音声スキルSEOの幕開けへ 適切なスキルをAlexaが教える新機能が米国で発表
Amazonは5月30日、Amazon Alexaブログにて、スキルの呼び出し方がわからない場合でも起動できるようにする新機能「CanFulfillIntentRequest (Beta)」を発表した。
この新機能を説明する前に、現在のAlexaスキルの起動がどういうものかを説明しておきたい。
現在Alexaでスキルを起動するためには、まず「スキルストア」で自分の使いたいスキルを見つける必要がある。スキルを見つける方法は、検索窓からの検索、カテゴリからの検索、新着やレビュー内容から見つけるなど様々な探し方がある。
そして目的のスキルを見つけたら、そのスキルを「有効」にする。そしてそのスキルを使いたい時に、「アレクサ、○○○○を開いて」などと呼びかけることで、スキルを起動することができる。
慣れてしまえば問題はないとはいえ、このプロセスには2つのハードルがある。1つはスキルを探して有効にする必要があること、もう1つはスキルの起動のコマンドを覚えておく必要があることだ。これはスキルを使う側にとっても、スキルを使ってもらいたい開発者にとっても問題であり、またスキルが増えれば増えるほど、そのハードルが高くなるという問題でもあった。
Alexa Blogs / Improve Alexa Skill Discovery and Name-Free Use of Your Skill with CanFulfillIntentRequest (Beta)
Amazon Alexa / Understand Name-free Interaction for Custom Skills
Amazon Alexa / Implement CanFulfillIntentRequest for Name-free Interaction
今回アメリカで発表された新機能「CanFulfillIntentRequest」は既存のスキル起動の問題を一気に解決する重要な仕組みになる。
この機能に対応したスキルであれば、ユーザーがスキル名がわからない場合でも、Alexaが最適なスキルを見つけて起動してくれるようになる。ユーザーにとっても開発者にとっても有難い新機能だ。
まず、スキル開発者はコンソール上で、「CanFulfillIntentRequest」インターフェイスのサポートを有効にしておく。これによりAlexaは機械学習モデルを活用して、ユーザーがスキルを直接呼び出さなくても、適切なスキルを導き出せるようになる。
例えば、ユーザーが「Alexa、サンタバーバラ近郊で最高のサーフィンスポットはどこですか?」と尋ねた場合、Alexaは「CanFulfillIntentRequest」を使用して、サーフィン関連のスキルに対して、ユーザーの要求を理解して対応できるかを確認する。その結果に基づいて、Alexaは最適と判断した、カリフォルニアのビーチのデータベースを持つサーフィンスキルを選択する。
この機能はまず米国のみのパブリックベータ機能として提供されるため、今後仕様が変わる可能性がある。いずれにせよ日本での展開が待ち遠しい機能だ。
なお、今回のAmazon Alexaの新機能は、Google AssistantのImplicit Invocation(暗黙的な呼び出し)、Microsoft CortanaのSkill Suggestions(適切なスキル提案)と同様の機能と考えてよいだろう。
僕はこう思った:
これがAlexaスキルのVoice SEOの始まりですね。開発者は今後Alexa検索エンジン最適化を考えるのが当たり前になるのは間違いないでしょう。
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中橋 義博1970年生まれ。中央大学法学部法律学科卒。大学時代、月刊ASCII編集部でテクニカルライターとして働く。大学卒業後、国内生命保険会社本社において約6年間、保険支払業務システムの企画を担当。その後、ヤフー株式会社で約3年間、PCの検索サービス、モバイルディレクトリ検索サービスの立ち上げに携わる。同社退社後、オーバーチュア株式会社にてサービス立ち上げ前から1年半、サーチリスティングのエディトリアル、コンテントマッチ業務を担当する。2004年に世界初のモバイルリスティングを開始したサーチテリア株式会社を創業、同社代表取締役社長に就任。2011年にサーチテリア株式会社をGMOアドパートナーズ株式会社へ売却。GMOサーチテリア株式会社代表取締役社長、GMOモバイル株式会社取締役を歴任。2014年ロボットスタート株式会社を設立し、現在同社代表取締役社長。著書にダイヤモンド社「モバイルSEM―ケータイ・ビジネスの最先端マーケティング手法」がある。