【GTC 2018】NVIDIAのCEOが基調講演でAIとディープラーニングの未来を語る!自動運転、ロボット開発環境、リアルタイムレイトレーシング、世界最大のGPU「DGX-2」等を発表

米国シリコンバレーで開催されているNVIDIA主催のAI技術やディープラーニング分野における世界最大級のイベント「GPUテクノロジ カンファレンス 2018」、略称「GTC 2018」が開催されている。2日目となる27日の朝、NVIDIAの創業者兼CEOであるジェンスン・フアン(Jensen Huang)氏が基調講演を行った(冒頭の写真)。
AIとディープラーニングの未来を見ようと8,000人以上の観客が訪れ、講演時間は2時間超に渡った。



【主なトピック】
1.Quandro GV100
2.Tesla V100
3.Clara (Medical imaging super computer)
4.NVIDIA「DGX-2」の発表
5.Plaster
6.「TensorRT4」の発表
7.KUBERNETES
8.Orin
9.NVIDIA Drive SIM and constellation 自動運転シミュレーション
10.ISAAC robotics




Quandro GV100とNVIDIA RTX技術でリアルタイム・レイトレーシングの世界へ

ひとつめの大きなトピックとしてはNVIDIA Quadro GV100の発表だ。Quadro GV100 GPUとNVIDIA RTX 技術の組み合わせによって「リアルタイム レイトレーシング」が実現する。
「コンピューター グラフィックスがこの15年で最大の進化を遂げる」として、スターウォーズのストームトルーパーやファズマが登場するムービーを再生し、これらがすべてCGで作られていることを紹介して聴衆を驚かせた。


フアン氏は「今、皆さんが見ているのは、実際に活動しているディープラーニングです。ディープラーニングの技術なしでは、これほど多くの光や反射を操り、再現することはできなかったでしょう。ディープラーニングを使うことでこの細かな光の描写が可能になっています。更に複数のQuadro GV100を組み合わせることで、今まで処理時間がかかっていたレイトレーシングをリアルタイムで行うことができるようになったのです。これはワークステーションの革命です」と力強く語った。

■ストームトルーパーとファズマが登場するデモ(解説つき:英語)

■ジェンスンフアン氏の解説つき(英語)

■実際の作品(Reflections Real-Time Ray Tracing Demo | Project Spotlight | Unreal Engine)

今回のQuado GV100 と NVIDIA RTX Technologyでは、2つのGPUを合わせて10,000 CUDAコア、236 テラフロップスものテンサー・コアが最新のコンピュータグラフィックスに革命を起こすために使われていると言う。


世界最大のGPU「DGX-2」

その他の大きなトピックとしては「世界でもっとも大きなGPU」と表現した「DGX-2」の発表があげられる。


HPC(ハイパフォーマンスコンピュータ)やデータセンターなどで人気がある「DGX-1」の後継となる新型「DGX-2」を発表した。16基の「Tesla V100」32GBを使用し、「NVSwitch」を12基使って16基のGPUを接続したものだ。価格は39万9000ドル。CPUベースのサーバーの300台分にあたり、それと比較して「DGX-2」は同じ性能でも、価格は8分の1、設置スペースは60分の1、消費電力は18分の1に節約できるとした。

世界でもっとも大きなGPU「DGX-2」

CEOの背景にDGX-2の内部構成図が見える


更に進化した自動運転開発用AIコンピュータボードとプラットフォーム

自動運転の技術としては「DRIVE Pegasus」を頂点にしたDRIVEシリーズを紹介した。

自動運転ソリューションとしては、開発用のAIコンピュータボードのシングルチップ「DRIVE PX Parker」からはじまり、クアッドチップの「DRIVE PX2」、「DRIVE PX2」を進化させたワンチップの「DRIVE Xavier」、クアッドチップの最新型「DRIVE Pegasus」へと開発が繋がっている。
自動車メーカーや地方自治体等が、これらのAIコンピュータボードやプラットフォームを使って、簡単に自動運転車の開発や実習実験、データ収集などを行うことができる。

DRIVEソリューションの進化

ステージでは自動運転に必要なビジョンやLIDAR等による識別や判別技術がマルチスクリーンで紹介された。



■NVIDIAの自動運転R&Dソリューション


自動運転開発シュミレーションとロボット開発プラットフォーム

ロボスタの読者が最も気になる発表は「NVIDIA Drive SIM and constellation」自動運転シミュレーションと、ロボティクス向けシュミレーターとして開発されてきた「ISAAC」(アイザック)ではないだろうか。

昨日、トヨタのTRIがシュミレータによる走行を膨大に行うプログラムについてレポートしたが、同様に自動運転のデータ蓄積にシュミレータを活用する事例が増えてきた。そのニーズに対応するものだろう、NVIDIAも独自のシュミレーションシステムの構築を始めている。


下の写真は「NVIDIA Drive SIM and constellation」自動運転シミュレーションが動作している画面。
まるで実写のようだが、道路や車など実はCG。このクオリティで走行することで、走行データを蓄積し、学習データに活用することができる。また、天候や時間(昼や夜)なども自在に変更することができるため、さまざまな環境下でのシミュレーションが可能だと言う。


どの産業にもロボット導入が加速している。それを受けて、今回具体的、かつ発展的に発表したのが「ISAAC」だ。ロボットの開発環境をシミュレートしたり、トレーニング、デプロイを行う統合プラットフォームだ。SDKの提供もこれに含まれている。ステージではコンセプトの紹介とともに自律移動ロボットの動画が紹介された。


どちらも別途、詳しく解説していきたいと思っている。

■つづき「GTC2018」関連記事
【GTC 2018】NVIDIAのロボット開発環境「ISAAC」(アイザック)とは? ロボット活用と開発の未来をAIが変える 〜SDKも発表〜
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神崎 洋治

神崎洋治(こうざきようじ) TRISEC International,Inc.代表 「Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス」(日経BP社)や「人工知能がよ~くわかる本」(秀和システム)の著者。 デジタルカメラ、ロボット、AI、インターネット、セキュリティなどに詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。教員免許所有。PC周辺機器メーカーで商品企画、広告、販促、イベント等の責任者を担当。インターネット黎明期に独立してシリコンバレーに渡米。アスキー特派員として海外のベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材。日経パソコンや日経ベストPC、月刊アスキー等で連載を執筆したほか、新聞等にも数多く寄稿。IT関連の著書多数(アマゾンの著者ページ)。

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