、観光客に新見市の素晴らしさを知って欲しい、と観光地やレジャー、グルメをPepperが案内する。観光で人気の金ボタルとゲンジボタルの「光」の点滅速度の違いをPepperの目のLEDで比較表現する工夫などを盛り込んだ。



佐賀県武雄市の武雄北中

中学生部門で金賞を受賞した佐賀県武雄市の武雄北中もまた地元、武雄市の観光案内をテーマにした。ただし、こちらは外国人観光客の増加に対して、多国語(日本語/英語/韓国語)で対応するPepperでおもてなしを伝える観光コンシェルジュを作った。最初の挨拶で、観光客が何語を話すかを自動で判別する。



岐阜県岐阜市の青山中

部活部門の金賞は、岐阜県岐阜市の青山中が受賞した。青山中は、児童館(子供館)で地域の子供館に集まる人たちを笑顔にするPepperを披露した。寸劇を中心に、モノマネするPepperで会場を沸かせた。プレゼンテーションではアンケートやグラフなどを活用して娯楽を分析、複雑すぎるコレグラフのプログラミング構造も披露して笑いを誘った。




筆者の所感

今回、Pepper社会貢献プログラム スクールチャレンジによって、子ども達のPepperプログラミングが高いレベルに達していることに感心した。また、なぜこの課題に目を向けたのか、どうしたら課題を解決できるのか、Pepperのプログラミングではどのような点に工夫したのか等、ハキハキとしたプレゼンテーションも解りやすく印象に残った。
もちろん、全国すべての学校でこのように有効活用されているとは限らないが、このような発表会を通じて、トップレベルのデモやプレゼンテーションが広く知られることで、プログラミング教育全般の底上げに繋がっていくように思った。
成果発表会は来年度も開催される予定だ。

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神崎 洋治

神崎洋治(こうざきようじ) TRISEC International,Inc.代表 「Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス」(日経BP社)や「人工知能がよ~くわかる本」(秀和システム)の著者。 デジタルカメラ、ロボット、AI、インターネット、セキュリティなどに詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。教員免許所有。PC周辺機器メーカーで商品企画、広告、販促、イベント等の責任者を担当。インターネット黎明期に独立してシリコンバレーに渡米。アスキー特派員として海外のベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材。日経パソコンや日経ベストPC、月刊アスキー等で連載を執筆したほか、新聞等にも数多く寄稿。IT関連の著書多数(アマゾンの著者ページ)。

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