平均15分で配達する出前ロボット、年内1000台超の導入へ向け スターシップ・テクノロジーズ社
欧州やアメリカを中心にデリバリーロボットサービスを展開する「Starship Technologies(スターシップ・テクノロジーズ)」は、料理の配達を行う同社のロボットの導入数を、2018年末までに千台以上まで拡大していく方針であると発表した。現在は世界中で100台程のロボットが稼働している。
Starship Technologiesは既に約20億円もの資金調達を完了している有力ロボット企業だ。メーカーとして製造に特化しているわけでなく、スマホアプリから簡単に注文できる「デリバリーサービス」とセットで展開をしている。創業は欧州「エストニア」。2014年の創業以降、その配達ロボットの展開を欧州からスタートし、現在ではアメリカでも活躍している。
ロボットで配達というと、どのような光景を思い浮かべるだろうか。Starship Technologiesがおこなっているのは、ラストワンマイルと呼ばれる、近場の配達。ユーザーがスマホアプリから地元の飲食店のメニューを注文すると、飲食店側に通知が届く。そして「人間が行くべきか、ロボットが行くべきか」を距離や経路から判断し、適した方が配達を行うのだという。
ロボットが配達を行うべきだと判断した場合、飲食店は料理をロボットのボックスに入れて、依頼があった場所まで向かわせる。平均15分程度でその場所まで届けてくれるようだ。
同社の発表によれば、20カ国、100以上の都市でテストを繰り返した結果、すでに世界の100,000マイル(16万km)以上を走り、配達の途中で1500万人以上に遭遇しているという。これだけ長い時間走り続けていても、ロボットが盗まれることはなかったそう。ロボットには9つものカメラが付いており、数多くのセンサーやGPSも付いている。しかも大金を運んでいるわけではなく、数百円ほどの軽食を運んでいるわけで…確かにそんなロボットを盗もうとする人はいないのかもしれない。
ロボットには6つのタイヤが付いており、人の歩行速度と変わらないスピード(時速6km)で走る。自動運転技術により、人にぶつからないように走るだけでなく、信号を理解し、赤信号であればきちんと停止する。
Starship Technologiesは、この度、イギリスに本社を置き世界50か国以上でフードサービスの提供等を行うコンパス・グループとの提携を発表しており、今後展開スピードを加速させる意向を示している。
日本国内に目を向けると、同分野ではZMPが有望視されている。ZMPは六本木ヒルズ内における郵便物配達の実証実験なども実施しているが、このようにまずは私有地を使ってでも繰り返しテスト導入をおこなっていくことが、サービスロボットの市場開拓には求められているだろう。