アマゾンのEcho Dot、「工場の労働環境は劣悪」 中国でレポートが発表
2018年6月10日、China Labor WatchがAmazonサプライヤーのFoxconn工場での劣悪な労働環境を告発するレポートを発表した。
レポートの対象となった工場はFoxconnの衡陽工場。この工場では「Echo Dot」、「Kindle Fire Tablet」などの日本でもおなじみのAmazonデバイスの組み立てを行なっている。今回のレポートではこの工場で働く中国の労働者の実態が詳細にまとめられている。97ページに及ぶレポートの中から概要をまとめると以下の通りだ。
・労働者数の約40%が派遣労働者だった。中国の労働法は、派遣労働者が全労働力の10%を超えてはならないと定めている。
・中国の法律では、就業前訓練は少なくとも24時間と規定されているが、派遣労働者は8時間の就業前訓練しか受けていなかった。
・多くの派遣労働者は労働契約書を受け取っていない。
・派遣労働者の病気休暇は未払だった。正規労働者は病気休暇の場合、賃金から20%が減額されていた。
・労働者の量には非常口、消火器がなく、消火訓練も行われていなかった。
・労働者はシフトが始まる10分前に職場に到着が義務付けられている。しかしこの部分は未払いとなっていた。
・生産のピーク時には労働者は毎月100時間以上の残業を余儀なくされている。中国の労働法では、毎月の残業は36時間を超えることはできない。またピーク時には14日間連続して働く労働者もいた。
・オフシーズンの間、工場は派遣労働者を休ませるため、賃金を得られなくなる。
・オフシーズンにはまともな生活水準を維持するのに十分な収入を得られない。正規労働者は2,000元(312.12米ドル)、派遣労働者は月に2,500元(390.16米ドル)を稼ぐ。2017年の衡陽市の平均賃金は4,647元(725.22米ドル)と比べて著しく低い。
もちろんAmazonが直接的に指示したものではなく、あくまでサプライヤーサイドの問題ではある。Amazonは今後サプライヤーに対して是正措置を求めて、労働者の権利を守るように動くものと考えられる。
またレポートの中では、Amazon Echo Dotの製造ラインの様子も紹介された。
8つの生産ラインがあり、そのうち6つが稼働。1つの生産ラインは、3工程にわかれている。最初の工程で組み立てを行ない、2番目の工程ででテストを行ない、最後の工程でパッケージングを行なう。生産ラインには両側に労働者が配置され、互いに向かい合って同じ仕事をする。それぞれの工程には2〜3人の労働者がいる。ライン全体が作動を停止することはなかったという。
僕はこう思った:
Echo Dotなど私達が安く手に入れらている製品の裏にはこういう話があるんだなと複雑な心境です。
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中橋 義博1970年生まれ。中央大学法学部法律学科卒。大学時代、月刊ASCII編集部でテクニカルライターとして働く。大学卒業後、国内生命保険会社本社において約6年間、保険支払業務システムの企画を担当。その後、ヤフー株式会社で約3年間、PCの検索サービス、モバイルディレクトリ検索サービスの立ち上げに携わる。同社退社後、オーバーチュア株式会社にてサービス立ち上げ前から1年半、サーチリスティングのエディトリアル、コンテントマッチ業務を担当する。2004年に世界初のモバイルリスティングを開始したサーチテリア株式会社を創業、同社代表取締役社長に就任。2011年にサーチテリア株式会社をGMOアドパートナーズ株式会社へ売却。GMOサーチテリア株式会社代表取締役社長、GMOモバイル株式会社取締役を歴任。2014年ロボットスタート株式会社を設立し、現在同社代表取締役社長。著書にダイヤモンド社「モバイルSEM―ケータイ・ビジネスの最先端マーケティング手法」がある。