NVIDIAが秒間15,500点の画像を分析できるAIプラットフォーム「HGX-2」を発表!MicrosoftやGoogleなどAIシステムの技術競争が激化

NVIDIAは本日、新しいAIコンピュータ「NVIDIA HGX-2」を発表した。「HGX-2」は機械学習トレーニングを行った場合、「ResNet-50」で秒間、15,500点の画像分析が可能だと言う。デュアルソケットのCPUサーバと比較すると300倍の高速化で、この数値は新しい記録となる性能とのこと。同社では、人工知能(AI)とハイパフォーマンス コンピューティング(HPC)の両方に向けた単一のコンピューティング プラットフォームとして初の製品として位置づけている。

AIチップやAIシステムはNVIDIAが独走状態だが、インテルやGoogle、Microsoftが新技術を発表して猛追する展開を見せ始めている。


NVIDIA HGX-2

NVIDIA HGX-2は混合精度の計算能力を備えたクラウドサーバー プラットフォームだ。他にも科学技術計算およびシミュレーションに向けた、倍精度浮動小数点(FP64)や単精度浮動小数点(FP32)での高精度な演算が可能。また、AIのトレーニングや推論のためには、半精度浮動小数点(FP16)や整数(Int8)を用いることもできる。



NVIDIA創業者であり、CEOのジェンスン・フアン氏は、ディープラーニングのイベント「GPU テクノロジ カンファレンス Taiwan」で講演を行い、その中で次のように述べている。

「コンピューティングの世界は(AIによって)変わりました。CPUのスケーリングが減速しているにもかかわらず、コンピュータの高速性への要求や期待はとどまるところを知りません。Tensorコア GPUを備えた NVIDIA の「HGX-2」は、この業界に強力で多用途のコンピューティング・プラットフォームを提供します。このプラットフォームは、HPCとAIを融合し、世界における重要課題を解決するものです」


CPUサーバより300倍高速

NVIDIAは、HPCとAIに向けた最先端のシステムを作り上げるメーカーにとって、HGX-2は「構成要素」の役割を果たすものだという。HGX-2の性能をはかるひとつのベンチマーク結果として、AIのトレーニング(機械学習)において「ResNet-50」での画像解析を行った場合、1秒あたり15,500点の画像解析速度を実現した。これはトレーニング時における新しい記録だと言う。また HGX-2は、CPUのみで構成されたサーバーと比較すると300倍の速度に相当する。


HGX-2には インターコネクト・ファブリックであるNVIDIA NVSwitchなどの画期的な機能が搭載されている。この機能は、16基の NVIDIA Tesla V100 Tensor コア GPUをシームレスにつなぎ合わせ、2ペタフロップスの AIパフォーマンスを実現する 1つの巨大なGPUとして動作させるというものだ。HGX-2を用いて作られた初のシステムが、先日発表された「NVIDIA DGX-2」だという。「DGX-2」は2018年3月下旬にシリコンバレーで開催された「GTC 2018」で公開された、単体では世界最大規模のAIコンピュータシステムだ。


今回のHGX-2は世界トップレベルのODMメーカーである Foxconn、Inventec、Quanta、Wistronの4社がHGX-2ベースのシステムを設計中だという。これらもやはり年内に市場に出ることが予定されており、世界最大級のクラウド・データセンターでの利用が、その目的とされている。


激化するAIコンピュータ市場

もともとグラフィックス用に開発されてきたGPUが、AIやディープラーニングの演算に高速性を発揮することから、GPUのトップブランドであるNVIDIAはAI業界のリーダーとして快走している。NVIDIAはGPUチップだけでなく、開発キットを含めたプラットフォームの提供も行い、既に多くの開発者が利用している。

しかし、それを追従する動きもある。CPUで知られるインテルのほか、MicrosoftはAIを高速化するFPGAのAIチップ「Brainwave」を、Googleは第三世代となる機械学習専用のプロセッサ「TPU 3.0」を発表している。それぞれのシステムにはそれぞれ利点があるため、いちがいには優劣がつけられないこともあるが、今後はこれらの新しいテクノロジーも相まって、ますます熾烈な技術争い、市場争いが展開されると見られている。

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山田 航也

横浜出身の1998年生まれ。現在はロボットスタートでアルバイトをしながらプログラムを学んでいる。好きなロボットは、AnkiやCOZMO、Sotaなどのコミュニケーションロボット。

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