2体のロボットがそれぞれ自律行動を行い、人と同じようにコミュニケーションを取りながら協調作業を行うことができる。
そんなロボット”Carry””Shot”は、AIや自動運転技術・高度なロボット制御技術を活用し、自由に動きながらも、精度の高い作業を実現する、と言う。
サービスロボットのメーカー株式会社テムザックが、積水ハウスと開発を進めてきた2体の「天井石膏ボード貼り」建築施工ロボット「Carry・Shot」がそれだ。
開発の背景
積水ハウスは、建設業での施工従事者の不足による施工力の低下の懸念と、施工従事者の確保が課題であるとしていたが、個人住宅での建築施工ロボットの開発には、ゼネコン等で活用されている大型や据付型の装置とは異なり、施工現場への搬入が容易で、機動力がある小型化・軽量化されたロボットであることが必須であった。
そこで、両社は2015年より同ロボットの研究開発を始め、試作機等による検証などを経て、人とほぼ同じぐらいの大きさの小型のロボット2体に分割し、それぞれ異なる機能を持たせ、ロボット同士の協調作業を行わせることにした。そして、その結果、従来では考えられなかった高度なコミュニケーションをロボット同士で自発的に行い、自分達で判断し、お互いに協力して作業を行うロボットの開発に至った。
同ロボットの住宅施工現場における2020年の実用化を目指しており、「天井石 膏ボード張り施工」の一連の作業を同ロボットに分担させることで、施工従事者の負担軽減が最大7割程度見込めるとのことだ。
「Carry」「Shot」の技術的な特長
人の目でサイズを計測するのに代わり、Carryが施工箇所(天井)の正確な位置を認識。把握した情報を、人には「ぴったりと合う石膏ボードのサイズ」を、Shotには「施工位置やビス打ち位置」を伝える。また、同ロボットは分割して作業現場に運び込むことができ、組み立ても短時間で行える簡易性と同時に、そのような躯体であっても、従来の施工工数を保ちつつ、精度の高い作業を実現。また、Carryは重さの異なる石膏ボードを持っても、重さに応じた対応が可能なので、一連の作業に支障をきたすことがない。
ロボット同士でコミュニケーションをとり、“協調作業”を行う/AI技術
人間が施工をするときと同じく、2体のロボットがお互いに声掛けを行い、それぞれの現在位置をお互いに教え合い、全体の作業がスムーズに進むよう自分でどの位置にいるべきか・どんな行動をとるべきかを判断する。また、作業の進捗状況や精度の必要な作業の際もお互いに話し合いフォローしあうことが可能。
自律行動・衝突回避/自動運転技術
施工箇所により、石膏ボードの大きさは常に異なるが、「Carry」は人間と同様に、持っている石膏ボードの大きさを把握し、そのサイズを含めて、今の自分の大きさを把握。石膏ボードを持っている「Carry」は「Shot」へ自分の今の大きさを伝え、作業の優先度を考慮し、どちらがどちら側へ避けるべきかを話し合い、衝突を回避することができる。
足元が不安定な状況での、高精度な施工作業
人と同じように自由に動き回り、柔らかい足元や明るさが変わるといった不安定な環境でも、指先の精度を保ち四隅含む天井への正確なビス打ちが可能だと言う。
株式会社テムザック