全日空(ANA)がXPRIZEと遠隔操作ロボット(AVATAR)の開発等に向けた約10億円の賞金レースを開催

XPRIZE財団によって「世界が直面する課題の解決を目的とした賞金レース」が開催されている。2016年10月、全日本空輸(ANA)の新たなアイデアが日本企業として初めて賞金レースのテーマに採用された「ANA AVATAR XPRIZE」だ。

「ANA AVATAR XPRIZE」とは、時間、距離、文化、年齢、身体能力など様々な制限に関わらず「移動」できる技術を用いるもの。例えば、医師や教員が不足している地域や、人間が立ち入れない災害現場等にロボット(AVATAR)を送り込み、その活用等を通じて社会的な課題解決への貢献を目指す。ロボティックス・VR・AR・センサー・通信・ハプティックス(触覚)技術等、最先端のテクノロジーを用いて、異なる複数の場所にあたかも自分が存在し、物理的に物を動かしたり触ったりできるテクノロジーの実現を目指している。
賞金レースは2018年3月12日から4年間の期間で行われ、賞金総額10Million USD(日本円で約10億円)となっている。


2つの特典

このイベントに参加する企業や団体は、AVATARを開発するにあたって手厚いサポートが得られる。一つ目はANAが運営するクラウドファンディングサイト「Wonder FLY」を通じて、資金調達を行うサポートをしてもらえるということ。

二つ目は、大分県にある世界初のAVATARテストフィールドで、宇宙開発・農林水産業・観光・教育・ 医療など、様々な分野で実証実験が可能となる、そして、その代表的な取り組みとして、JAXAを含む産官学と連携し、AVATARによる月面施設の遠隔建設等の地上実証を行い、宇宙開発・利用が可能。





「ANA AVATAR X PRIZE」を開催する理由

そして、現時点ではそれぞれの技術が個別に開発が進んでおり、これらの技術を融合し実用化させるには数十年を要すると予想されているため、国際賞金レース「ANA AVATAR X PRIZE」を開催して世界的AVATARへの関心を高めて、より早く実用化させるという狙いがある。


レースは4年間を通じて行われるため、4年後どのようなAVATARが登場するのか、今から楽しみだ。

なお、ANAは2018-2022年度グループ中期経営戦略において、経産省らが提唱する「Society 5.0」(超スマート社会)の実現に向けた取り組みの1つとして「AVATAR」事業を掲げ、始動させるにあたって『ANA AVATAR VISION』を策定した。


現時点での『ANA AVATAR VISION』参加パートナー
・大分県
ANA AVATAR テストフィールド
・広島県
ANA AVATAR 平和推進パートナー
・JAXA
ANA AVATAR宇宙開発推進パートナー
・NTTドコモ, ソフトバンク, KDDI
ANA AVATAR通信パートナー
・広島平和記念資料館
ANA AVATAR 実証実験パートナー(平和推進)
・沖縄美ら海水族館 / 沖縄美ら島財団
ANA AVATAR実証実験パートナー(水族館)
・金沢工業大学
ANA AVATAR実証実験パートナー(教育)
・シマノ
ANA AVATAR 技術サポートパートナー
・日本空港ビルデング / Haneda Robotics Lab
ANA AVATAR実証実験パートナー(空港)
・TechShop Japan / 富士通
ANA AVATAR 制作サポートパートナー
・ADDIX
ANA AVATAR サービスデザインパートナー
関連サイト
https://ana-avatar.com/

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山田 航也

横浜出身の1998年生まれ。現在はロボットスタートでアルバイトをしながらプログラムを学んでいる。好きなロボットは、AnkiやCOZMO、Sotaなどのコミュニケーションロボット。

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